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ニート校長、トラックメーカーになる。Episode5:DTMの基礎〜ドラマーから見たDTM・ビートカバー編〜

前回のあらすじ・・・

DTMレッスン第一回がついにスタート。
スタート直後MIDIという大きな壁が立ちはだかり苦戦する校長。
例えるならそれは初代ポケモンのニビシティジム、初代モンハンの飛竜の卵、初代龍が如くのラウカーロン。

そしてついに宿題が出される!
第一回目の宿題は、既存曲からのビートパターンのコピー!
ついにここから、実際にDAWソフトを使ってのレッスンが始まる!

これはKYOTO NEST学校長hatch=ドラム以外なにもわからないアラサーが、KYOTO NESTのDTM科AGURA先生に教えを乞いながらDTMerを目指す物語…!

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ビートカバー

「バンド」のほとんどがまず最初は既存の楽曲のコピーに取り掛かるように、DTMerも最初は既存曲の模倣から始まる。これは非常に合理的であると思う。

知識がゼロの状態で、楽器を前に「さあ、どうぞ!」と言われても、何をどうすればいいのかわからない。無いように見えて、全ての音には先人たちの積み重ねと発見がある。「こう押さえればCのコードが鳴らせる」という「型」が既にあって、それを模倣することで体得できる。何も事前情報や知識がないまま、手探りでCの押さえ方を見つけるというのは合理的では無い。

DTMはすなわち全能の楽器なのである。
だって全部鳴らせるねんもん。

まっさらなキャンバスが目の前にあったとして、「水彩絵の具」で何かを描くのがギター、「黒鉛筆」で描くのがドラム、という風に例えるならば、DTMは、この地球上に存在するありとあらゆる画材が目の前に広がっているような状態なのだ。
敷居が低いように見えて、それをどう跨げばよいかがわからない、というのが、DTMを始めてしばらくたった自分の素直な感覚である。


その第一歩に最適なのがビートカバーである。ここからは、ドラム講師としての経験や見解も含めて、その理由をお伝えできればと思う。

音の種類

常日頃から生徒や、他のパートのプレイヤーと話をするときに口酸っぱくして言っていることがある。

ドラムの耳コピはまじで一番簡単

これである。

異論は認める。
しかしこれはほぼ覆ることのない真理であると思われる。

DTMの画面をその根拠のひとつにすることもできる。

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例えばピアノの音源を選択した場合、鳴らせる音域はこの鍵盤の数だけある。

それはすなわち、この数だけ鳴らせる音の数があるということだ。
更に単音のみならず、和音を考えた場合、鳴らせる音色の種類は数え切れないほどある。

メロディ楽器のコピーをするということは、この膨大な可能性の中から最適解を見つけ出すという作業をするということに等しい。
母数が多すぎるのだ。


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ドラム音源を選択した場合、(メインの音色としては)アサインされているのは鍵盤のこの範囲のみである。

そして何より、組み合わさることで成立する音の種類が和音に比べてかなり限られてくる。端的な話、「バスドラムを除くほぼ全ての音は3つ重ならない。」とか、そういう物理的なルールが存在する。腕は3本ないのでね。

しかもその音というのは、ドラムセットという楽器の特性上更に細分化されている。スネアの音はスネアからしか鳴らない。せいぜい、パン(ノーマルショット)、スパン(オープンリムショット)、カッ(クローズドリムショット)の3種類。これで終わりである。何種類もの「スネアの音」があるわけではない。

「ドッ」と鳴ればバスドラム。

「パン」と鳴ればスネア。

「トコドコドゴ」がタムで、

「チーチッキチー」がハイハット、

「シャアーーン」はシンバル。

「チンチキチンチキ」「キャァン」はライド(カップ)。


ほぼ、これで以上なのだ。


ドラムの耳コピに悩む若いドラマー諸君。

簡単だよ!!

わからなければNESTドラム科においで!!


ベロシティの理解

ドラムの打ち込みのクオリティを左右するのは音色でもフレージングでもなくベロシティの適切なコントロールである。

文字で表現するのは大変難しいが、エイトビートにおけるハイハットを

チッチッチッチッチッチッチッチッ


とするのか、


チッチッチッチッチッチッチッチッ


とするのか、みたいなことである。

そのベロシティのコントロールを波形から学ぶ。

これが結構面白い。特にバスドラム。ダブルアクションの前が強いのか後ろが強いのか。それによってどのようなグルーヴの変化がもたらされるのか。

ハイハットは必ずしもチッチッチッチッチッチッチッチッが正解なのか。あえて全部チッチッチッチッチッチッチッチッでいってもいいのではないか。

など、発見が絶えない。

ドラムの音というのは声を含む他のメロディ楽器と比べて的な音なので、波形においても視覚的に位置を発見しやすい。またその波の大きさからおおよそのベロシティを類推しやすい。ドラムの経験がなくても、自然なダイナミクスとは何かというのを学びやすいのだ。


クォンタイズ

DAWソフトにはクォンタイズといって、MIDIサウンドデータをグリッド(正確な音符の位置)に自動で合わせることのできる機能がある。

が、ことHIPHOPの制作においては全くそれが役に立たないと言ってよい。不正確なビートが生み出す独自の揺れというものがあるからだ。

試しに既存曲のドラムカバーに際し、パターンをまず打ち込んでベロシティ処理をし、聞いてみると「なんか違う」感がものすごい。
そして波形とMIDIを見比べてみると「なんかじゃなくて全然違う」感に直面する。

面白い。HIPHOPはサンプリングミュージックと言われるだけに、最初からジャストなタイミングで処理されたビートパターンというものの方が稀なのである。


「とりあえず音色は置いといて、波形に基づいて忠実なビートのカバーをすること。絶対に電子ドラムにMIDIケーブル突っ込んで叩いて録ることのないように。

AGURAに言われた通り、ノートPCのキーボードをサンプラーパッド代わりにしてタカタカとビートを打ち込み、第一回目の宿題が完了。

「じゃあ次はビート以外全部!」


いきなり飛躍がすごいな!!!


次々々回へ続く。

次回、次々回は番外編となります!


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KYOTO NEST
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