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ドラマ 「カルテット」

坂元裕二インタビューより「嫌なことをして何かを諦めて生きるよりは孤独死上等」と言い切る、彼らの姿を肯定したい 」

「夢」「夫婦」に対する素敵な、くぅ~~~っとなる台詞のオンパレード。何回も「うわぁ~~~」となりながら、見終わりました。特に偶然と運命のくだりが、大好きです。宮藤官九郎の「監獄のお姫様」での反省と後悔ばりに胸に刻んでます。

「夢」という点では先日見てた「コントが始まる」にも通じる部分があり、面白かったです。夢を趣味にするのか、夢のままにするのかっていう視点、いいですよね。

こんなに的確に?夫婦のすれ違いを描いてるのって、なかなかないと思います。すれ違いってこういう小さなことの積み重ねなんだなぁ。言葉に出来ないすれ違い、言葉に出来ない「わかってよ」、言葉に出来ない「~~だったらな」が、全部全部、言語化されてたように思います。よかれと思ってることが、裏目に出るというか。夫婦って、家族になるって、色々諦めるというか許容するというか、全てを知ってしまうからこそ、コミニケーションが大切になるんだと思いました。最終的に真剣に向き合うことが出来なくなってしまうから。

幹生「好きなものを見て、隣を見たら彼女も同じように感じている。そんなことは些細なこと。」 
 真紀「こんな面白くないものを、面白いって言うなんて、面白い人だなぁって。よく分かんなくて、楽しかったの。」
自分が面白いと思うものを面白いと思ってもらうか、面白いものがすきなことを面白いと思ってもらうのか。

有珠みたいなさあ、コミュニティを怖そうとする人ってなんなんだろう。一定数本当に存在するよなぁ。なんのためにやってるのか、理解出来ない。

7話の幹生の元に戻ろうとする真紀がすずめに言った「抱かれたいの」って本当に。カルテットでは埋められない唯一の欲で、すずめにそれを埋めることは出来なくて、完全に敗北で。きついよ~!泣いちゃうよ~!!
8話の蕎麦食べながら、4人が次々に入れ替わっていくシーン、かなり好きです。ワクワクしちゃう。真っ白なすずめちゃんと真っ暗な真紀さんの対比~!!  最後の最後に大倉孝二出てくるって最高なのよ。最高。
そしてなんでもない台詞が伏線になっているのがすごい。9話冒頭、家森が「ホッチキスは商品名で、ステープラー~~、本当の名前で呼んで」と持論語っていた、あれもしっかりちゃんと伏線で、くぅ~~~!!みぞみぞする!!

最初まともなのは別府さんだけだったのに、最終回では逆転しているというのも面白い。
最終話、すずめが真紀の指や髪を見て、苦労を察するシーンがとてもとても好きです。

すずめちゃんのスーツがずっとかわいい~。どこのだろう。真紀さんとすずめちゃんのシーンは漏れなく、漏れなく全部大好き。私もあんな尊敬できる大好きな同性に出会いたい。

このドラマ脚本は当て書きで書いたみたいだけど、この4人じゃなきゃこんなに面白くならなかったと思うから、やっぱり役者も脚本も大事だなと思う。真紀さんは松たか子だからこそ、この女なんかあるんだろうなと醸し出せると思うし、それぞれなんか抱えてるんだろうなという含みの演技というか、背景まで含んだその役が、その人間がそこに存在してる感じ。

#1
家森「唐揚げにレモンするってことはね、不可逆なんだよ。二度と元には戻れないの。」
真紀「思いやりじゃないですよね。あの人に未来の自分たちを見たからですよね。わたしたち、蟻とキリギリスのキリギリスじゃないですか?
音楽で食べていきたいって言うけど、もう答えでてると思うんですよね。好きなことで生きていける人にはなれなかったんです。
仕事に出来なかった人は決めなきゃいけないと思うんです。趣味にするのか?それでも、まだ夢にするのか?趣味にできた蟻は幸せだけど、夢にしちゃったキリギリスは泥沼で。
ベンジャミンさんは夢の沼に沈んだキリギリスだったから嘘つくしかなかった。そしたらこっちだって奪うしかなかったんじゃないですか。」
真紀「絶対なんて無いんです。人生って、まさかなことが起きるし、起きたことはもう元には戻らないんです。レモンかけちゃった唐揚げみたいに。」
「夫婦って、別れられる家族なんだと思います。」
すずめ「どうして雲ってると、天気悪いって言うんですかね?良いも悪いも、曇りは曇りですよね。私は、青空より曇った空の方が好きです。」

#2
真紀「練習したから失敗するのが怖いんです。」
「人生には後から気付いて、間に合わなかったってこともあるんですよ?」
「この人にはわたしがいないとダメっていうのは、大抵この人がいないとわたしダメ、なんですよね。」
別府「俺は、偶然を運命に変えるチャンスを3回も逃したんだ。」
真紀「悲しいより悲しいのは、ぬか喜びです。」
「いなくなるのって消えることじゃないですよ。いなくなるのって、いないってことがずっと続くことです。いなくなる前より、ずっと側にいるんです。」

#3
真紀「泣きながらご飯食べたことがある人は生きていけます。」

#4
別府「慰めてるうちに結婚しちゃいました。僕も元気なかったからね~。元気があったら、人は結婚なんかしないでしょ。」
茶馬子「20代の夢は男を輝かせるけど、30代の夢はくすますだけや。」
「子をかすがいにした時が、夫婦の終わる時や。」
「妻ってな、夫にな、もし結婚してなかったらって思い浮かべられることほど、悲しいことないよ。」
別府「あなたといると二つの気持ちが混ざります。楽しいは、切ない。嬉しいは、寂しい。優しいは、冷たい。愛しいは、虚しい。愛しくて愛しくて、虚しくなります。」

#5
すずめ「(浮気を)バレなかったらしてもいいって、ズボン履いてるけどノーパンみたいなことですよね?」
有朱「それ言ったら、人間関係ってどれも、ズボン履いてるけどノーパンみたいなことじゃないですか?私はズボン履いてればノーパンで良いと思います。7割本当だったら、3割ウソでも、本当ってことじゃないですか?」
「この世で一番の内緒話って、正義は大抵負けるってことでしょ。夢は大抵叶わない。努力は大抵報われないし、愛は大抵消えるってことでしょ。」

#6
真紀「私は家族が欲しくて結婚して。」
幹生「結婚しても、恋人のように思っていたくて。」
真紀「気が付いたら、彼は、家族じゃなくて、片思いの相手になってて。」
幹生「彼女は、恋人じゃなくて、家族の一人になってて。」

#7
真紀「いいよ、自分の人生なんか。面白くないもん。こんな人間の人生なんか、いらないもん。」

#8
すずめ「好きだってこと忘れるくらい、いつも好きです。」
家森「他人の夢の話を聞いても、へぇ〜としか答えられないでしょ。へぇ〜からは何も生まれませんよ。へぇ〜を生まないで。」
「夢の話でしょ?片思いって1人で見る夢でしょ。すずめちゃんがここを出たいのはさ、真紀さんを見てる別府くんを見てるのがつらいからじゃないの。」
別府「みんながみんな、向上心持つ必要ないと思います。みんながみんな、お金持ち目指してるわけじゃないし。みんながみんな、競争してるわけじゃないし。一人一人、ちょうどいい場所ってあるんだと思います。」

#9
大菅「たいがいの犯罪者は、自分を被害者と思うことから始まりますけどね。」
真紀「咲いても咲かなくても、花は花ですよ。私の考えたことわざです。」
すずめ「起きても寝てても、生きてる。」
別府「つらくても苦しくても、心。」
すずめ「だってこぼれてたもん。人を好きになるって勝手にこぼれるものでしよ?こぼれたものが嘘なわけないよ。」

#10
大橋「皆さん、椅子取りゲームで負けたのに、座ってるフリしてるだけですよね。」
別府「僕はこの1年無駄じゃなかったなって思います。夢は必ず叶うわけじゃないし、諦めなければ叶うわけでもないし。だけど、夢見て損することは無かったなって。1つも無かったんじゃないかなって思います。」

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