【往復書簡】4通目(シモダヨウヘイ様)
拝啓 シモダヨウヘイ様
急行です。
先日はお返事ありがとうございました。
シモダさんに言われてから「夏が暑くって本当によかった」と感じる機会について考えてみました。個人的にはトトロの劇中にある小川で冷やした野菜のシーンでしんみりできる瞬間に「夏が暑くって本当によかったなあ」と思います。暑くなければ野菜を「冷やす」ことはしないでしょうし(小川というのもグッとくるものがあります)。
おいしいからといってビールの飲みすぎにはくれぐれもご用心くださいね。たまには健康的なトマトスープを飲むなどして休肝日を設けることもお忘れなく。
そうそう、「地方紙やSNSで得た情報をピックアップして実際に出かけること」についてのご判断、ありがとうございます。なるほど、扱いかたによって分類すればよいのですね。
では、いざ道具を目の前にしたとき、探すか浴びるかを自分で選ぶことが大切なのかもしれません。……と考えながらお返事を読み進めていったところ、シモダさんがきちんと「乾いた状態と潤っている状態を自分の意思で選択できることが大切」と言及されてらっしゃったので、さすがだなぁと思いました。自分が考えていることを言わずとも他人がそっくりそのまま言ってくれる、これほどラクなことはありませんね。人はこうして思考がにぶっていくのかもしれません。時に他人の言葉さえ便利な道具になってしまうのですから驚きです。そして他人の言葉には不便さを感じず、それがひどく恐ろしく思います。
ここからはまた道具の話になるのですが、私が画材などを選ぶときに考えていることについて答えますね。
「これがあれば私は楽しめそう」と考えながら選んでいます。気をつけているのは「あんまり楽しめそうにないものは選ばない」という点です。たとえば高価な水彩紙だったら下描きのときから緊張してしまって私としては非常に楽しくなく、お手頃価格な水彩紙のほうがのびのび描けてとても楽しい、といった具合に。とても自己中心的な考えで恐縮ですが、何を選ぶときにしろ、私はそのように気をつけております。せっかくなら、シモダさんが道具を選ぶときに考えていらっしゃることなども知りたいものです。
それから、ふんわりした文章についてお答えくださり、ありがとうございます。納得いたしました。そのお心がけ、素晴らしいと思います。文面で誤解が生まれてしまうことほど心底むなしいものはありませんしね。私も気をつけたいものです。
それはさておき、「えへへ」じゃないです。「えへへ」じゃないですよ。ここぞとばかりにかわいこぶられ、意表を突かれました。シモダさんが油断も隙もないお方だということを失念していた自分を悔やみます。
そういえば、私のなかでシモダさんの趣味は「言わずもがな」読書だろう、と決めつけておりました。しかしお話を聞きますと、どうやらそれは私の勘違いだったようですね。シモダさんにとって「読書」はどういう立ち位置なのか、それが非常に気になります。教えてください。
合同展、はやくも最終日を迎えてしまい、現在は寂しさを感じています。
こちらこそ初日にご足労いただきありがとうございました。こうして文章をつづるのとはまた違う難しさを感じながら説明させていただきましたところ、真摯に耳を傾けてくださったことには感謝しかございません。
そうそう、新たに浮かんだ疑問とはいったいなんでしょうか。差し支えなければ、こちらに関してもお教えくださいますと幸いです。
徐々に涼しくなってきているこのごろですね。アイスのフレーバーも秋色に染まりつつある気がします。カップ型でおすすめのアイスがあれば、こっそり写真を送ってください。
いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使用させていただきます!