中学野球と高校野球の大きな違い

息子は全国レベルの中学硬式クラブと高校野球部に所属していた。
私は父親としてサポートのためグランドに入り、練習試合の審判をつとめ、時には各世代での指導者の指導を聞き、スイングを論理的にどう捉えられるか、理論に破綻がないか、また破綻がある場合、そもそもその理論が間違っていたのかなど、様々な角度からバッティングのスイング理論を確立してきた。
全ては息子のスイング向上のためだ。 
他者から授かるモノには必ずその「他者」の経験や感情、概念や信念が入るからだ。野球の世界に医者や薬に相当するようなヒト・モノはない。自分の息子に「どの理論・技術なり」を与えられる前に親が正しい薬かどうかを判断することは非常に大切だと改めて思う。
中学野球と高校野球で必要なバッティング理論、最も大きく異なる点はバットの軌道にある。 中学野球はテイクバックからバットを地面に対して水平に大きな円を描くようなヘッドの加速をさせると打球は強く遠くに飛ぶ。 
シンプルなドリルとしては、トップの体勢から体重をピッチャー方向に移動させる時にすでにバットのヘッドを寝かせておく、グリップの位置は高く置かず、肩の高さ。そうするとバットが回転運動を行う時には既に地面に対してグリップとヘッド共に水平をキープできて、強い遠心力が働く。
中学生は全国レベルでも120kmから135kmのストレート、曲がってるか曲がってないか分からないくらいの100kmから120kmの変化球をどれくらい打ち損じがなく打てるかにかかっている。中学生のバッターは840gくらいの83cmのバット、中3で900gの84cmを使うが、それでもバッターが圧倒的有利だ。だとすると、無駄が大きくてもバットを後ろから大きく振り回すと打球の打ち損じが少なく尚且つ遠くに飛ぶという試合で使える打者になるというわけだ。
中学シニアの指導者には2種類の指導がある。
1つ目はこのバッティング理論を使って全国大会で打ち勝つ野球。
2つ目は中学野球では効果的ではないが高校に上がった時に苦労をしないように高校で使えるバッティング理論。
なぜ1つ目が成立するかというと、中学野球で実績が上がらないと高校野球の強豪校で「特待」が取れないからである。つまりまずは「特待」をゲットして、高校野球で伸び悩んだらその時に考えましょう、という近視眼的な発想がその根底にある。
2つ目の理論は一見思いやりがあるように見えるがこれも実は短絡的だ。
高校野球で使えるバッティングは木製バットになった途端に消えてしまうくらい脆弱な理論だ。
なぜこのようなことが起こるか。
それは中学野球の指導者が依然として経験則といい加減な発想を勝手に理論と解釈して子供達に教えているからにほかならない。
Youtuberでもいるが、バッティングに「てこの原理」と「遠心力」という言葉を用いる。 いずれも物理学的に根本的に間違っている。

次回になぜ中学最強バッターが高校で沈むかを述べたいと思う。

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