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消費生活相談員資格試験にチャレンジ2024(8)

2023年度消費生活相談員資格試験(独立行政法人国民生活センター実施)の問題・正解に簡単な解説等を付した記事シリーズ第八弾、今回は第15問と第16問をお送りします。


15. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 調停事件において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、裁判上の和解と同一の効力を有する。

正解:○

〔参照URL〕【政府広報オンライン】身近な民事トラブルを話合いで解決 「訴訟」に代わる「民事調停」


② 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所において、その年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。

正解:○

〔コメント〕少額訴訟を利用できるのは,同じ簡易裁判所において1年に10回までとなっている。
〔参照URL〕【裁判所】訴え(少額訴訟)を起こす方へ…


③ アフィリエイト広告は、一般的に広告主ではないアフィリエイターが広告を作成するため、広告主による管理が行き届きにくく、アフィリエイターが成果報酬を求めて虚偽誇大広告を行うインセンティブが働きやすいという特性があるとされている。

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】アフィリエイト広告をめぐる現状と論点(令和3年6月10日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/assets/representation_cms219_210609_05.pdf


④ 景品表示法に違反する不当表示が行われた場合、その表示に関し事業者に故意又は過失がなければ、景品表示法に基づく措置命令は行われない。

正解:×

〔コメント〕不当表示について、当該表示の決定に関与した者に故意又は過失があるかどうかは問わない。
〔参照URL〕【消費者省】表示に関するQ&A
      (Q2の回答を参照)


⑤ 個人情報保護法では、要配慮個人情報を取得するに当たっては、原則として本人の同意を必要としているが、これは事後の同意でも足りる。

正解:×

〔参照条文〕個人情報の保護に関する法律
(適正な取得)
第二十条 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。
2 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三~八 (省略)


⑥ 個人情報保護法では、本人が識別される保有個人データが利用目的を超えて取り扱われているときは、当該本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該保有個人データの利用の停止又は消去を請求することができるとされている。

正解:○

〔参照条文〕個人情報の保護に関する法律
(利用停止等)
第三十五条 本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データが第十八条若しくは第十九条の規定に違反して取り扱われているとき、又は第二十条の規定に違反して取得されたものであるときは、当該保有個人データの利用の停止又は消去(以下この条において「利用停止等」という。)を請求することができる。
2 個人情報取扱事業者は、前項の規定による請求を受けた場合であって、その請求に理由があることが判明したときは、違反を是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止等を行わなければならない。ただし、当該保有個人データの利用停止等に多額の費用を要する場合その他の利用停止等を行うことが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。
3~7 (省略)


16. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 金融商品取引法は、商品関連市場デリバティブ取引について不招請勧誘自体は禁止していないが、自社と取引関係にない顧客に対して勧誘を受ける意思を確認する際、訪問や電話をかける方法を用いる行為を禁止している。

正解:○

〔参照条文〕金融商品取引法
(禁止行為)
第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。
 一~三 (省略)
 四 金融商品取引契約(当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが特に必要なものとして政令で定めるものに限る。)の締結の勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問し又は電話をかけて、金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為
 五 金融商品取引契約(当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが必要なものとして政令で定めるものに限る。)の締結につき、その勧誘に先立つて、顧客に対し、その勧誘を受ける意思の有無を確認することをしないで勧誘をする行為
 六~九 (省略)


② 金融商品取引法は、無登録業者が行った未公開有価証券の売付け等については、原則として無効となる旨を定めている。

正解:○

〔参照条文〕金融商品取引法
(無登録業者による未公開有価証券の売付け等の効果)
第百七十一条の二 無登録業者(第二十九条の規定に違反して内閣総理大臣の登録を受けないで第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業又は同条第二項に規定する第二種金融商品取引業を行う者をいう。以下この項において同じ。)が、未公開有価証券につき売付け等(売付け又はその媒介若しくは代理、募集又は売出しの取扱いその他これらに準ずる行為として政令で定める行為をいう。以下この項において同じ。)を行つた場合には、対象契約(当該売付け等に係る契約又は当該売付け等により締結された契約であつて、顧客による当該未公開有価証券の取得を内容とするものをいう。以下この項において同じ。)は、無効とする。ただし、当該無登録業者又は当該対象契約に係る当該未公開有価証券の売主若しくは発行者(当該対象契約の当事者に限る。)が、当該売付け等が当該顧客の知識、経験、財産の状況及び当該対象契約を締結する目的に照らして顧客の保護に欠けるものでないこと又は当該売付け等が不当な利得行為に該当しないことを証明したときは、この限りでない。
2 (省略)


③ 金融サービス提供法は、市場リスクについての説明義務違反に対して金融商品販売業者の損害賠償責任を定めているが、信用リスクについての説明義務違反に対しては損害賠償責任を定めていない。

正解:×

〔コメント〕信用リスクの説明義務違反に対しても損害賠償責任の定めがある。
〔参照条文〕金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律
(金融商品販売業者等の説明義務)
第四条 金融商品販売業者等は、金融商品の販売等を業として行うときは、当該金融商品の販売等に係る金融商品の販売が行われるまでの間に、顧客に対し、次に掲げる事項(以下この章において「重要事項」という。)について説明をしなければならない。
 一 当該金融商品の販売について金利、通貨の価格、金融商品市場(金融商品取引法第二条第十四項に規定する金融商品市場をいう。以下この条において同じ。)における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは、次に掲げる事項
  イ 元本欠損が生ずるおそれがある旨
  ロ 当該指標
  ハ ロの指標に係る変動を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分
 二 当該金融商品の販売について金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として当初元本を上回る損失が生ずるおそれがあるときは、次に掲げる事項
  イ 当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある旨
  ロ 当該指標
  ハ ロの指標に係る変動を直接の原因として当初元本を上回る損失が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分
 三 当該金融商品の販売について当該金融商品の販売を行う者その他の者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは、次に掲げる事項
  イ 元本欠損が生ずるおそれがある旨
  ロ 当該者
  ハ ロの者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分
 四 当該金融商品の販売について当該金融商品の販売を行う者その他の者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として当初元本を上回る損失が生ずるおそれがあるときは、次に掲げる事項
  イ 当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある旨
  ロ 当該者
  ハ ロの者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として当初元本を上回る損失が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分
 五~七 (省略)
2~7 (省略)

(金融商品販売業者等の損害賠償責任)
第六条 金融商品販売業者等は、顧客に対し第四条の規定により重要事項について説明をしなければならない場合において当該重要事項について説明をしなかったとき、又は前条の規定に違反して断定的判断の提供等を行ったときは、これによって生じた当該顧客の損害を賠償する責めに任ずる


④ 貸金業法によれば、個人が、一つの貸金業者から30 万円を超えて借入れをする場合には、年収を証明する書類を提出する必要がある。

正解:×

〔コメント〕問題文中の「30万円」は誤りで、「50万円」が正しい。
〔参照URL〕「収入を証明する書類」の提出が必要な場合があります/日本貸金業協会


⑤ 保険業法は、保険募集人の情報提供義務や意向把握義務を定めているが、これらの義務違反があった場合の取消権や解除権、損害賠償請求権などの民事効を直接定めた規定はない。

正解:○

〔コメント〕平成26年の保険業法改正により、情報提供義務(第294条)及び意向把握義務(第294条の2)が導入されたが、問題文にあるとおり、これらの義務違反に係る民事効を直接定めた規定はない。


⑥ 保険業法によれば、新しく保険契約を申し込んだ場合には原則としてクーリング・オフが可能であるが、保険の乗換えや転換は、新たな保険契約の申込みではないため、クーリング・オフができない。

正解:×

〔コメント〕保険の乗換えや転換でも、クーリング・オフは可能。
〔参照URL〕生命保険に関するQ&A/生命保険文化センター


⑦ 資金決済法は、商品券やプリペイドカード等の前払式支払手段について規定している。前払式支払手段発行者は、前払式支払手段の保有者から請求があった場合、発行した前払式支払手段の残高を、原則として払い戻さなければならない。

正解:×

〔コメント〕出資法が禁止する「預り金」を潜脱する方法となりかねないので、前払式支払手段において、原則として払い戻しは禁止されている。
〔参照URL〕【国民生活センター】国民生活2021年5月号 誌上法学講座
https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202105_15.pdf


⑧ 預金者保護法は、盗難カードを用いて不正な機械式預貯金払戻しが行われた場合において預貯金者に重大な過失があるときは、補てんされる金額が4分の3に減額される旨を定めている。

正解:×

〔コメント〕預貯金者に「重大な過失」があることを金融機関側が証明できた場合は、補てんされない。4分の3に減額されるのは、金融機関側が善意無過失かつ預貯金者に「軽い過失」がある場合。

〔参照条文〕偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律
(盗難カード等を用いて行われた不正な機械式預貯金払戻し等の額に相当する金額の補てん等)
第五条 預貯金者は、自らの預貯金等契約に係る真正カード等が盗取されたと認める場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該預貯金等契約を締結している金融機関に対し、当該盗取に係る盗難カード等を用いて行われた機械式預貯金払戻しの額に相当する金額の補てんを求めることができる。
 一 当該真正カード等が盗取されたと認めた後、速やかに、当該金融機関に対し盗取された旨の通知を行ったこと。
 二 当該金融機関の求めに応じ、遅滞なく、当該盗取が行われるに至った事情その他の当該盗取に関する状況について十分な説明を行ったこと。
 三 当該金融機関に対し、捜査機関に対して当該盗取に係る届出を提出していることを申し出たことその他当該盗取が行われたことが推測される事実として内閣府令で定めるものを示したこと。
2 前項の規定による補てんの求めを受けた金融機関は、当該補てんの求めに係る機械式預貯金払戻しが盗難カード等を用いて行われた不正なものでないこと又は当該機械式預貯金払戻しが当該補てんの求めをした預貯金者の故意により行われたことを証明した場合を除き、当該補てんの求めをした預貯金者に対して、当該機械式預貯金払戻しの額に相当する金額(基準日以後において行われた当該機械式預貯金払戻しの額に相当する金額に限る。以下「補てん対象額」という。)の補てんを行わなければならない。ただし、当該金融機関が、当該機械式預貯金払戻しが盗難カード等を用いて不正に行われたことについて善意でかつ過失がないこと及び当該機械式預貯金払戻しが当該預貯金者の過失(重大な過失を除く。)により行われたことを証明した場合は、その補てんを行わなければならない金額は、補てん対象額の四分の三に相当する金額とする。
3 第一項の規定による補てんの求めを受けた金融機関は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当することを証明した場合には、当該補てんの求めをした預貯金者に対して、補てんを行うことを要しない
 一 当該補てんの求めに係る機械式預貯金払戻しが盗難カード等を用いて不正に行われたことについて金融機関が善意でかつ過失がないこと及び次のいずれかに該当すること。
  イ 当該機械式預貯金払戻しが当該預貯金者の重大な過失により行われたこと
  ロ 当該機械式預貯金払戻しが当該預貯金者の配偶者、二親等内の親族、同居の親族その他の同居人又は家事使用人によって行われたこと。
  ハ 当該預貯金者が、第一項第二号に規定する金融機関に対する説明において、重要な事項について偽りの説明を行ったこと。
 二 当該盗難カード等に係る盗取が戦争、暴動等による著しい社会秩序の混乱に乗じ、又はこれに付随して行われたこと。


⑨ 任意整理は裁判所が関与しない負債の整理方法であるから、弁護士や認定司法書士が債務者を代理して任意整理を行う旨の貸金業者に対する受任通知がなされても、貸金業者は、債務者に対して直接取立てを行うことができる。

正解:×

〔コメント〕任意整理に係る受任通知がなされた場合も、債務者に対する直接取立ては規制対象となる。

〔参照条文〕貸金業法
(取立て行為の規制)
第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
 一~八 (省略)
 九 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士、弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
 十 (省略)
2~3 (省略)


⑩ 破産者が浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した場合であっても、裁判所は破産に至る経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することができる。

正解:○

〔参照条文〕破産法
(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
 一~三 (省略)
 四 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
 五~十一 (省略)
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
3~7 (省略)