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雪国旅行での雪崩[霊子さんの心霊体験]

昔から霊が見えるという霊子さん(仮名)の心霊体験のお話です。
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若い頃、女友達4人で雪国に旅行に行った。私たちが旅行するときは宿は素泊まりで、地元のおすすめの居酒屋などで食事をすることが多かった。
だが、その宿は囲炉裏で食事をするという形式だったので、食事付きの宿泊を選んだ。
大きな部屋にいくつも囲炉裏があって、宿泊客はみんなそこで食べるようになっていた。
私たちに指定された囲炉裏に座ると、料理が運ばれてきた。
その料理の中に、イナゴの佃煮があった。ゲテモノ好きではないので、一人が「うわー、なんでお金出して虫食べないといけないの?」と失礼なことを言った。
仲居さんが「ここの郷土料理なんですけどね。」と説明されたが、若い私たちには耐えられなかった。
何か他の料理に代えられないか聞いたところ、レンコンの料理に代えてもらうことができた。
横の囲炉裏では、大学生のサークルと思しき6人組の男子達が、食事をしていた。
すると、「どこから来たんですか?」と聞いてきた。口の悪い友達が「なんで?」と返したが、仲居さんとのやり取りが聞こえていたようで、「いや、聞いたことのない方言だったので。」と言われた。
ノリのいいS子が「XX県から来ました。」と答えると、「えー、XX県ですか。」というので、「え、どこから来たんですか?」と聞くと、「富山県です。でも、確かに虫は引きますよね。」と同調してくれた。
そんな話をしながら私たちは結構なペースでお酒を飲んでいた。
「明日はどこを回るんですか?」と聞かれたので、「〇〇に行きます。」と予定していた近くの観光地の名前を言った。「奇遇ですね。僕たちも行くんですよ。」と言うので、また口の悪い友達が「一緒には行かないよ。私たちは私たちで回るから。」と無下なことを言った。
食事を終えて部屋に戻って、明日行く観光地を調べてみると、その場所は昔農民一揆が起きた場所だと書いてあった。
S子が「出るんじゃない?」というと、「あんたは、また連れて帰るんじゃない?」と言われていた。
翌日、朝食を終えて、手配していたレンタカーに乗り込み、〇〇に向かって出発したが、しばらく行くとすごい山道になった。人が沢山訪れる観光地のはずなのに、「こんな道を登らせるの?」と言ってしまった。
両サイドに雪が高く積もっていて、壁になっていたのだ。
走っているときもそうだが、到着しても観光客は少なく、閑散としていた。
でも、私には大勢が騒ぐような大きな声が、遠くから聞こえてきた。
見ると、大勢の人がボロ布一枚のようなみすぼらしい格好をして、長い棒を持って走っているのが見えた。
中には、頭に布を巻いた女の人も混じっていた。
まさにテレビで見る百姓一揆だと思った。なんだか気分が悪くなってきた。
それを見た友達が「何か見えるの?」と聞いてきたので、「農民の人たちが一揆してる。」と答えた。
奥に進むと足湯やドクターフィッシュがいて、大きめのお土産屋さんもあるようだった。
寒いしとりあえず足湯まで行って、浸かっていると説明書きがあった。
昔この場所は大刀洗いだったそうだ。血に染まった刀を温泉のお湯で洗っていたのだろう。
足元を見るとドクターフィッシュが寄ってきて私の足をつついているのだが、他にもいろんな手が私の足を掴もうとしているのが見えた。
ここに書いてある説明は本当なんだと思った。
A子達は、「気持ちいいねー」と言っていたが、「私は怖いけどね。」と思った。
その後、お腹すいたということで、鍋や田楽や魚の串焼きなどがある店で食事をした。
そこでも、郷土料理の説明があり、一揆のとき槍で突き刺していたので、串焼きが郷土料理になったとあったのだが、槍はなくて棒だったので突き刺してるんじゃなくて叩きのめしているんだけど、と思った。
帰ることになり駐車場に戻ると、昨日の大学生に出くわした。
「今から帰るの?僕たち今着いたんだけど。」というので、「はい、もう帰ります。」というと、「今夜もあの旅館に泊まるの?」と聞くので、「そうですよ。」と答えた。「じゃあ、また夕食で話せるね。」と言っていた。
大学生の車は、6人なので大きめのミニバンだった。
私たちは車に乗ったが、その大学生のミニバンの中に、ギュウギュウに霊が乗っているのが見えた。
「こわー」と思った。A子がエンジンをかけると、大学生の車がザザザと変な感じになるのが見たので、「あ、これ危ない。」と思った。
私は降りて、大学生に声を掛け、「危ないから帰った方が良いですよ。明日もいるなら明日来ればいい。」と言ったのだが、ポカンとしていた。
「なんで?明日は別のところに行く予定だし。」と言う。
「いや、なんかちょっと怖い気がするんです。危ない気がするので今日は帰った方が良いと思うんです。雪も降っているし。」と言ったが、聞いてくれそうになかった。
なので仕方なく、「実は少し霊感があるんです。その車がザザザと巻き込まれるのが見えるんです。あ、いや、変な人だと思ってもらって構わないです。でも、まだこれからも生きていきたいと思うなら、今日は帰られた方が良いと思います。」と言った。
他にも子供連れの家族やカップルなどがいたので、同じように何組かに言った。
おばさんのグループには、「頭おかしいんじゃないの?」とも言われてしまった。
言われた方からすれば、何だ?という感じだろうが、それでも何組かは帰り始めた。
旅館に戻り夕食の時間になったので、食事会場に行くと、外で沢山のサイレンが鳴っているのが聞こえた。
仲居さんに「何かあったんですか?」と聞くと、「〇〇の道で雪崩が起きて、車が何台か閉じ込められてるそうです。私の旦那も消防団なので、今向かっているみたい。」と言われた。
食事会場には大学生のサークルもいて、それを聞くと、「いやー、早く帰ってきてよかった。言ってくれてありがとうです。でなけりゃ今頃動けなくなっていたかも。」と言った。
翌日、帰る日だったので空港まで行くと、昨日の家族がいて、「ニュースで見たんですけど、凄かったです。言ってもらって助かりました。」とめっちゃ言っていた。
私は「信じる者は救われるということなのか。」と思った。


この投稿は、200話以上アップしてあるブログ「霊子の日記」からの抜粋です。

YouTubeにも「霊子さんの心霊体験」として投稿しています。


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