消費生活相談員資格試験にチャレンジ(7)
2021年度 消費生活相談員資格試験(国民生活センター実施)の問題・正解に簡単な解説等を付した記事シリーズ第七弾、7問目です。今回は、住宅関係の分野からの出題。
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7. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
① 宅地建物取引業者が、訪問販売により宅地の販売を行った場合には、特定商取引法による規制を受ける。
正解:×
〔参照条文〕
特定商取引法
(適用除外)
第二十六条 前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
一~七 (省略)
八 次に掲げる販売又は役務の提供
イ (省略)
ロ 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関であつて、宅地建物取引業法第二条第二号に規定する宅地建物取引業を営むものを含む。)が行う同条第二号に規定する商品の販売又は役務の提供
宅地建物取引業法
(用語の定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
一 (省略)
二 宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。
② 宅地建物取引業者が、個人に対して、宅地又は建物を販売する場合において、水防法に基づき作成された水害ハザードマップに当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、契約締結前までに、そのマップにおける当該宅地又は建物の所在地を説明しなければならない。
正解:○
〔参照URL〕宅地建物取引業法施行規則の改正について|国土交通省
③ 民法では、建物の賃貸借契約において、賃借人が通常の使用及び収益によって建物の損耗を生じさせた場合、原状回復義務を負わないとされている。
正解:○
〔参照URL〕「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について|国土交通省
④ 民法によれば、建物の賃貸借契約において、賃借人の帰責事由がなくその一部が滅失その他の事由によって使用収益をすることができなくなった場合、賃料が減額されることはない。
正解:×
〔コメント〕賃料は、その使用収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額
〔参照条文〕民法
(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)
第六百十一条 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
第2項 (省略)
⑤ 建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する中位の基準を定めた法律である。
正解:×
〔コメント〕建築基準法は、最低基準を定めている。
〔参照条文〕建築基準法
(目的)
第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
⑥ 建築基準法によれば、木造2階建てで延べ床面積等が一定の大きさ未満の小規模な建築物については、構造計算によって構造の安全性を確認する必要はない。
正解:○
〔参照条文〕建築基準法第20条(構造耐力)参照
構造計算が不要である建物の規模は、木造では2階建て以下又は延べ面積500㎡以下
〔参照URL〕建築関係法の概要 P9参照
https://www.mlit.go.jp/common/000134703.pdf
⑦ 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」における「瑕疵」とは、種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう。
正解:○
〔参照条文〕住宅の品質確保の促進等に関する法律 第2条第5項参照
⑧ 有料老人ホームの設置者は、入居者から家賃等の前払金を受領する場合において、入居した日から3ヵ月を経過する日までの間に、当該入居等の契約が解除されたときは、厚生労働省令の定めるところにより、相当額を返還する旨の契約を締結しておく必要がある。
正解:○
〔参照条文〕老人福祉法 第29条第10項参照
⑨ 「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」では、賃貸住宅管理業に関する登録制度等を定めているが、賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営むサブリース業者に対する規制等は設けられていない。
正解:×
〔コメント〕
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律上、サブリース業者は特定転貸事業者として、誇大広告等の禁止、不当な勧誘等の禁止、特定賃貸借契約の締結前の書面の交付等の規制がある。
⑩ 民法によれば、住宅建築の請負契約では、注文者は、契約内容の不適合を知った時から1年以内に請負人に対してその旨を通知しなくても、建物の引渡しから10年以内であれば、契約不適合責任を追及できる。
正解:×
〔コメント〕
契約内容の不適合を知った時から1年以内に請負人に対してその旨を通知しなければ、契約不適合責任の追及はできない。
〔参照条文〕民法
(請負人の担保責任の制限)
第六百三十六条 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第六百三十七条 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
※ 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」では、新築住宅の取得契約(請負及び売買)には、基本構造部分(柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分)について10年間の契約不適合責任が義務づけられている(品確法95条1項)。