見出し画像

原因は「教員の忙しさ?」ーー最新「不登校当事者の実態とニーズを把握する全国調査」の結果と、今日のNHKスペシャルについて

こんにちは。ちょっとだけ緊急でご報告です。

2023年10月6日から12月31日に「不登校のこどもの育ちと学びを支える当事者実態ニーズ全国調査」が実施されました。
応募者が多く、600名予定の定員を、急遽900名に増やしたそうです。

主催は特定非営利活動法人多様な学びプロジェクト。
協力は、東京学芸大学 教育学部特別ニーズ教育教授加瀬 進さんと、一般社団法人学術・教育総合支援機構です。

Voicyでスクールカウンセラーのよこちかよこさんがお話しされています。

そしてこの動画のアーカイブが26日に出ていました。

【シンポジウム】不登校当事者の実態とニーズを把握し官民共創でつくる効果的な施策とは | 「不登校のこどもの育ちと学びを支える当事者実態ニーズ全国調査」報告会

不登校になったきっかけは「先生」「学校システム」

調査の背景として、不登校児童・生徒数は4万8813人増加して、24万4,940人と過去最多になった(令和3年)、という問題があります。

アンケートでは、不登校になったきっかけを、保護者や不登校当事者の児童・生徒に聞きました。

その結果は、これまでの(主に学校による)調査とは大きく違っていたそうです。

一位は、「先生との関係」先生と合わなかった、先生が怖かった。(36.3%)
二位は、「授業がつまらない」勉強はわかるけれど授業が合わない。(授業がわかるけどつまらない。読み書きが苦手。グループワークが苦手など)。(35.2%)
三位は、学校のシステムの問題(価値観が古い、時代に合わない、風土に合わないなど(28.3%)

(*動画の7分30秒あたり)

声の例をあげてみます。

「先生が、いつもピリピリしていて、怒鳴る場面もあり、息子は怯えたり、先生の理不尽な行動に怒ったりしていました」
「学校が忙しすぎる。分刻みのスケジュールで休み時間も着替えや移動に終われ、トイレに行くのがやっと。とにかく急かされるので子供が疲弊している。先生が忙しすぎてその大変さが子どもにも伝わっている」(小5児童の母)

学校に行きたくない理由の一位が「先生」であったことを、NPO代表理事の生駒 知里さんは「衝撃的な結果」と話していました。

しかし、「教師の責任にして悪者を作っておしまい」ではないのでは、とも。精神疾患で病気休職した教師が過去最多の6539人いるので、無関係ではないだろう、先生の精神状態が子どもにそのまま影響しているのでは? と分析していました。

なぜ先生がそんなに忙しいのか

これに対し、大阪府公立小学校教諭の松下 隼司先生からは、こんな意見が出ていました。

「フリースクールを見学したり、多様な学びを先生が学ぶのはいい。しかし、そのためには何かを削らないと、とてもじゃないが難しい。残業が増えている」
「また、教師が大学で、教え方を学んでいないし、練習していない。教師になる前に十分に知識と技能を身につける必要があるのでは?」

松下先生自身も「なんでかな」と思うルールがあるといいます。
例えば、「1時間の黒板の板書を残しておかないといけない」や「子供の叱り方も統一せよ」というルール。おかしいのではないか、と思いながら従わざるを得ない。

なぜ「個別最適化」が広がらないのか、に対し、いわゆる、「学校スタンダード」の存在があるといいます。イミダスによる説明を載せてみます。

「授業中は姿勢よく座る」「掃除は黙って行う」「廊下は静かに右側を歩く」……今、日本の小学校に広がっている「スタンダード」というルールについて聞いたことはあるだろうか。インターネットで検索すると、「○○市スタンダード」「○○小学校スタンダード」などという名称で、持ち物の規定や授業を受けるときに望ましい姿勢など、主に生徒児童に対する「きまり」が数多く掲載されている。

イミダスより

https://imidas.jp/jijikaitai/f-40-192-20-03-g797

また、「ピリピリするのは教室に先生が1人だけだからではないか」とも言っていました。アメリカのシカゴからきた先生が、「教室では基本先生が二人。そして年度の準備が3か月ある」と言っていたそうです。

草津市教育委員会の北村大輝さんは、「先生も研修などでフリースクールを見に行った方がいい。しかし今すでに先生が多忙すぎるので、教員をサポートする仕組みが必要なのでは」と話していました。

子どもたちからも、「先生の八つ当たりを感じることもある。先生をあまり長時間働かせないでほしい。まず先生が幸せになってほしい」という声が出ていたそうです。

公的な資金を出すことに対する懸念

また、保護者が行政に望むこととして「学校に変わってほしい」のほか、「フリースクールなどの減免」など費用ニーズを上げる人が多かったそうです。

しかし、シンポジウムで基調講演した東京学芸大学の加瀬先生は、「公的な資金援助はいいが、教育の市場化というか、塾産業が虎視眈々と狙っている中でどうするか」と話していました。

確かに、日本の大きな傾向として、何か問題があったときに大手産業がどっと入ってきて……というのが繰り返されてきています。この辺をどうするのか?

これを受けて、1月27日のNHKスペシャルでは、不登校のことを放送するそうです。

“学校”のみらい 不登校30万人から考える
「学校のみらい」をとことん考える1部では、解決のヒントを求めて国内外の教育現場の最前線を取材▼いま韓国で人気が高まる「生徒主体の学校」とは?▼フランスでは悩む子どもを絶対に一人にさせない徹底した取り組みが▼日本でも“子どもが来たくなる学校”を目指す改革が山形の学校で始まっている!▼みやぞんが番組をナビゲート、“学校”の当事者である子どもたちに語りかける。親子で一緒に「学校のみらい」を考えよう。

興味ある方、テレビのある方(私はないのです)、ご覧になってみてください。

それではまた。

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 300

これまで数百件を超えるサポート、ありがとうございました。今は500円のマガジンの定期購読者が750人を超えました。お気持ちだけで嬉しいです。文章を読んで元気になっていただければ。