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ドラマ「ロング・ラブレター〜漂流教室〜」

好きな芸人が、ラジオで、子供の頃に見ていて、ラストがかなり衝撃だったと言っていて、前々から気にはなっていたドラマだったので、見てみた。
気にはなっていたけど、見なかった理由としては、SFがあまり得意じゃないからなんだけど、まあプロデューサー山口さん×脚本家大森さんなので良いに決まっていた。ゴールデンのドラマでここまでSFって、いまでこそたまにあるけれど、当時だとけっこう攻めてる感じだよね。そしてかなり社会派。

ぼんやりと設定は知っていたけれど、1話目と主題歌が、かなり明るくて驚いた。教室飛ぶ気配ゼロなんだけど(笑)もっと、どんよりドラマだと思っていた。
そして見終えて、えっ?これ良いドラマすぎない!?!?えっ?もっと再放送とかしてもよくない?!?教材レベルじゃない!?!?!?世界全員見た方がいいやつじゃない!?今まで見たどの教師よりも浅海と三崎が好きなんだけど。

こういうジャンル?ってなんていうのか、分からないけど、閉鎖的なサバイバル空間で、発生しそうな問題とか人間関係とか、こういうやつ出てくるか~みたいな、それの基本って感じもありつつ、社会問題、そしてロングラブレターの要素もあり本当に面白かった。基本的にずっと同じシチュエーションなのに、ダレそうでダレなくて、脚本すごすぎる。
俳優も今も残ってる人たち多数なだけあって、若いけど演技も上手いし、昔の画質なのもあって、安っぽさがなくて、かなり世界観に入り込んで見れた。
こういうSF?的なやつって今のドラマの予算レベルで作ると、画質がよすぎてなのか、逆にかなりチープに見えるのなんなんだろうなあ。嘘感強いというか(まあ嘘なんだけど)。まあたしかに輸血とか色々リアリティーない部分は多少あるけど、そんなんいいじゃん!って思えるぐらい面白かった。

というかさ~、こんな感想よりもさておきさ~、窪塚洋介という男、ズルすぎじゃん。この時代の窪塚だから許されている、というか、窪塚じゃなきゃ許されない口調とセリフ。私が思春期の男だったら、全てを真似していた。話し方、言い回し、表情、髪型、服装、全てを。アラサーの女でよかった。アラサーの女は、かわいすぎ~子犬すぎ~💕って感じで見れてますので。
「まじ」とか「すげぇ○○」とか「~~じゃんすか!(じゃないですか)」みたいな、この時代の若者言葉というか、気だるい渋谷系?の話し方が、かなり印象的。こういう言い回しって、どの辺のドラマからだろう。IWGPとか?
常盤貴子もかわいいなあ。ナチュラルで美人。アイメイクなし(のように見える)でこの美しさって、なんなのよ。声も好きだし役柄も好き。
「今度あんな顔して泣いてたらなぁ、無理矢理押し倒して、キスしちゃうからな!」「ふ~ん。やれるもんならやってみろっつーの。」くぅ~~!🤝

もう1人のワンコ、高松こと山田孝之も最高~にかわいいぜ。ったく、なんなんだこいつはよ~ただただかわいい高校生かよ~🐶。5話の「ただいま」のシーン、本当に好き。殺人の倫理観のシーンも好き。あっ、もちろん妻夫木ワンコ🐶もかわいいよ!!ヤンキー妻夫木めずらしい!!

9話、10話、11話あたりは涙なしでは見られません。未来から現代へ皆で手紙を書くシーン、高松のかおるへの一言、そしてメール。孤独な浅海は手紙を送りたい人がいなくて、書かないんだよねぇ。書きたいとしたら三崎さんだったのに。はぁ涙涙涙です。
人間のエゴへの警鐘。平和ボケした現代への警鐘。原作の楳図かずおの漫画はどういうテイストなんだろう。基本的には人間模様よりも警鐘寄りの内容なのかなあ。ドラマにするにあたっての脚本がかなりうまいと思う。

DVDの特典に山口プロデューサーと楳図かずおの対談が入っていて、それがかなり面白かった。プロデューサーの原作への熱い思いがあっての映像化なのが、かなり伝わりましたし、その思いが作品に乗ってて本当に良いなぁと思いました。原作では関谷は男で、楳図かずおが「女関谷」良かったと言ってて笑った。女関谷のインパクトエグい。生まれ変わりチャンスを全部踏みにじる女関谷。原作も読みたくなったな。

最終話のラストの部分もプロデューサーの口から説明されてて、すごい良かった。全員戻れる設定でも良かったんじゃない?と言われて、そうしなかったこだわりも良かった。最終話の題名が「ハッピーエンド」で、これどう終わるの!?ってずっと気になりながら見てたんだけど、すごい好きだった。あの手紙が奇跡的にあの時代に届いて、そのあと漂流が発生するのかは分からないし、二人があの学校にまだいるのかも分からない。でも1つの行動が未来を少し変えるかもしれないし、その少しはすごい大きくて、思いは時空を越える!

浅海「今を生きろ。この一瞬を生きろ。」
「一緒に生きていく人。一緒に強く生きてく人。そういうのが理想。」
「結局今って、何が大切なことかわかりづらい時代なんだよ。なんて。」

浅海「過去も未来もお前の手の中にはない!ただし救いがあるんだよ。今という、この一点だけは、お前が生きている限り、お前の手の中にあるんだよ。今だけが確実。」
「今を生きろ。まぁ今と言っても、今という一瞬も、未来から過去に常にとどまることなく流れていくんだけど。砂のように、サラサラと俺らの手の中を通り抜けていくんだけど。だからこそ、今。今、この手の中にある一瞬をつかみ...」
「俺たちの時間はいつも砂みたいにサラサラと、俺らの手の中を滑り抜け、それは曖昧で、すげぇ不確かで、俺たちは不器用で、肝心な時に、それを、今を、掴めない。大切な言葉はもう永遠に届くことはない。」

浅海「自分が不安なときに、自分より弱い誰かをやり玉にあげて、恐怖心を緩和する。それが人間だよ。」

浅海「大人ってさ、いつも決められた価値観のなかで生きてんだろ。だからこの非常識な現実を受け止めることが出来なかったんだよ。だから現実から目を反らした。」

浅海「やっぱ死ぬのはもったいねぇよ。生きてればさ、生きてる限りは希望はあるよ。きっと意味だってあるよ。だって何があるか分かんねぇんだから。(中略)お前等死んだら俺が寂しいよ。」

浅海「人より持ち物が少ないのって、寂しいけど、いざというときは軽くて済む。」

浅海「あの頃の俺たちは、強烈な痛みを感じたり、死ぬほど努力なんかしなくたって、生きていけたんだ。ただぼんやりと、なんとなく生きていた。なんとなく生きていたんだ、俺たちは。」

大友「俺は普通の、特に何にもない、そのまま生きていれば、そのまま流れていく日常。俺たちは平和な時代に生まれたんだ。安全だった。安全で退屈。すでに何もかも出来上がった後に変動のない時代。生きる実感なんかなくたって生きていける。だから意識したこともなかった。生きていることも、何かに守られているということも。」

浅海「守れなかった約束のせいで、三崎さんが一生こいつのこと忘れらんないんだったら、俺は、いっそ、その約束になりてぇよ。」

田代「僕は今まで生きてきて、特に特別には世界に必要のない人間だと思ってた。でも、ここだとちゃんと僕がやるべき仕事がある。僕の居場所がある。本当にここは嫌な世界なのか。僕は帰りたくないのかもしれない。」

浅海「弱ぇんだよ、俺たちは。お前らはさ、悲しいとか嬉しいとか、誰か守るとか何か守るとか、生きる意味とか、そういうのなんもねぇんだろ。シンプルに生きてんだろ。俺らダメなんだよ。弱ぇからさ。そういうのなしじゃ生きらんねぇんだよ。ただ生きるだけじゃ足りねぇんだよ!それが無駄だって言うなら...でもそれでも俺たちは生きるしかねぇんだ!」