「世界侵略のススメ」のススメ

 「マイケル・ムーアじゃねぇよ!」でお馴染みのマイケル・ムーアが世界を侵略する映画。侵略と言っても、ヨーロッパを中心に、アメリカにはないすぐれた社会制度などを紹介するという内容。


 イタリアでは、普通のサラリーマンにとって長期バカンスが当たり前。実は私、昔フリーターをやっていて、南米を一人旅したことがあります。その時出会った日本人は、海外長期滞在に埋没した世捨て人か、退職した高齢者の団体旅行ばかり。対して、ヨーロッパの人々は「1か月休みをとって来たんだよ」とか「世界一周してるとこなんだ」と言う働き盛りの人がたくさん。日本の常識が世界の常識ではないことを知りました。

 フィンランドの学校は宿題廃止。更に「脳をずっと酷使していると学べなくなる」と授業を減らした結果、学力が伸びた。アメリカ留学から帰ってきた生徒がホッとしたことが、選択式のテストがないこと。フィンランドのテストは自分の頭で考えて書く。そのためには正確に知らないと書けない。もちろん評価する側の先生も自分の頭で考えねばならない。
 フィンランドの先生たちが声をそろえて言うのが「全国学力テストは廃止すべき」ということ。なぜなら、「テストで点を取るための訓練は教育ではない」から。「学校は幸せになる方法を見つける場所でしょ?」とサラッと言えるフィンランドの先生、カッコイイと思います。
 
 アメリカでは教育はビジネスだが、フィンランドは子ども優先(ホントはそれが当然なんだけど・・・)。遊具を設置するときも、建築家に子どもと話をさせ、子どもの意見を取り入れる。「子どものくせに」という発想はなく、一人の人間として尊重する。正に『子どもの権利条約』の精神です。
 実は、フィンランドの教育を成功させた方策の多くはアメリカからの発想。問題意識をもって自分で考える。自分も他人も尊重できて、幸せに生きる方法を自分自身で見つける力を育てる。子どもたちは遊び、交流し、人として成長する。人生を学校で完結させない。
 いつの間にかアメリカはテストの点数と金儲けばかりを優先する教育になってしまいました。さて、我が日本の教育の行方は…

 ノルウェーの刑務所は自由で快適。唯一の「罰」は家族や友人に会う自由を制限されること。厳罰で「懲らしめる」のではなく、刑務官や受刑者とのつながりを通して人間的な温かさを取り戻し、社会復帰させるという発想。再犯率は世界で最も低く、もちろん死刑はない。上から高圧的に懲らしめても再犯率は下がらない。(生徒指導に通じるものがありますね)
 映画では、テロで息子を殺された父親に「犯人を殺したくないか」という質問をぶつけます。すると父親は「犯人と同じレベルに堕ちたくはない」と答えていました。「やられたらやり返す」では何も解決しないというコンセンサスが国全体で共有されています。

 もちろんどの国も問題は山積で、いいところばかりではありません。民主主義の成熟度も違うので、形だけ真似しても、上手くいかない部分もあるでしょう。ただ、ヨーロッパの進んだ民主主義、特に教育のあり方から学ぶところは多いと思っています。

https://www.youtube.com/watch?v=qK20_-MDJYc&t=9s

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