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市町村支援も、府センター相談員の大切なお仕事です

 私たち京都府消費生活安全センターの消費生活相談員は、京都府内にお住まいの消費者の皆様からのご相談に日々対応していますが、それだけがお仕事ではありません。京都府内には、各市町村等にもそれぞれ消費生活センターや消費生活相談窓口が大小合わせて二十数ヶ所あり、それぞれのセンター等にも相談員がいて、それぞれの地域の消費生活相談に対応しています。これらの各市町村センター、市町村相談員を支援することも、私たちに託された大切な役割です。

 具体例の一つとして、相談員がとある消費生活相談を受け、それに対してどのような方針で解決を図るかの糸口がつかめずに迷った場合、府センターであれば、普段から複数の相談員がいるので、お互いに相談して、アイデアを共有したり、以前の事例を参考にしたりということもできるのですが、規模の小さな市町村センターだと、一人しか相談員がいなかったり、相談事例の蓄積もさほど多くはなかったりするため、困ることがあります。そうした場合に、市町村センター相談員から府センター相談員に相談してもらい、一緒に解決策を探るお手伝いをするのです。

 それだけではありません。府センター相談員が、各市町村センターを順々に訪問して、各市町村センターの相談員、相談業務のさらなるレベルアップを図るアドバイスなども行っています。これは「市町村巡回訪問」という事業として、毎年実施しています。
 京都府における巡回訪問事業では、京都弁護士会との提携により、消費者問題に詳しい複数の弁護士先生から法的助言を受けられる体制(京都府消費者あんしんチーム)を敷いており、その一環として、弁護士の先生が年に1~2回ほど各市町村センターに赴き、消費者トラブル事例を検討して、相談対応能力の向上を図っています。この機会に合わせて、府センターからも相談員(場合によっては行政職員)が同行して、市町村センターの相談員や職員とも顔を合わせて、各市町村での相談現場を実際に見て、課題の発見や信頼関係の強化に努めています。
 今年度もこの市町村巡回訪問が順次始まっていますので、今回はその模様をご紹介いたします。

相楽消費生活センターの看板

 トップバッターは相楽消費生活センター。相楽消費生活センターは、実は市町村ではなく、「相楽郡広域事務組合」という一部事務組合に設置されたセンターです。一部事務組合とは、複数の地方公共団体(市町村)が行政サービスの一部業務を共同で行う仕組みです。相楽消費生活センターの担当エリアは、木津川市、笠置町、和束町、精華町及び南山城村です。域内の人口は約12万人。

最寄り駅のJR木津駅
巡回訪問での事例検討の様子。相談員2人と弁護士先生が1人。

 この日は、引越、Web会議システムでのセミナー勧誘、送りつけ商法、壊れた家電の修理などの消費者トラブルの検討や、時効、消費者契約法といった事柄の法的分析・考え方の整理などを行いました。

宮津市(京都府宮津総合庁舎)での事例検討の様子

 お次は宮津与謝消費生活センターです。宮津与謝消費生活センターは、京都府北部の宮津市、伊根町及び与謝野町の1市2町の広域連携により、同地域の消費生活相談を一括して受けるセンターとして、宮津市役所内に設置されています。基本的に同市役所庁舎にて相談を受けますが、一週間のうち一部曜日では、伊根町役場、与謝野町役場にも相談員が出向いて相談を受けています。同地域の人口は約3万7千人。
 府北部で巡回訪問を行う場合の特徴として、当該センターの相談員だけでなく、周辺自治体のセンター相談員も寄り集まって、いつも大人数で賑やかなことが挙げられます。この日の会場は宮津市役所ではなく、府宮津総合庁舎でしたが、京丹後市消費生活センター、府丹後広域振興局の相談員も集まって、弁護士先生を含めると6名の事例検討会となりました。

福知山市役所庁舎

 さらには福知山市消費生活センターです。京都府北部の要衝、福知山市は人口約7万6千人。このときの会場も福知山市役所庁舎内ではなく、福知山駅近くにある市民交流プラザふくちやまを利用しています。

福知山市(市民交流プラザふくちやま)での事例検討会の様子

 この日の事例検討でも、舞鶴市、綾部市、府中丹広域振興局といった周辺センター相談員の参加があり、弁護士先生を含めると総勢7名の会合となりました。ここでは、柔軟剤、配水管洗浄、投資信託などの消費者トラブル事例を検討しました。
 弁護士先生の法的助言や府センター相談員のアドバイスで市町村センターの相談案件が無事解決でき、市民の方から「ありがとう」といわれました、といった報告を聞けることも時にはあり、市町村相談員や私たちにとっても誇りややり甲斐を感じられる場面の一つです。

福知山城(その1)

 福知山といえば福知山城です。戦国武将・明智光秀が築いた城ということで、2020年の大河ドラマ「麒麟が来る」を契機に大いに注目を集め、今なおその熱気が続いています。

福知山城(その2)

 遠くへの出張となると一日仕事ですが、いつもの職務とは異なる「非日常」の中で気持ちをリフレッシュでき、また、現地に出向くことで、日頃は電話でのやりとりとなる市町村等の相談員さんと顔の見える関係を築けたり、地元相談員さんの通勤や地元市民の相談者の来所のための移動がどのような感じなのかを実感できたりするのも、巡回訪問のいいところです。
 この後の記事でも、府内各市町村センターと、その地域の様子をお伝えしていきたいと思います。どうぞご期待ください。