感染者数のデータを厚労省が誤魔化すことはできないが、集計は上手くない


最近、新型コロナウイルスの累計患者数についての厚労省発表に日ごとに矛盾があり、厚労省が「恣意的に変更」しているのではないか、と申し立てているブログがあった。これに対するシンプルな回答は、厚労省が恣意的な操作はできない仕組みである、となるだろう。

感染症法を見て頂ければわかるが、感染症への対処を行う主体は都道府県であって国ではない。医師が患者の発生を報告する先も都道府県である(第十二条)。患者の発生を発表しているのも記者会見しているのも都道府県である。

厚労省はこれら都道府県(と港・空港の検疫所)の発表を集計しているに過ぎない。第三者が都道府県発表を集計することは勝手で、各報道機関も(速報競争のために)やっているし、民間で集計している人もいる(民間のほうは発生地まで事細かに記録されている)。実は我々と厚労省は同じデータしか持っていないわけで、ごまかしは不可能である。

集計ブレの原因たる都道府県の主体性

ではなぜ厚労省の集計に矛盾・ブレが出てくるかというと、検査主体が都道府県で、集計のための仕組みが整備されていない、というのが大きいだろう。当該ブログで問題にしている国籍については聞き取り可否やプライバシーの問題もあるだろうし、都道府県別に報告・集計フォームに入れていたりいなかったり、変動があるだろう。

このあたりの集計がしにくい状況は、検査数集計が顕著である。そもそも検査数自体を公表せよという要求が出てくると想定していなかったのか、検査数を公表するようになっても
1. 疑似症サーベイランス(医者が疑わしいと言ったので検査したもの)
2. 積極的疫学調査(今回は特に濃厚接触者の調査
がバラバラに報告されていて3/4から合算するようになったので急に検査数が増えていたり、あるいは都道府県ごとに検体数(1人2検体)を集計するのか検査人数を集計するのか基準が定まっておらず、それをそろえるために3/20に累計検査数が減ったりしている(人数にそろえた)。

筆者は以前肺炎データも集計できないかと書いたことがあったが、カルテや保険の関係上うまく行かない例があるらしく、このあたりもう少し人を増やして、末端からのデータ発表と自動的集計が滞りなくできるよう、分かりやすいという意味で透明なシステムを作ってほしいところではある。


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