イオンに飾られた息子の絵
5年以上前の話だ。当時息子は3歳。幼稚園の年少組だった。
4月に入園してからというもの、慣れるまで、息子は非常によく泣いた。朝は、私からなかなか離れず、全力で抵抗する。身体も大きかったので、担任の先生も私も毎朝必死。教室に入るまで、誰よりも時間がかかったように思う。
園に預けている間も、
泣き続けていないだろうか?
園生活楽しめているのだろうか?
と、息子のことを想った。
そんなある日。「大好きな家族を描いた絵がイオンモールに飾られているので、良ければ見に行ってくださいね。」と、迎えの際に担任の先生が笑顔でそう教えてくれた。
息子の描いた絵がショッピングモールに飾られる。毎日泣いて通っている息子が、園で皆と机を並べて家族の絵を書いたのだ。
たったそれだけなのに、ものすごく特別なことのように感じた。しかも大好きな家族を描いた絵。なんだか、お題にまでドキドキしてしまう。
見に行くほかないだろう。
私は嬉しくて近くに住む義両親にも「〇〇の幼稚園で書いた絵が飾られてるので良かったら見てやって下さい。」と電話したほどだった。
早速、次の週末、私達家族4人(主人と私、息子、娘)はウキウキしながら、その絵を見に行った。思っていた以上に展示の数が多い。それもそのはず。息子の園に加え、町内の他の園児の絵もズラーっと飾られていたのだ。その中から息子の絵を探すのは、なかなか骨の折れる作業だった。
「あ、あれ。あれが、ぼくのえだよ」
小さな丸っこい手が指さす先に、その絵はあった。
いる!
たしかにいる!!
毛が逆立ったファンキーな人物。
「ぼくと○○ちゃん(娘)はてをつないでいるの。」どうやら、小さい2人は息子と娘のようだ。左端の大きな人物がネクタイをしていることから、緑の人物が誰なのか想像できるが、それ以上息子には聞いていない。
後日、義母からこれと同じ写メが届く。特にコメントはついていなかった。
いただいたサポートは、種と珈琲豆を買うのに使わせていただきます。