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写真選

ベケットと写真

「自分の生み出したものと同じ闇のなか、あるいは別の闇のなか。さらに想像しなくてはならない。例えば自分の姿勢。立つ、あるいは座る、あるいは横になる、あるいは闇のなかで、他のごくありきたりの姿勢でいる。さらに想像すべき様々な答えの中の答え。同様に別の問いに対しても、さまざまな答えがあるなかで。」
サミュエル・ベケット「伴侶」

なぜ写真を撮ってプリントし、こうやってスキャンしてネットにアップしているのかわからないが、ベケットの「伴侶」が思い浮かんで、これだと感じた。この小説は終始、闇の空間の中で全てが進む動きを刻みながら、でもなくじっくり留まっていて、この感じは私が写真を撮り発表することと同義だ。

上の抜粋文はそれだけ読んでも意図を掴みにくいが、全文がこのようなトーンの蠢きであるのでこの抜粋だけでも咀嚼のしようがある。「答えの中の答え」はある空間が想定されてその中での動きである。さらにもう一文引用する。

「砂浜、夕方。光は死にたえる。すっかりなくなって、やがて光はもう死にたえることもない。いや。光がないなら、もうこんなことさえない。光は夜明けまで死んでいき、もう決して死ぬことはない。おまえは海を背にして立っている。」

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