しがない本屋の一日

某鯖 Advent Calendar 2021 12/6担当のキョロです。なにとぞよろしく。
特にこれと言ってハマっているものも今はないので、オタクのみなさんなら行くことが多々ある本屋の一日について書いていきたいと思います。
※今回紹介する本屋は駅の近くの小さな店舗です。大型店舗ではないのでそちらを期待していたら申し訳ないです。
※かなり愚痴っぽい内容です。軽い内容のものを書きましたので軽いのがいい方はこちら→

https://note.com/kyoro_/n/n388ecc9619a8

開店 10:00
お店を開けます。うちの本屋は年中無休で年末年始くらいしか休みません。
軽く掃除をしてBGMをかけて、レジ金を準備して、電気つけて開店します。開店すると取次が来ます。取次とは出版社と本屋をつなぐ会社で有名なところだと、日販とトーハンです。前日にまとめておいた返品する雑誌やコミックなどを持っていき、新刊や補充などが届けられます。届けられると開けて検品をして、当日の発売雑誌を並べていきます。お客様が注文していた本が入ったら電話をします。電話何回かけても出ないのはやめてください。
 当たり前ですが、紐でくくったりする作業も本屋がしています。美容雑誌は付録が大きくブワブワするのでキレそうになる時もあります。
 あとは配達に行きます。うちの本屋は近所の病院や美容院、理髪店、飲食店に事務所などから定期購読を承っているので、営業日であれば配達に行きます。時間がかかるのでこれはパートの人に任せます。

出勤12:00
出勤します。本屋はみなさんご存知の通り儲からないので、開店から12:00まではパートの人2人で回します。昼からは店長と夕方までのアルバイトと閉店までのアルバイトで回します。店長は月曜を除いて週6勤務です。大型連休等は存在しません。
 出勤すると前日の売り上げを振り込みに行ったり、両替をしたりします。売上をみつつ、来月のムックやコミックの入荷数を調整し、返品率を考える必要があります。本には返品できる期限が決められているものがあるのでそれのチェックも必要です。本屋はレジがPOSシステムを導入していてもだいたいの部分がアナログなため、無駄な時間が大量に発生しますが、店が暇なのでアルバイトにやらせておけば問題ありません。問題が発生したら知りません。誰かがどうにかしてくれるでしょう。
 お客様からの取り寄せ注文の対応もします。基本は取次にあるので取次のサイトで注文すると朝の配達で一緒に詰めて持ってきてくれます。出版社独自のサイトがあればそこから注文したりもします。取次にもなければ出版社に電話をして取次宛に配送するようにお願いしてそこから本屋へと届きます。

休憩17:00ごろ
一時間の休憩です。近所のスーパーの割引弁当を買いに行きます。この1時間はアルバイト二人で回しているので、片方のアルバイトが翌日の返品する雑誌を段ボールに詰めます。本は毎日入ってくるので毎日返品します。返品する雑誌はPOSシステムで管理されており、明日新刊が出る雑誌はこれだから前号のこれを返品しよう!というリストが出るので、マクロを使って表にして棚から集めて段ボールに詰めます。この時、雑誌についてくる付録に関しては本屋のものとなります。付録を回収して買い取ってくれるサービスがあるのでそれに出したり、保管しておいて年末年始に格安で福袋にしたりしています。あとは本の売り上げが悪い月に「○○円以上お買い上げでトートバックプレゼント!」みたいなことにも使います。

補充18:00
商品を補充します。売れた雑誌やコミック等がわかるのでそれに沿って棚に補充します。休憩時間は新聞の広告欄に乗っている本が店舗にあるかチェックして売れそうだったら補充します。高齢者はだいたいここに載ってる本を買いに来るので案外馬鹿にできません。○○大賞などのノミネート作品や大賞作品は事前に告知されるのでそれらの売れそうなものを見定めて注文します。あとは返品する段ボールがスカスカだと運送会社に怒られるので、売れないであろう雑誌を詰めたりしていい感じにします。それが終われば閉店まで雑務をしながら季節のイベントコーナーの設営のために本を移動させたり、長く棚を占有している本がないか確認し、あれば返品に詰めるなどします。

閉店21:00
今日も売り上げがヤバい...と思いながら閉店します。コロナ前からなんとかやっていましたが、コロナが流行してかなり厳しくなりました。昨年は鬼滅の刃ブームと呪術廻戦ブーム、それに加えて東京卍リベンジャーズがあったのでなんとか持ちこたえられました。しかし今年はそれらも落ち着き、死にそうな顔をしています。まあ、誰かがどうにかしてくれるやろ...と思いながら今日の売り上げを確認し、掃除をして翌朝取次が返品を取りに来るのでわかりやすくまとめてシャッターを下ろします。


おわりに
これがだいたいの一日のスケジュールです。この他には出版社の営業が来て店のこのスペースにうちのコーナー作ってくださいよ!!!と明らかに売れないしそんなスペースもないことを営業されたり、面倒な高齢者の相手を無限にさせられたり、出版業界ではいまだにスタンダードなFAXからの営業を見て売れそうな本を探してFAXで注文したり...があります。
一般的に本の売値の3割弱が本屋の儲けです。しかしそこからアルバイトに給料を払い、店の備品を買っていると手元に残るのは...ということになります。本をめちゃくちゃ買ってくれ!!!とはいいませんが、たまに本屋のことを思い出していただけると幸いです。ここまでの長文読んでいただきありがとうございました。こうして企画を立ててくれたcigareさん、場を用意してくださったびばえいち先生に感謝します。

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