先生を訪ねて三千里。人文学科の新歓イベント
こんにちは。
広報グループUです。
学内は蝉が鳴き始めました。梅雨は明けていませんが、夏模様の京都です。
ことしも京都の夏は暑いですね…。
そんな陽気ですが、この前の土曜日は京都市内の(ほぼ)全域を使って、国際文化学部人文学科の新歓イベントが行われました。
勝手に題して「先生を訪ねて歩く京都旅」。
人文学科の先生たち計21名が、それぞれの研究に関連したり、思い入れのある場所で待機しているので、学生たちは約30のグループに分かれて数カ所訪問し、その場所について説明を受けるという企画です。
とっても面白かったので、その様子をご紹介します。長いけど、最後まで読んでくれたらきっとあなたも京都ツウ。
所要時間は13時から17時の4時間。狭いようで意外と広い京都。効率よく動かないと予定通り回れません。学生たちは、1年次の授業「基礎演習」で行き先や経路を考えてきました。
私もリストをもらって本気で考えます。
ほんとは全部行きたいけど、今回はこの緑のエリアに絞ることにしました。東から西に横断し、最後は中心地に戻ることに。
前置きが長くなりましたが、いよいよ当日。計画通り進むのか、さっそくスタートです。
学生たちは、京都市バスの1日乗車券をもらっています。私もバスに乗って向かいますよ。
はじめにやってきたのは、蹴上インクライン。
有名な観光地です。予定ではここに社会専攻の田村先生がいらっしゃるはずだけど見つからない…。
いきなり失敗。不安がよぎりますが、ひとまず次の場所へ(田村先生がいらっしゃった場所は後々判明します)。
次に向かった場所は「琵琶湖疏水記念館」。明治期に行われた、琵琶湖から京都まで水を運ぶ疏水の建設。琵琶湖の水を活用した水力発電や水車動力は産業を大きく発展させ、舟運により人や物の行き来が盛んになるなど、京都を大きく変えた一大プロジェクトでした。それを記念して建てられた施設です。
ここでは歴史専攻の岩本先生が待機していました。この場所でのミッションをクリアした学生たちにサインをされています。
場所ごとに決められたものを見たり、写真を撮るなどのミッションをこなすのが今回のルール。ここでのミッションは…
施設内にある「楽百年之夢」と書かれた扁額(へんがく)を写真におさめること。
琵琶湖疏水には、こうして小さなトンネルが複数ありますが、それぞれに関わった人たちによる扁額が飾られているそうです。
なかには伊藤博文・山縣有朋・井上馨・西郷従道・松方正義による扁額も。
桜の時期に疏水沿いを歩いたことはありますが、扁額は全然知りませんでした。次は注目して歩こう。
まだまだ知りたいことがたくさんですが、このままでは時間が足りない。次の場所に向かいます。
ぎゅーんと移動して嵐電に。
暑いなか屋外で待っててくれたのは文学専攻の惠阪先生。和歌や漢詩が専門です。ちなみに今回のイベントの企画者のおひとり。
ここは車折(くるまざき)神社。恥ずかしながら、くるまおり、だと思ってました。くるまざきが正しい読み方。
ここは芸能神社とも呼ばれ、芸能人がお参りに来る神社として有名なスポットです。著名人の名前が並ぶ境内に学生たちも大はしゃぎ。
でも先生が紹介したかったのはその由来。
この神社は、平安時代から行われている京都の祭事「三船祭」を取り仕切っている神社です。
三船祭は毎年5月に行われているお祭り。
平安時代では京都の桂川に船を浮かべ、船上で管絃楽や和歌、漢詩を披露し、楽しんでいたそう。さすが京都、なんて雅で文化的。芸能神社の「芸能」は、芸能人という意味ではなかったんですね…。
目から鱗が落ちたところで、拾う間も無く次に向かいます。
次にやってきたのは同じく嵐電沿い、木嶋坐天照御魂神社、通称、蚕ノ社(かいこのやしろ)。緑がいっぱいで癒されます。ここは寺社仏閣が山ほどある京都のなかでも最古級の神社と言われている神社です。
その始まりは600年ごろ、飛鳥時代とも奈良時代とも言われています。
ここには中世史を専門とする、歴史専攻の吉永先生がいらっしゃいました。
この場所がなぜ蚕ノ社と呼ばれるのか、養蚕業や織物の歴史について丁寧に説明してくれる吉永先生。
この神社には、日本でも大変珍しい3本脚の鳥居があります。なぜ3本脚かは諸説あり、実はまだ判明していないそう。一説には景教(キリスト教)に由来するとも言われているとか。
せっかくなのでお参りもして、学生たちも無事ミッションクリア。
この時点で大体15時半。残り1時間半です。間に合うかな…。
走って嵐電に駆け込み、阪急電車に乗りかえて京都の中心地に。
私も普段からよく行く河原町通沿いの本屋さん「丸善」には、社会専攻の白井先生が。「街でいちばん大きな本屋は大学生ならキチンと抑えておかなくては」とのことでした。
この日の白井先生、絵本「ねないこだれだ」のおばけが描かれたトートバッグを持ってました。可愛い。
ラストスパート、錦市場と錦天満宮に向かいましたが、まだ学生たちが到着していない模様。これはラッキー…。
社会専攻の田村先生と合流し、和三盆かき氷をいただきました。1日中歩き回った身体に染み渡ります!
ここで最初の謎の種明かし。蹴上インクラインで見つけられなかった田村先生はミッションである「雄観奇想(元京都府知事・北垣国道)」の扁額の前にいらっしゃったそうです。線路ばかり見つめて気づかなかった…。
そうこうしているうちに、学生たちが到着しました。最後の場所は錦天満宮。京都の繁華街、新京極通の中ほどにあるこぢんまりとした神社です。
何度も前は通るけど、意外と入ったことがないという人も多いのでは。
立派な百合の花が咲く境内。
学生たちが熱心に眺めているのは「ロボット紙芝居」。この神社には、からくりおみくじなど、機械仕掛けで動く展示物が複数飾られています。
この場所を指定した、学科共通の中岡先生。専門の日本語学の視点で「からくり」の語源を解説。言葉を通じて、この神社の成り立ちを考えます。
最後に牛の銅像と記念撮影。
このグループははじめは松尾大社に行ってきたそう。「たくさん移動したね、おつかれさま!」と解散した後も、もう一度3人で天満宮の見学に戻って行きました。
これにて今日のイベントはすべて終了。時間は17時40分。
いちにち京都市内を歩き回った学生のみんなも、暑いなか学生たちが来るのを待っていた先生方も、本当におつかれさまでした!
フィールドワークを主として学ぶ、人文学科らしい新歓イベント。計画や発見を通じてグループの人とも話が弾んでいる様子が各所で見られました。
「暑かった…」と振り返る田村先生と中岡先生
ちなみに、当日の各グループの進捗や先生たちの連絡はすべて「LINEオープンチャット」を使用。到着や解散など全員の様子が確認できるシステムでした。よく考えられてる!
さてさて、ここまで読んでくださったみなさんは、今日紹介した場所以外にどこが指定されていたのか、気になるのではないでしょうか。
お待たせしました。
そのリストをGoogleマップで共有します。ぜひ我も我もと歩いてみてくださいね。
ただし、夏の京都はとにかく暑いので、熱中症にご注意あれ。
人文学科のみなさん、本当におつかれさまでした!