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PSYCHO-PASS 2〜システムから見放された男。

ネタバレ多くあるので、未見の方はご覧になられませぬよう。
これはわたしの独善的な解釈込みなので、本編はもっと深く、複雑で数百倍は面白いと思うよ。
※昨日アップしたものが手違いで消えてしまったので再度一から書き直し。

槙島と狡噛の死闘から1年半後の世界。

season1第7話で、女子高生が標本化された遺体となって発見された事件の舞台となった桜霜学園で、驚異の洞察力を見せた霜月美佳(CV:佐倉綾音)。

初めて未成年として執行官に採用された霜月も捜査に慣れ、一係のメンバーも落ち着いてきた頃、爆弾テロ事件が起きる。

朱は、犯人の犯罪係数が下がるのを待ってパラライザーで生かして捕まえ、きちんと罪を裁こうとするが、霜月は、オーバー300の時点で殺処分にしない朱のやり方に納得がいかない。
そんな朱のやり方が采生局長に評価されている(実はちょっと違う)ことが気に喰わず、霜月は采生局長へ朱の問題行動の報告を送り続ける。
このシーズンでは、霜月はひたすら嫌な部下に見えちゃうんだよね。
正論をぶち上げて自分に酔う、正直一番嫌いなタイプ。

執行官殺害現場のメッセージ「WC?」

そして、二係の酒々井監視官が部下の執行官をドミネーターで殺し、ドミネーターとともに行方不明になってしまう。
そして、壁には血文字で謎のメッセージが残されていた。

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ところが、数日後、朱の部屋の壁にも「WC?」のメッセージが。誰も入った痕跡はないのに。

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そして、このメッセージの意味するところは何なのか。

透明人間の存在証明

爆弾テロをの犯人や、犯罪係数が上がった政治家など、複数の人々が、「鹿矛囲(カムイ)に色相をクリアにしてもらうんだ」「世界と戦う」と言っている。
朱は鹿矛囲が実在する人物だとして鹿矛囲の存在を探す。自分の部屋にメッセージを残したのも鹿矛囲だと断定する。
一係のメンバーは、朱がストレスや疲れで参っており、自身で書いたことに気付いてないだけではと疑う。

朱は、狡噛を通じて知り合った雑賀を訪ね、雑賀に問う。
雑賀は朱の話を聴き、それを「悪魔の証明だな」と言う。

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サイマニックスキャンに引っかからない透明人間がいる。
透明人間が「いる」という証明はできない。しかし、同様に「いない」ことを証明することもできないのだ。朱は、鹿矛囲が実在することを確信する。

鹿矛囲(カムイ)は実在する人物だった

ここから、新たなる敵、鹿矛囲(CV:木村良平)の存在が徐々に明らかになってくる。

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鹿矛囲は酒々井を確保。彼女の眼球を取り出し、酒々井の生体認証のパターンをコンタクトレンズに移植することで、コンタクトレンズを装着した者はドミネーターの操作が出来るようにしたのだ。

鹿矛囲は薬に詳しく、薬の絶妙な調合ができるため、薬物とカウンセリングで色相をクリアにしていたのだ。
酒々井も、片目の代償として、鹿矛囲の治療を受け、捜査の中で濁りがちな色相をクリアにしてもらう。もう、捜査の度に怯えなくてもいいと励ましながら。

鹿矛囲は、酒々井のドミネーターで、いろんな方法を試すようになる。
鹿矛囲の狙いは、ドミネーターを大量に手に入れ、改造して、シビュラシステムを破壊すること。その目的も明らかになっていく。

東金朔夜執行官の行動の謎

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今回一係に配属された執行官もかなりのくせ者。
彼、東金朔夜(CV:藤原啓治)は、元執行官。彼は何故か朱にドミネーターを向け、彼女の色相をのぞき見ている。
史上最高の犯罪係数を持つ男らしい。これまで上司だった4人監視官の犯罪係数を異常に高くさせて、ドミネーターで執行処分を行い、殺しているというのだ。

彼の異常な行動に気づいた霜月は、こっそり東金の部屋に忍び込む。
机の中には、朱の写真や資料がびっしりと入っていた。
何故?何のために?

リアルな現実のゲーム画面

今、自分がプレイしているゲームが、実際にドローンを動かして人殺しをしているとしたらどうだろう・・・。

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大人も子どもも夢中になって遊んでいるこのゲーム。実は、国防省のドローンの操作画面になのだが、保護プログラムでゲームのように偽装されている。このゲームで人々が追い詰めて倒している敵は、実は執行官や監視官、国防省の人々なのだ。
遊んでいる人たちに、殺人の罪の意識はない。自身は単なるゲームのプレイヤーだと信じて疑わないから。

そして、鹿矛囲たちはドローンとの戦いで犯罪係数の上がった三係の執行官たちをドミネーターで倒していく。鹿矛囲の本当の目的に気づいた朱は、執行官を下がらせ、自身が前に出てドローンと戦うのだった。
この朱の瞬間的な判断力よ。本当にこの子は凄いよなあ。
メンタルも強くて、まっすぐ。

そして、鹿矛囲桐斗、本当にどれだけ頭いいんだろう。
敵ながら、すごいと思う。(槙島とは違う意味で)
そして、このドローン格納庫近くから、いろんな人間の臓器や身体のパーツが大量に保管されているのが発見される。
なんと、政府の要人などが、顔の皮を被った別人。不法入国者たちとすり替わっていたのだ。

15年前の飛行機事故が発端。

人質のホロを解析していた執行官の雛川(CV:櫻井孝宏)たちは、ある事実にたどり着く。

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このホロは、修学旅行で飛行機事故の犠牲になった小学生の成長ホロだった。他の事件で発見した薬剤師のホロも、同じく犠牲者の成長ホロであることが判明。

実は、鹿矛囲たち185名は、事故の犠牲者で、助かったのは鹿矛囲たった一人なのだった。

わたしがこのくだりで思い出したのは、ブラックジャック。

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そして、鹿矛囲は、多体移植という方法で、脳は7人の、身体は184人の身体を繋ぎ合わせることで生存していることがわかる。

鹿矛囲は、シビュラシステムから、死体の集合体として認識されていた。
だから、サイマティックシステムが認識しない、透明人間と化していたのだ。

そして、ホロを纏った鹿矛囲は、それぞれの存在として、公安局の中にも入り込んでいた。宜野座のカウンセラーが彼の纏ったホロであったように、鹿矛囲は公安のすぐ近くにいた。

霜月は、その多体移植の特許を東金財団が持っていることを知り、東金執行官と東金財団の関係を探り始める。

東金美沙子・朔夜親子の暗躍

シビュラシステムの一部と化した東金美沙子は、この件の直接的な関係者であったことから、この事態の収拾のために局長として現場に立つ。
もちろん、息子の東金執行官もこのことを知っている。
自身の唯一の理解者である美沙子に対する東金の愛情がキモいほど。
マザコンここに極まれり。

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霜月は、東金執行官の真実に辿り着く。
采生局長が東金美沙子であることを知らない霜月は、朱のことだけでなく、東金のことについてもレポートに記載、局長に提出する。
この時、美沙子によって、霜月もこの世界の秘密を知ることとなる。
ただし、霜月はシビュラに逆らうことなく、シビュラシステムを全肯定し、受け入れる。そして、自らの色相が濁ることを恐れるあまり、シビュラを盲信し、東金に逆らうことができなくなってしまう。
それが霜月の弱さだと思う。

朱の祖母を殺したのは?

鹿矛囲には様々な協力者がいて、国交省の桒島もその1人。
桒島は、小学生の頃転校したために飛行機に乗っていなかった同級生。
桒島も、同級生たちの無念を晴らすために、鹿矛囲に加担する。
要人たちは、密入国者たちを家畜として改造して楽しんでいた。そのために色相が濁った時、鹿矛囲の手を借りて色相をクリアにしていた。
彼らも全て、鹿矛囲たちの手により処分される。
そんな中、駆けつけた朱に届いたもの。

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それは、愛する祖母、葵の左耳だった。
祖母をさらったのは桒島。
そして、その後事態は最悪の結末を迎える。

愛する祖母の死。そもそも、祖母の居場所を桑島に教えたのは?

東金朔夜に探すように命じられたのは、霜月だった。
ますます霜月が嫌いになる。海外の愛好者たちから「bitch」と呼ばれていたのは仕方ないのかも。

全能者のパラドクス

祖母を殺されて、怒りに震える朱を救ったのは、狡噛の幻影?だった。
朱は、落ち着きを取り戻し、鹿矛囲に世界の秘密を見せることを決意する。

美沙子の脳を持つ采生局長は、鹿矛囲を抹殺するよう朱に命ずるが、朱は従う気はない。
その朱の前に立ちはだかったのは東金だった。
しかし、東金の目論みはすでに朱は計算済み。
東金に手錠をかけると、現れた鹿矛囲とともに、シビュラの元へ向かう。

行く手を遮る局長の美沙子。
美沙子は自身の責任を取るために、鹿矛囲を抹殺しようとする。

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鹿矛囲はシビュラに問いかける。

僕たちという存在を賭けて聞こう。
シビュラよ!僕たちの色が見えるか?

シビュラシステムには、集団的犯罪係数を計測する概念はない。
なぜならば、シビュラシステム自体が集合体であるから。
もし、鹿矛囲を人間として認識することになれば、それは返せばシビュラシステム自身の判定をもしなければならなくなる。

新しい進化を受け入れることは、自身のシステムの根幹をも侵しかねない。
しかし、鹿矛囲のような集合体を認識できないシビュラシステムは、全能だとは言えない。
シビュラシステムが全能であるためには、その概念を受け入れなければならないが、受け入れるということは、自分自身も集団のサイコパスが悪化する可能性も内包する。

これが、全能者のパラドクス。

WHAT COLOR ?

「WC?」の意味は、「何色?」と問う、「WHAT COLOR?」であった。

シビュラシステムの答えは、新しい概念の受け入れ。
東金美沙子は免罪体質であるが、集団であるが故に犯罪係数が上がり、鹿矛囲の持つドミネーターのエリミネーターモードで執行された。

これが…お前の色か。

そして、シビュラシステムは、自身の選択と、その選択をする上で犯罪係数を上げる要因のある脳たちの排除を行うのだった。

システムに、ついに集団的サイコパスの概念が装着されたのだ。
鹿矛囲たちは透明人間ではなくなった。

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僕は今、何色かな?

世界の行方を見守る者

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鹿矛囲の本当の狙いは、シビュラシステムに集合的犯罪係数の概念を取り入れさせることで、単体では低い犯罪係数でも集団になると高くなる、それを集合体であるシビュラシステムにも利用して、いつかクリアな誰かの手でシビュラを壊滅させることだった。

別の可能性もある。君ももう、気付いているだろう。
君が願う法の精神。それがもし、社会という存在に等しく正義の天秤となるなら、いつかその精神こそがあそこにいる怪物を本当の神様に変えるかもしれない。

そう言い残し、鹿矛囲は東金執行官にエリミネーターにより執行され、絶命してしまう。

そこなんだよな!朱の遵法精神と、正くあろうという心は、免罪体質の者たちの集合体であるシビュラシステムさえも凌駕するかもしれない。

最後に、朱の言葉を置いておく。
彼女はどこまでも澄んでいる。

あなた達自身が廃棄を選択する時が来たら、一緒に地獄へ行ってあげる。

シビュラシステムの空席に朱を迎え入れようという意見がある、中から変革しないか?という局長の問いに、そう答える朱。

めっちゃカッコよくね?もう、痺れたわよ。

楽観だろうと…選ばなければ実現しない。
社会が人の未来を選ぶんじゃない。
人が、未来の社会を選ぶの。
わたしは、そう信じてる。

わたしも信じてる。
人は、そんなに弱くない。

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