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退職される先生にインタビュー(ストーリーマンガコース 都留泰作先生)

こんにちは。広報グループHです。
今回は、3月いっぱいで退職されるストーリーマンガコースの都留泰作先生にお話を伺ってきました。

都留先生はマンガ家としても第一線で活躍されており、現在は『竜女戦記』(平凡社)、『ういちの島』(新潮社)の2作を連載中です。大学卒業後、京都大学の大学院で理学博士の学位も取得。2003年より富山大学の人文学部助教授を務め、その後2010年より京都精華大学のマンガ学部教員に。10年以上本学でマンガを教えてこられました。

すでに研究室は引っ越されたということで、ストーリーマンガコース1年生の実習室に向かいます。

都留先生とゆっくりお話するのはこれが初めて(そして実は作品のファン)。教員生活のこと、マンガのこと、お聞きしたいことがたくさんありました。

「雑談が苦手」と語る、都留泰作先生

――そもそも、なぜ京都精華大学で教えることになったのでしょうか?

京都国際マンガミュージアムでの講演がきっかけで声をかけてもらったんです。自分のマンガは点と点をつなげてストーリーを紡いでいく描き方。たくさんの情報を、読者にわかってもらえるように整理してから取り掛かります。この描き方なら教えられるかなと思ったし、大学でマンガを教えることにも興味があったので就任を決めました。

――大学では、どうやってマンガを教えてこられたんでしょうか?

学生は本当にいろんな人がいたし、作品もさまざま。天才タイプもいれば、努力型のコツコツやる人、悩んで立ち止まってしまう人も。それぞれのやりたいことと適性に合わせてやってきました。描きたいものが何かは自分で気づいていなくても、登場人物のしぐさや場面に表れていることも多い。小さな箇所からでも見つけて伸ばしていきます。描けなくなった学生には長いメッセージを送ったりしたこともあったけど……結局は待ってあげるしかないんだ、と途中で気づきましたね。

ストーリーマンガコースの卒業制作集。1年をかけた力作がそろう

――描きたいものを描くことが大事なんですね。学生たちも悩むところだと思うのですが、都留先生はマンガを描くための「才能」ってなんだと思いますか。

なにかを面白いと思える気持ちかな。逆にそれさえあれば、どんな人でもマンガ家になれるんじゃないでしょうか。たとえば、あるシーンを想像して、一人でくすくす笑っちゃうような。マンガの特徴は〈出来事〉があること。人間が引き起こす出来事がマンガになるんです。こうだったらおもしろいな、ああなったらどうだろう。そんなことをずっと考えられる人は、流行りに関係なく続けていけると思いますよ。

――卒業生に向けて、メッセージをお願いします。

マンガ家になってくれていたら、「引き続き頑張れ」。
『極主夫道』を連載中のおおのこうすけ(ストーリーマンガコース2010年卒業)さんとかね。たまに大学に帰ってきて話してくれると嬉しいですよね。マンガ家になった人にはそれしか言えることがないな。
でももし、違う仕事に就いている卒業生がいたら……そういう人も多いと思うけど、「ときどき精華大のことを思い出して、描いてくれたら」。何歳になっていても、きっと技術は残っていると思います。ふとした思い出でもいいし、職場であった腹の立つこととか、そういうものでもいい。描いて公開してみたら案外ウケるかもしれない。もし送ってくれたら、コメントして返します。

――実際に卒業してから送ってきた人はいますか?

いないね(笑)。あんまり人望ないのかも。

いえいえ。たぶん、プレッシャーがあるからだと思います。
次年度は非常勤講師として続けられる予定なので、卒業生のみなさんはぜひ、いまからでも送ってみては。

ご退職後についてたずねると、「しばらくマンガに専念します。これまでずっと教員とマンガ家の2足のわらじだったので。本当は、マンガ家ってどこでもできる仕事だし、世界を旅しながら描きたいんですけどね。」とのこと。
寂しくなりますが、いち読者として、作品の続きを心より楽しみにしております。
都留先生、ありがとうございました!

※連載作『ういちの島』は、WEBマンガサイト「くらげバンチ」で読むことができます。『竜女戦記』もマンガ史に残る名作(描こうと思えば1000巻まで続けられるらしいです!)。ぜひご覧ください。

おわり


*私は都留先生の作品の、不穏だったりシリアスだったりする展開のなかに挟まれるギャグが本当に好きなんです。勢いで意味不明なことを言う、大変なときにどうでもいい下世話なことばっかり考えている。こういう人間臭いやりとりで、不思議とすごく元気が出ます。複雑で難しい状況のはずなのに、読みやすくてページをめくる手が止まらないんです。あとクリーチャーの造形や描き込みがものすごくて、そこからもエネルギーをもらっています。正真正銘、唯一無二の作風だと思います。ひとりでも多くの人に読んでほしい。後になって、「原画を見せてほしい」とお願いしておけばよかったと後悔しました。チャンスがあれば次こそ。

余談おわり