皆さん、新型コロナ対策は予防を頑張りましょう。

新型コロナウイルス感染症COVID-19についての情報をお求めの方は、厚生労働省の情報ページか専門家の情報をフォローしてください。私は専門家を紹介する立場にはありませんが、例えば以下の方などが穏当かと思います。
・押谷 仁(東北大学
・高山義浩(huffpost記事一覧
・今村顕史(@imamura_kansen
・岸田直樹(@kiccy7777
筆者は医療や行政法の専門家ではありません。単なる素人の感想なので医療情報としての信頼は置かないでください。基本的に自分が納得するためだけに書いたものであり、他者を納得させるために書いたものではありません。

今回の新型コロナウイルス感染症(COVID19)に特徴的なのは、不顕性感染や軽症期間の長さである。これは、2月初頭に中国からの情報が入り、その後クルーズ船の全数検査のデータが入ったことで、2月中旬頃にはほぼ確実となった。

新型ウイルスのこの特徴は、検査による発見の難しさも意味していた。現行のPCR検査はのどのぬぐい液の中にウイルスが含まれているかを判定するものでありある程度増殖して喉にウイルスが染み出してきたことを確認するものである。あまり増殖していない段階では検出しにくく、また回復具合によっては検査陰性と陽性を繰り返す人もいる。このことから、検査を徹底してもかなりの割合(おそらく割単位)で見逃しが生じ、見逃したところからいくらでも爆発的感染が生じうることから、予防がより重要であることが2月中旬頃から意識されていた。もちろん、隔離の有効性を否定するものではないが、それだけではおそらく足りないということである。

予防すべきところ

基本的な予防方法は厚生労働省のガイドラインが参考になる。

まず最初にハンドソープを使った手洗いの徹底、咳エチケット、洗濯、良い睡眠と良い食事といった個人的に行う基本的なものから、手指消毒剤の設置や手で触る部位の消毒などの施設管理者の行う対策、在宅勤務の奨励や遠隔会議、残業の削減など会社で行う無理のない対策などはまず基本のキとして外さないようにしたい。

その上で、現在まで多く感染例が出ている以下の条件も気を付けたい。
1. 換気が悪く発声(や飲食)を伴う場所(クラスター対策班提示条件)
2. 家族内感染
3. 病院での感染、介護による感染

換気が悪く発声(や飲食)を伴う場所(クラスター対策班提示条件)

新型ウイルスが日本に上陸した当初は、ジム、立食パーティ、ライブハウスなど特定の条件を満たす施設で大量感染が多発しており、愛知県のジムでは37名、大阪府のライブハウスでは2次感染含めて総計100名以上の感染を引き起こした。この重要性に気付いた感染症対策の専門家は、大量感染が起きる条件を「換気が悪い密閉空間」「近距離での会話や発生がある」「手の届く距離に多くの人がいる」と特定し、そういった条件の場所を避け、条件を回避する改善を求めている(専門家の解説現在最新の公式資料)。

コメント 2020-03-21 192721

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の見解」2020年3月9日

またこのほかに、ビュッフェの自粛も求めているが、最近でも香港の披露宴や米国の学会の懇親会などビュッフェ・バンケットでの感染事例は多発しており、飲食を伴うこと、多数で一つの器具(トングなど)を共有することが高リスクなのも依然としてあり、今後とも注意が必要そうである。

現在は専門家会議の提言によりこれらの対策が進んでいるが、無対策であった場合依然としてこれらが最大の感染源になっていたであろうことは想像に難くない。

また、これらの条件を満たさない限り外出しても感染リスクは低い。例えば体力維持のため一人でジョギングやウォーキングに出かけるのは、公衆衛生上は好ましいと言っていいくらいである(他者が触った何かをべたべた触ったりしない限り)。昨今花見のシーズンとなっているが、密集にならないようにして飲食を避ければ、新型コロナウイルスについては取り立ててリスクを高める行為にはなりにくい。

家族内感染

家族内感染は、大規模なクラスターになることはないものの、中には一家全員感染という例もあり、1月から今までの全体の総数の中では無視できない数の感染を生じている。先日のWHOの発表(podcast)でも、自宅隔離における家族感染の防止について触れられていたが、これは中国で家族内感染の防止が重視されていたからのようである。

家族内感染の防止については、特に検査する前に「ちょっと風邪気味」と思ったときから実施する必要がある。その方法については、日本環境感染学会の取りまとめた「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合家庭内でご注意いただきたいこと~8つのポイント~」という資料が参考になるだろう。同一内容を見やすいデザインにしたものが東北メディカル・メガバンク機構が出しているので、企業で配るのにはこちらが良いかもしれない。このほか、BBCによる動画もある。

病院での感染

もう一つ、今回のウイルスで重要な感染ルートは病院での感染である。多くの専門家が指摘する通り、今現在でも病院こそが最も高リスクな場所の一つとなっている。入院者や医療者側の感染防御はプロがやることになるが、我々のような外来利用者もできることはある。

1. あなたが風邪気味で帰国者または帰国者への接触者の場合、帰国者・接触者相談センターに電話で相談する。そうでないなら、2以下のフローに移行する。
2. 軽い風邪程度で病院に行かず、自宅療養する。もちろん、元々合併症を持っている場合、38度より高熱を発している場合、息が切れて肺炎の疑いが濃い場合など、重症化の懸念があるときは病院に行くことを躊躇しなくてよい。
3.
病院に行く場合は、必ず電話予約する。診察で感染する場合はどうにもならないが(医療側が気を付けるべき問題でもある)、待合室で感染する・させるのは余計以外の何物でもない。待合室に滞在する時間を最小化するため、時間をしっかり決めるとよい。
4. あなたが感冒(風邪)様症状で病院に行くならば、マスクを着け手を洗って行くと良い。

介護による感染

より厄介なのが、介護である。介護はしないわけにはいかない上、今回のウイルスで重症化しやすい高齢者が多いため、より慎重になる必要がある。介護施設については我々外部の素人が直接関与する領域ではないので、行政の施策に期待することになるだろう。家族介護の場合、筆者が少々案じてみたが、上記の家族内感染対策だけでは厳しいため、行政の支援が期待される。


現在の日本の場合、デイケア・デイサービス(日中通所型リハビリ)施設が目下最大の感染の連鎖を生み出しており、愛知県と兵庫県での感染拡大の中心になっている(この点は高山氏が2月中旬には指摘している)。

「日中通所型リハビリ施設」は、その実ほとんどジムである(下記写真参照)。現在はジムの中に高齢者向けに振ったサービスを行っているところも多く、軽度の要介護ならデイケア、要介護でない人の自発的体力維持がジムという住み分けで、実態は同じである。

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四日市羽津医療センター附属介護老人保健施設 デイケア設備

クラスター対策班がジムのリスクを指摘しているが、一般向けジムの場合は一時閉鎖などの対策が取れるものの、デイケアはやめるとそのまま寝たきり化などにつながるため、やめることのデメリットも大きい。ジムも含めて総合的な対策が必要であると考えられ、業界団体が頑張る領域になりそうである。

ひとまず利用者側としては、発熱チェックを欠かさず、感冒(風邪)様の症状が現れたら利用を控える、施設側が別室案内するなどの方法が必要だろう。




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