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「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」 2021年度卒業式を挙行しました。

こんにちは。
広報グループUです。

突然ですが、4年前の話をします。

2018年4月1日、まだ肌寒い日の朝9時ごろ、私は新入生に学生証を配布していました。その日は入学式。2018年度の新入生が、京都精華大学に仲間入りした日です。

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2018年4月1日 入学式

その日は、現学長ウスビ・サコさんの学長就任日でもありました。
入学式にはサコさん就任の取材のため、ニューヨークタイムズなど国内外のメディアの方が多数来られ、日本初のアフリカ出身の学長誕生と大きく取り上げられました(私たちが学長選挙で重視していたのはそのポイントではなかったので、なんだか不思議な気持ちになったのを覚えています)。

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こちらも2018年4月1日 入学式。
新入生にむけて、詩人の谷川俊太郎さんに詩を書いてもらいました。

まだマスクも要らなかった頃の入学式。緊張した表情で、体育館の座席に座っていた新入生。4年後の今日、同じ体育館で、マスクをしていても分かる明るい笑顔で、その時の新入生たちが座っていました。

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3月21日、今日は2021年度卒業式です。
朝から学内は、「その衣装すてきだね」「春休みどうしてた?」と賑やかな声で溢れていました。

10時ちょうどに始まった式典。
サコ学長は、式辞のなかで「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」というアフリカのことわざを紹介。「皆さんが手に入れたのは、様々な専門知識はもちろんですが、それ以上に、ともに学んできた学生、教職員との信頼関係と深い友情です。」という言葉に、4年前の緊張した表情と、今朝の明るい笑顔を思い起こします。

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卒業生代表のスピーチは、人文学部の木村天使さん。
このスピーチの内容は、これから京都精華大学で学ぶ新入生にも、在学生や卒業生にも、そして、いまの社会で「生きづらさ」を抱えている全ての人に、届いてほしい内容だったので、少し長く紹介します。

私は、大学という場が、漠然と抱いてきた「生きづらさ」を解消してくれる場所になるのではないかと、ほのかな期待を抱いていました。ですが、学びを重ね、教職員や友人との対話を重ねることによって、その期待は崩れてしまいました。その理由は、学びや対話のなかに、他者の生きづらさを見出したから。今度は、他者の生きづらさまでもが、私の生きづらさになりました。

「生きづらさと向き合う」ということは、生きづらさを解消することではなく、自分の、あるいは他者の生きづらさを分析し、それに向き合うことだと気が付きました。では、大学の学びとは生きづらさを煽ることだったのでしょうか。いいえ。もし、知識や自覚がないままであれば、他者の生きづらさを踏みつけ、幸福を得ていたのかもしれない。そう思うとぞっとします。

京都精華大学で出会った多くの友人は、傷つくことに敏感で、人を傷つけることに敏感でした。そのような気質を持つ人たちと、ともに学んだ4年間は、容易に解消されない生きづらさと向き合い続ける覚悟を授けてくれたように思います。京都精華大学は、芸術・人文学・表現を学ぶ大学です。この大学から旅立つ私たちが、表現によって誰かの支えとなることを、切に願ってやみません。ここにいるみなさんと、学びの場を共有したことは、かけがえのない幸福な時間でした。ありがとうございました。

私はもう、会場の撮影をしながら、思わず涙してしまいました。
「容易に解消されない生きづらさと、向き合い続ける覚悟を授けてくれた」。職員として、お守りのように大切にしたい言葉です。


卒業式のあとは、学科・コースに分かれて学位記(卒業証書)を授与。最後の教室、最後のゼミです。

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それぞれの教室で、慣れ親しんだ先生や教室と別れを惜しんでいました。

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デジタルクリエイションコースの教室では、先生方が一人ずつメッセージを送っていました。
「社会に出たら、自信を失ったり、理不尽な目にあったりするかもしれない。そんなときはいつだって帰っておいで。リフレッシュできる場を維持していくからね。」「誰かを思いやること、慮ることを忘れずに。でも、人に迷惑をかけることを怖がりすぎないで、他者とどんどん関わっていこう」と、人生の先輩からの勇気づけられるメッセージに、うんうんと頷きながら聞く卒業生。

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それぞれの教室の催しが終わっても、学内のあちこちで、名残惜しそうに撮影したり、おしゃべりをする姿が見られました。

卒業生のみなさん、本当におめでとうございます。
そして、京都精華大学に入学してくれてありがとう。
学生生活、どうでしたか? そんなふうに聞かれても、ひとことで言いきれないほど、楽しかったり悔しかったり、泣いたり笑ったりした4年間だったのでは、と思います。
いつか、ここでの思い出が、みなさんを救ってくれますように。


最後に広報グループからのお知らせです。
卒業生の展覧会や受賞、出版などの活躍情報は、大学のホームページで紹介させていただきます。ぜひご案内くださいね。
▼ 連絡先はこちら:
京都精華大学広報グループ:exhibition@kyoto-seika.ac.jp

卒業生のみなさんのご活躍、ご健勝を教職員一同心より願っています。