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消費生活相談員資格試験にチャレンジ2024(1)

京都府消費生活安全センターの公式noteでは、消費生活相談員資格試験の受験をお考えの皆様に向けて、一昨年度及び昨年度に引き続き、消費生活相談員試験(2023年度分・独立行政法人国民生活センター実施)の問題・正解に簡単な解説(コメント)や参照条文等を付して、提供いたします。

解説等に係る部分は当センターによる記載となります。もし誤り等にお気づきの場合は、速やかに訂正いたしますので、当センターまでご連絡いただけますと幸いです。

なお、最新の消費者を取り巻く問題・課題にどのようなものがあるか、法令や制度はどうなっているかを確認するのにもいい機会ですので、相談員資格試験の受験予定があるかどうかにかかわらず、お気軽にご覧いただければと思います。


【国民生活センター】2023年度消費生活相談員資格試験

1. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 消費者基本法は、「消費者の権利の尊重」と「消費者の自立の支援」を基本理念とした、消費者政策の基本となる事項を定めた法律である。

正解:○

〔参照条文〕消費者基本法
(目的)
第一条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務等を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策の推進を図り、もつて国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。


② 消費者基本計画は、消費者基本法に基づき、政府が消費者政策の計画的な推進を図るため、長期的に講ずべき消費者政策の大綱等について定めた消費者政策の推進に関する基本的な計画である。

正解:○

〔参照条文〕消費者基本法
(消費者基本計画)
第九条 政府は、消費者政策の計画的な推進を図るため、消費者政策の推進に関する基本的な計画(以下「消費者基本計画」という。)を定めなければならない。
2 消費者基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 長期的に講ずべき消費者政策の大綱
 二 前号に掲げるもののほか、消費者政策の計画的な推進を図るために必要な事項
3~5 (省略)


③ 消費者基本法では、国民生活センターの役割の一つとして、「事業者と消費者との間に生じた苦情の処理のあつせん及び当該苦情に係る相談」を掲げている。

正解:○

〔参照条文〕消費者基本法
(国民生活センターの役割)
第二十五条 独立行政法人国民生活センターは、国及び地方公共団体の関係機関、消費者団体等と連携し、国民の消費生活に関する情報の収集及び提供、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理のあつせん及び当該苦情に係る相談、事業者と消費者との間に生じた紛争の合意による解決、消費者からの苦情等に関する商品についての試験、検査等及び役務についての調査研究等、消費者に対する啓発及び教育等における中核的な機関として積極的な役割を果たすものとする。


④ 消費者教育推進法では、小・中・高等学校における消費者教育は教員免許を有する教育職員が行うものとされ、消費生活相談員の活用は想定されていない。

正解:×

〔参照条文〕消費者教育の推進に関する法律
(学校における消費者教育の推進)
第十一条 国及び地方公共団体は、幼児、児童及び生徒の発達段階に応じて、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいい、大学及び高等専門学校を除く。第三項において同じ。)の授業その他の教育活動において適切かつ体系的な消費者教育の機会を確保するため、必要な施策を推進しなければならない。
2 国及び地方公共団体は、教育職員に対する消費者教育に関する研修を充実するため、教育職員の職務の内容及び経験に応じ、必要な措置を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、学校において実践的な消費者教育が行われるよう、その内外を問わず、消費者教育に関する知識、経験等を有する人材の活用を推進するものとする。


⑤ 食育基本法では、国民の責務として、家庭、学校、保育所、地域その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、生涯にわたり健全な食生活の実現に自ら努めるとともに、食育の推進に寄与するよう努めるものとされている。

正解:○

〔参照条文〕消費者教育の推進に関する法律
(国民の責務)
第十三条 国民は、家庭、学校、保育所、地域その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、生涯にわたり健全な食生活の実現に自ら努めるとともに、食育の推進に寄与するよう努めるものとする。


⑥ 消費者安全法における「消費者事故等」には、財産被害に関するものは含まれない。

正解:×

〔コメント〕消費者の財産被害に関する事象についても、消費者安全法における消費者事故等として、消費者庁では消費者向け注意喚起情報の発信等を適宜行っている。
〔参照URL〕【消費者庁】令和5年度における消費者安全法(財産分野)の運用状況について
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_policy_cms103_240524_01.pdf


⑦ 消費者安全法では、都道府県は、同法の要件を満たす消費生活センターを設置しなければならないが、市町村は、必要に応じ、同法の要件を満たす消費生活センターを設置するよう努めなければならないとされている。

正解:○

〔参照条文〕消費者安全法
(消費生活センターの設置)
第十条 都道府県は、第八条第一項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置しなければならない。
 一 消費生活相談員を第八条第一項第二号イ及びロに掲げる事務に従事させるものであること。
 二 第八条第一項各号に掲げる事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているものであること。
 三 その他第八条第一項各号に掲げる事務を適切に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。
2 市町村は、必要に応じ、第八条第二項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置するよう努めなければならない。
 一 消費生活相談員を第八条第二項第一号及び第二号に掲げる事務に従事させるものであること。
 二 第八条第二項各号に掲げる事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているものであること。
 三 その他第八条第二項各号に掲げる事務を適切に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。


⑧ 消費者安全法では、「消費者安全確保地域協議会」の構成員に、病院や教育機関を加えることはできない。

正解:×

〔参照条文〕消費者安全法
(消費者安全確保地域協議会)
第十一条の三 国及び地方公共団体の機関であって、消費者の利益の擁護及び増進に関連する分野の事務に従事するもの(以下この条において「関係機関」という。)は、当該地方公共団体の区域における消費者安全の確保のための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される消費者安全確保地域協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。
2 前項の規定により協議会を組織する関係機関は、必要があると認めるときは、病院、教育機関、第十一条の七第一項の消費生活協力団体又は消費生活協力員その他の関係者を構成員として加えることができる。


⑨ 消費者安全法では、消費者安全調査委員会は、「生命身体事故等」に関し他の行政機関が行った調査等の結果について、事故等原因を究明しているかどうかの評価を行うことはできないとされている。

正解:×

〔参照条文〕消費者安全法
(調査委員会の設置)
第十五条 消費者庁に、消費者安全調査委員会(以下「調査委員会」という。)を置く。
(所掌事務)
第十六条 調査委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 (省略)
 二 生命身体事故等について、他の行政機関(運輸安全委員会を除く。)による調査若しくは検査又は法律(法律に基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定による地方公共団体の調査若しくは検査(法律の規定によりこれらの調査又は検査の全部又は一部を行うこととされている他の者がある場合においては、その者が行う調査又は検査を含む。以下「他の行政機関等による調査等」という。)の結果について事故等原因を究明しているかどうかについての評価(以下単に「評価」という。)を行うこと。
 三~六 (省略)


2. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 2009(平成21)年に制定された、いわゆる「消費者庁関連三法」には、消費者基本法と消費者安全法が含まれる。

正解:×

〔コメント〕「消費者庁関連三法」は、消費者庁及び消費者委員会設置法、消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律、消費者安全法の3つである。「消費者基本法」は、1968年(昭和43年)にその前身となる「消費者保護基本法」が制定され、2004年(平成16年)に消費者基本法への改称も含む改正がなされている。


② 地方消費者行政は、地方自治法上の自治事務として位置づけられており、その推進にあたっては、国及び地方公共団体がそれぞれの責務を果たし、かつ、緊密に連携していく必要がある。

正解:○

〔参照URL〕
【消費者庁】地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援のあり方等に関する検討会(平成29年2月27日)の資料「地方消費者行政の法令上の位置付けについて・改正消費者安全法」よりhttps://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/support_meeting/pdf/support_meeting_170227_0006.pdf


③ 2022(令和4)年度の「地方消費者行政の現況調査」によれば、2022 年4月1日現在、全国の市区町村において、消費生活センターを含む消費生活相談窓口の設置率は、100%である。

正解:○

〔コメント〕2022(令和4)年度の「地方消費者行政の現況調査」によれば、2015(平成27)年以降、市区町村においても消費生活相談センター(窓口)の設置率は100%となっている(広域連携による場合も含む)。
〔参照URL〕【消費者庁】地方消費者行政の現況(ポイント)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/status_investigation/2022/assets/local_cooperation_cms203_221027_01.pdf


④ 国民生活センターで実施する商品テストは、PIO-NET の情報等をもとに、生命・身体等に重大な影響を及ぼすと考えられる商品等を選んで実施するものであり、各地の消費生活センター等の依頼に基づいて、商品関連事故の苦情相談の解決のために実施するものではない。

正解:×

〔参照URL〕【国民生活センター】商品テスト


⑤ 国民生活センター紛争解決委員会に対する和解の仲介又は仲裁の申請は、消費生活センター等における消費生活相談を経ずに、当事者が直接行うことはできない。

正解:×

〔参照URL〕【国民生活センター】国民生活センター紛争解決委員会の概要リーフレット                                                                                                                                                                                                                                                                                                 https://www.kokusen.go.jp/adr/pdf/adr_lf.pdf

(消費生活センター等を経由せず直接に紛争解決委員会へ向かうルートも示されている)


⑥ 日本司法支援センター(法テラス)の「民事法律扶助制度」では、日本に住所を有している者であれば誰でも無料で、法テラスと契約している弁護士又は司法書士の相談を受けることができる。

正解:×

〔コメント〕収入等が一定額以下であること等の条件がある。また、報復的感情を満たすだけ、権利濫用的な訴訟といった、民事法律扶助の趣旨に反する内容は対象とならない。
〔参照URL〕
 日本司法支援センター(法テラス) 無料法律相談に関するよくあるご質問


⑦ 「事故情報データバンクシステム」は、食品安全に関するリスクコミュニケーションの一環として、関係者間で食品事故情報を共有するために、農林水産省が管理運営するデータベースである。

正解:×

〔コメント〕「事故情報データバンクシステム」は、消費者の生命・身体に被害を生じさせる事故等の情報について、消費者庁と国民生活センターが共同して管理運営している。
〔参照URL〕事故情報データバンクシステム よくある質問


⑧ 国際消費者機構が消費者の権利を促進するために提唱した「世界消費者権利デー」は、米国のケネディ大統領によって消費者の権利が初めて明確化されたことを記念して設けられた、世界的な記念日である。

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】「世界消費者権利デー」を迎えるに当たって (令和6年3月15日)


⑨ 消費生活相談員は、消費生活上のトラブルを訴える相談者の代理人として、事業者に契約の解除や取消しの通知を行う役割を担っている。

正解:×

〔コメント〕消費生活相談員による消費者トラブルのあっせんでは、あくまで「中立」の立場にて事業者との交渉等の仲立ちを行うものであって、消費者の「代理人」にはなれない。業として代理人となり交渉等を行えるのは弁護士のみであり、それ以外の者が行うと違法な「非弁行為」に該当する。


⑩ 「令和5年版消費者白書」によれば、PIO-NET に登録された2022(令和4)年の消費生活相談において、平均既支払額(実際に支払った金額の1件当たりの平均金額)を、65 歳未満と65 歳以上とで比較すると、65 歳以上の方が高い。

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】令和5年版消費者白書第1部第1章第3節(P20)図表I-1-3-4
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/assets/2023_whitepaper_0002.pdf


⑪ 「令和5年版消費者白書」によれば、PIO-NET に登録された2020(令和2)年から2022(令和4)年の間の消費生活相談において、危害及び危険情報(商品やサービス、設備等により生命や身体に危害を受けた、又は受けるおそれがあるという内容の相談)の件数の推移をみると、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、毎年2割強ずつ増加している。

正解:×

〔コメント〕危害及び危険情報の件数は、令和2年から4年にかけてはやや減少傾向。
〔参照URL〕【消費者庁】令和5年版消費者白書第1部第1章第2節(P12)図表I-1-2-3
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/assets/consumer_research_cms201_2300908_02.pdf


⑫ 「令和5年版消費者白書」によれば、PIO-NET に登録された架空請求に関する相談件数は、2022(令和4)年に急増し、架空請求に関する相談件数が最も多かった頃の水準に近づいた。

正解:×

〔コメント〕架空請求に関する相談件数は、令和4年は対前年度比で減、架空請求に関する相談の集計が始まって以来最も件数が少ない2000(平成12)年度に近い水準まで減少。
〔参照URL〕【消費者庁】令和5年版消費者白書第1部第1章第3節(P19)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/assets/consumer_research_cms201_2300908_02.pdf