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『子どもと教師の未来を拓く総合戦略55』

「資質・能力の3つの柱」「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」「GIGAスクール」「コロナ対応」……学校教育に関わる課題が山積するなかで、学校現場ではそれらをどう関連的に捉え、総合的に対処していけばよいのでしょうか。
本書では、そのための戦略を、学校現場の作戦参謀・村川教授が詳細に示しています。
刊行にあたっての村川先生のメッセージをご紹介します。

2019年度末から2021年度にかけて、学校現場はいまだかつて経験したことのない未曽有の事態に陥っています。10 年に一度の学習指導要領改訂には慣れっことしても、「育成を目指す資質・能力」「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」「社会に開かれた教育課程」「各教科等の見方・考え方」等々、聞き慣れないキーワードのオンパレードに、戸惑いも大きいでしょう。
その本格実施の直前・直後に新型コロナウイルス感染拡大にかかわる感染対策とその制約下での学びの保障GIGA スクール構想の実現に向けての取り組みが加わりました。本書はこれらを繋げて考えその実現を図るための「オールインワン」の戦略本です。

学習指導要領の改訂作業が本格化し始めた2016年度より、ぎょうせいの月刊教育雑誌『教育課程ライブラリ』(その後、何度か改名、2020年度より隔月発行)の連載を担当し、特集原稿も含めて、計62本を執筆しました。また、教育開発研究所の月刊誌『教職研修』等の原稿を合わせると70本以上に上ります。
資質・能力、アクティブ・ラーニング(後に、主体的・対話的で深い学び)、カリキュラム・マネジメント、教員研修、教員養成、総合的な学習の時間、感染症対策と学びの保障、GIGA スクール構想など、その時々の重要課題を取り上げ、研究や指導を通してかかわった素晴らしい実践を通して解説や事例紹介を行ってきました。

この期に書き溜めてきたことは多様ですが、筆者の中では繋がっています。講演や講義、学校現場指導の際にもそう伝えてきました。繋げて考え取り組むことで、多くの課題が相伴って解消されていきます。そのことを多くの教育関係者に伝えたい、分かって欲しいと願い、本書刊行を企画しました。

序章では今次改訂及びコロナやGIGAスクール構想等にかかわる諸課題を一つの図に表し、相互の関連を描いています。様々な課題を繋げて考える際の参考にしていただくとともに、図中の該当項目の表示を目次としても活用していただければと思います。

1章では、資質・能力や見方・考え方及びその評価の考え方・あり方を具体事例を挙げて筆者なりに解説しています。

2章では、アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)の捉え方、資質・能力の4つの柱を踏まえた授業づくりモデルを小中の事例をもとに提案するとともに、主体的・対話的で深い学びの授業づくり研修を紹介しています。

3章では、前回の単著『ワークショップ型教員研修 はじめの一歩』(教育開発研究所、2016 年)以降に開発・実施した研修(教員免許状更新講習を含む)や大学授業の工夫事例を取り上げています。新学習指導要領が求める教育活動実現及び教員に求められる資質・能力育成のための研修づくりの参考となります。

4章では、学校や学級、教科等のカリキュラム・マネジメントの好事例及び企業のビジョンやミッション、スポーツチーム運営をカリキュラム・マネジメントの視点から分析した事例を紹介しています。カリキュラム・マネジメントの意義を再確認するとともに視野を広げていただけるでしょう。

5章では、カリキュラム・マネジメントの核である総合的な学習の時間の充実により学校改革をなしえた事例とその実現に向けた研修などについて述べています。

6章では、コロナ禍の中においても子どもが主体となり体験的な活動を充実させた事例やGIGAスクール構想の実現に向けた授業づくりや研修について触れています。最終項では、「教師はコースメニュー(単元)を作れる一流のシェフ」と提言していますが、それは筆者自身についても言えます。講演でも講義でも原稿でも、最も重要なことは素材です。話の上手さや構成以前に、新鮮(時機を得た)で栄養価の高い(学びの大きい)素材が重要なのです。書籍に関しても同様です。本章で紹介している事例の殆どは、教師や子ども、指導主事や研究者など多くの人たちと時間をかけて丁寧に育て上げてきたものです。
                村川雅弘(本書「はじめに」より作成)

【本書の目次】
序 章:未知の次代に向けての課題に総合的・戦略的に取り組む
第1章:次代を生き抜く上で求められる資質・能力の育成と評価
第2章:主体的・対話的で深い学びによる授業改善
第3章:アクティブ・ラーニング型の教員研修・教師教育
第4章:カリキュラム・マネジメントの実現戦略
第5章:総合的な学習の時間の充実と地域創生
第6章:日本の学校教育の新たな難題・課題への対応
終 章:令和の日本型学校教育の構築に向け、いま、為すべきこと

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