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『中国ジェンダー史研究入門』【新人読書日記/毎日20頁を】

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新人読書日記シリーズ、4冊目。
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#365日積読崩しチャレンジ

「断髪」と「辮髪」【新人読書日記/毎日20頁を】(57)

「中国ジェンダー史研究入門」、261〜280頁、読了です。 本章「近代中国の男性性」では、中国の「男性性」はどのように定義・左右されてきたかを概観しています。19世紀末、清末民初の政治家・康有為が「断髪」を提起、女性的「辮髪(おさげ)」は中国人が西洋人に笑われる原因だと、辮髪を切ることを提唱し、男性性への復帰を求めていました。「辮髪」の歴史と対照してみると、このエピソードは興味深いと思います。 もともと「辮髪」は統治階級になった満洲族が自民族の風習を漢民族に押しつけたもの

朱子学と再婚【新人読書日記/毎日20頁を】(53)

「中国ジェンダー史研究入門」、181〜200頁、読了です。 「餓死事極小、失節事極大」(餓死するよりも、貞潔さを失う方が大きな問題だ)は、朱子学の代表的なキャッチコピーの一つとして広く知られています。前近代の女性の抑圧の原因となっています。寡婦の再婚は批判対象となり、「節」を保った女性は推奨されるなど、現代人には想像しにくい世界でした。 とはいえ、今の中国でも、バツイチの女性は、お見合いの場では不利になるなど、これは普通だと認識されているのも、長年続いた朱子学の思想に影響

中国ジェンダー史研究入門、はじめに・・・【新人読書日記/毎日20頁を】(44)

「中国ジェンダー史研究入門」、1〜20頁、読了です。 「昔の女性は惨めだったよ。」という言葉は子供の頃からよく言われてきました。どのように「惨め」だったのでしょう?また、なぜ「惨め」ではなくなったのでしょう?この本を見た瞬間、すぐ読みたくなったのは、おそらく、そういった疑問をずっと抱いていたためかもしれません。 先秦より現在に至る、長い歴史の中で、中国の女性が社会にしめる立場はどのように変化し、今の在り方に辿り着いたのか。武則天、李清照を生み出した時代と江青を生み出した時