見出し画像

マンガ家をめざす人はぜひ挑戦を!「マンガ編集部合同講評会」

こんにちは。広報グループのHです。
みなさん、マンガは好きですか?ここ京都精華大学には、学生にも教職員にも、「読むのが好き」な人はもちろん、「描くのが好き」な人がたくさんいます。

今回は、学内で行われている「マンガ編集部合同講評会」をご紹介します。「少年ジャンプ+」の編集者さんにもミニインタビューを行いました。学生作品の紹介もあり、盛りだくさんでちょっと長くなってしまったのですが、マンガを描いている人や、マンガ家に興味がある人の参考になれば幸いです。

みなさんは、マンガ家への道の一つとして知られる「持ち込み」をご存じでしょうか。それは、マンガ家が編集部に連絡をとり、直接出向いて作品を見てもらう行為。デビューにつながることもあれば、厳しいコメントをもらって次の作品に生かそう!と奮起することも……。毎年、京都精華大学が開催しているこの「マンガ編集部合同講評会」では、数々のマンガ家物語にも登場してきたこの「持ち込み」を、キャンパス内で展開します。ちなみにマンガ学部の学生に限らず、京都精華大生ならだれでも参加可能。マンガ家をめざす在学生全員におすすめのイベントです。

過去の講評会の様子

複数の編集部から講評がもらえるのも、このイベントの魅力のひとつ。
週刊少年ジャンプや月刊少年マガジン、少年サンデー、別冊マーガレットなど10誌以上の編集部(豪華!)が参加し、雑誌ごとの特徴に応じたアドバイスがもらえます。ここでの出会いがきっかけでデビューにつながることも。
もともとはキャンパス内で開催していたのですが、2020年からはコロナ禍の影響でオンライン開催に変更。参加する学生は作品をPDF化し、事前にデータを送りオンライン会議ツールで講評をもらいます。(ちなみに、マンガ業界でも直接持ち込みは難しくなっているそうです。作品のデータ化は他でも役に立つかも)対面からオンラインに方法を変更しても勢いは衰えず、ここ数年は毎年100名以上の学生が参加している本学の名物イベントになっています。

「マンガを描いている」という人は参加して損はなし!

今回は8月8日、9日の2日間にオンライン開催された講評会から、「少年ジャンプ+」の編集部にご協力いただき、『正反対な君と僕』などの作品を担当されている編集者のF田さんにお話をうかがいました。

F田さんによると、少年ジャンプ+の編集部もコロナ以降はオンラインになっているそうです。オンラインでも対面と変わらずスムーズにやりとりでき、遠方でも参加しやすいというメリットも。冒頭でもちらっとご紹介しましたが、これからマンガ家をめざすなら、やっぱり作品のデータ化&オンラインツールに慣れておくとスムーズかも。
担当したいと感じる作品については、「『この人にしか描けないものを描いている』と思ったら、声をかけますね」と教えてくださいました。なるほどと思いながらも、それこそが難しい気も。学生たちへの参考になるように、具体的にどんなポイントを見ているのかお聞きすると、かなり迷いながらも「雰囲気や、その人らしさ、というのが一番ですが…あえて言うなら『キャラクターのセリフ』でしょうか」と答えてくださいました。たしかに、面白いマンガは言葉も印象的。絵やストーリーの流れだけではなく、登場人物のちょっとしたひとことや言い回しにも意識して取り組むと変化がありそうです。F田さん、ありがとうございました!

最後に、今回参加した新世代マンガコース4年生、ODOCさんと鶩丫子(アヒル・アコ)さんの作品から一部をご紹介します。

『宇宙 絶望』ODOC(新世代マンガコース4年生)
主人公は、月で活動する宇宙飛行士。
明日はいよいよ念願の地球に帰れる…はずが、目の前で隕石により地球が大破
酸素が減っていく中で、淡々と日常生活を送りながらも月の探索を進めていく

ODOCさんの『宇宙 絶望』は、8ページ×2話分が提出された続きものなんですが、実際に連載されていてもおかしくない!シチュエーションとしてはタイトル通り「絶望」的なんですが、ちょっとした会話と飄々とした主人公のキャラクターのおかげでコミカルに読み進められます。物語にどんどん引き込まれ、続きが気になる一作です。(ほんとに気になる)
ちなみにODOCさん、今回作品を見てくれた編集者さんから、「担当になりたい」とラブコールを受けました。

続いてこちら。

『亡国のカルフ』鶩丫子(新世代マンガコース4年生)
魔族の繁栄に奮起する、6歳の魔王カルフ
専属飼育員(この世界では魔族は動物扱いされている)の
天使マストスに猛烈に甘やかされ、葛藤するカルフ

アヒル・アコさんの作品「亡国のカルフ」は、55ページの大作。編集者さんからは「テーマの見せ方が新鮮!」と褒められたそうです。魔族と天使の壮大な戦いのシーンから始まりますが、次のページからは魔族の末裔カルフと天使マストスのやり取りが楽しい一作。友達からアイデアをたくさんもらい、よいと思ったものはどんどん取り込んでいったとのこと。作品からも、作者自身が楽しんで描いていることがよく伝わってきます。
講評では「新しい問題が見えた」というアヒル・アコさん。編集者さんからのアドバイスは受け入れつつ、芯になるところは変えないでいくつもりだそうです。自分を信じて頑張る、というのもありだなと思いました。

わたしは取材のために、4作品ほど読ませてもらいました(できれば全作読みたいところです…)。どの作品も「こういうのが描きたい!」というエネルギーにあふれており、この会が、より多くの人々に作品たちが読まれるきっかけになりますようにと心から思いました。

この講評会では、多い時には、参加者の半数以上が編集者の方と連絡先を交換します。すぐにデビューに繋がらなくても、今後の制作活動にあたって大きなヒントをもらえるはず。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

※最後に、Hの「少年ジャンプ+」まめ情報
決して宣伝ではなく、普通にユーザーだったのでおすすめ作品を紹介しておきます。(ちなみに同アプリでは『SPY×FAMILY』『チェンソーマン 第二部』などの大ヒット作も読めるのです。)お話を伺ったF田さんが担当されている『正反対な君と僕』は、回を追うごとに登場人物が好きになっていくラブストーリー。描き方もポップで可愛らしく、主人公やまわりの人に共感しながらわくわく読める作品です。次に読む「少女マンガ」を探している人にもおすすめ。あと、「この人にしか描けない」というマンガとして、『ハイパーインフレーション』を推薦しておきます。「経済バトル漫画」という初めてのジャンル、そして先の読めない展開はもちろんですが、キャラクターが独特すぎて癖になりますよ。


おわり