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サッカーサポーターのおじさんたちに「写ルンです」を渡すとどんな写真が返ってくるか

世の中には星の数ほど娯楽が溢れている中でどうしてサッカーファンはサッカーを選ぶのでしょうか。

僕自身も気付いてしまえばサッカーに魅力を感じてしまっている一人ではありますが、どうしてそれがサッカーなのかという疑問は晴れません。しかしサッカー以外のものに時間やお金をかけてみても心が満足をしません。それこそがサッカーを応援する理由といえばそうかもしれません。

僕はまだ大学生で世の中のことを何も知らない普通のサッカーサポーターなのですが、今回は機会があってサッカーの沼にどっぷりとはまり続けているおじさんたちとアウェイ遠征に行く機会があったので、ここぞとばかりに「写ルンです」を渡してみました。

どうして写ルンですを渡してみたのかという経緯はこちらを下記の記事をご覧ください。



初めてサッカーを観に来てくれた女子高校に写ルンですを渡してみることで、「初めてのサッカーサポーターはどんな目線でサッカー観戦をするのか」を研究した記事です。

全額実費で完全に趣味の範疇だったのですが、これがなかなかに評価をいただいたということもあって今回はその対極の存在である「サッカー沼にどっぷりハマった」「おじさん」を対象にどんな景色を見ているかに興味がありました。

また、前回の記事で出てきた高校生たちは「写ルンですを触るのが初めて(!)」という世代でもあり、21歳の自分も物心あるころからデジカメを持っていたので写ルンですを触ることは初めてでした。しかし、今回のターゲットであるおじさんたちはまさに写ルンです現役世代。いままで様々な撮影の失敗を経験してきているはずなので、写真のクオリティーに期待がかかります。

それではさっそくアウェイ遠征の旅と共にどのような写真が撮れたのかを元に「玄人サッカーサポーターの目線」を見ていきましょう。

出発

今回の舞台となるのはJリーグの2部のレノファ山口vsアビスパ福岡という対戦カードです。試合会場や山口県の維新みらいふスタジアムという場所。

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出発地点である博多駅から大体車で2時間くらいの道のりとなっていますが、実際には下道を駆使しながら3時間ほどの道のりとなりました。

まずは博多駅で合流です。そこで皆さんに「気軽に好きなところの写真を撮ってください」と4人のおじさんに伝えて写ルンですタイムのスタートです。

真っ先に出てきた写真がこちら。

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調子にのってそうな大学生こと、僕の写真でした。この時には顔の輪郭を小さく見せるための工夫としてダブルピースをフェイスラインに乗せるテクニックを用いていました。

伝え忘れましたが、今回の旅は車での移動となります。

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晴れ渡った青空でまさにサッカー観戦日和、そして写ルンです日和です。

道中で見かけた原付で福岡から山口まで向かっていたおじさんアビスパサポーターの写真までありました。忍耐力がすごい。

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SUSHI

道中で最初に立ち寄ったのが下関にある唐戸市場

海峡の街、下関が誇る新鮮なさかなを扱う唐戸市場で祝日週末に"寿司バトル"を開催しております。河豚の握りをはじめ、その日にあがった魚も握りやどんぶりにして市場に並びます。
活きの良い海鮮と市場ならではの活気を味わえるチャンス!これは絶対に体感する価値あり!!(唐戸市場HPより引用)

ここでは新鮮なおさかなを使ったお寿司や海鮮丼などを楽しむことができますが、ここでの写真が飛び出します飛び出します。

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まずは見渡す限りの青い海!晴れ渡る青空!そしてとてつもない強風でした。

またおじさんは何も説明しなくても「レンズに指をかけて現像してみると写真に指がかかっちゃった・・・」という失敗もありません、さすが現役世代!

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こちらが施設内の様子ですが、新鮮なおさかな料理が屋台のように並んでいてそこから好きな屋台を選んで購入していきます。

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本州と九州を繋ぐ関門海峡を見ながらのお昼タイムです。

皆さん食べるのに必死でお寿司の写真がなかったので僕の一眼レフで撮影したもので補足をさせていただきますが、

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シースー!!!!!!!

ここで食べたシースーのせいで、たまにバイト帰りに半額になったスーパーのお寿司が消しゴムを食べてるようにしか感じなくなってしまいました。


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食べ終わりの時に僕がパシャリと撮影したものを見てみると今回の参加者である4人がなにかアベンジャーズのように見えてきました。

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アビスパ福岡を応援してるからアビンジャーズ・・・なんつって


そんな冗談はさておき、唐戸市場は海外の人からも知名度があるほど人気なようで、「下関といえばフグ」というイメージ通りの飾りつけがなされていました。

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フグの置物を撮る人を撮るという構図もありましたが、おじさんをおじさんが撮っていることになりますね。

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美味しいSUSHIを食べた我々は次なる目的地へと移動します。

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美味しいOSHISUをありがとう、また来年きます。


キャッチボール部

あれよあれよという間にスタジアムに到着します。維新百年記念公園がこのスタジアムの正式名称です。

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しかし我々はスタジアムを素通りして近くの公園へと向かいます。なぜなら僕を含めた我々5人の旅団にはスタジアムで試合観戦以外のある予定がありました。

それは"キャッチボール"です。

キャッチボールとは

キャッチボールとは、2人もしくはそれ以上が相互に投球・捕球を繰り返す行為である。野球では練習、家庭では親子のコミュニケーションの手段として行われることも多い。キャッチボール(catchball)をするは“play catch”である。(Wikipediaより引用)

というもので皆さんがキャッチボールと聞いて最初に思いつくもので合っていると思います(違った際にはご連絡をください)。


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めちゃくちゃ広い公園で我々は例の"キャッチボール"を開始します。後ろのほうでは男性と女性が大道芸の練習をしていました。

メンバーの5人に対して野球グローブを持ってきたのが1人だけという意識の低さはありますが、立派な自称キャッチボール部です。

上のものは当時の僕のツイートですが、アビスパ福岡公式グッズのベースボールシャツを着用するメンバーがいるなど非常にユニークな部活ですね。油断をしているとカーブ、シンカー、ナックル、フォークを華麗に操る部員のキャッチャー役をさせられるので危険です。


また、キャッチボールの時には皆さんキャッチボールに夢中になっているのでここぞとばかりに僕が写真を撮っていたのですが・・・

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「レンズに指をかけて現像してみると写真に指がかかっちゃった・・・」

もろにやってしまっていました!ミレニアム世代に「写ルンです」は早すぎました!!!!!!!!!



唐戸市場で美味しい飯を食べ、広い芝生でキャッチボールと運動をすると強烈な眠気が襲ってきましたが、私たちの本当の目的はサッカーの応援なのです。こんなところで負けてはいけません。

キャッチボールを終えた我々は本来の目的であるスタジアムに向かいます。


いざ戦いの場へ

サッカーサポーターがスタジアムに入ったということは、これからの戦いに向けて牙をむき出しにし、いまにも襲い掛かってくる獣のような姿勢を醸し出さなければ相手チームに舐められてしまいます。

心を整えていざスタジアムに向かいます。

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スタジアムはレノファ山口のチームカラーであるオレンジ色のユニフォームを身にまとった方々で埋め作れていました。スタグルと呼ばれるスタジアムグルメに行列を作り、グッズ売り場で各々の目的の品を手に入れていましたね。

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またこのように「維新劇場」という弾幕が下げてありますが、ここはただのスタジアムではなく劇場なんだ、まさにいまからドラマが始まるんだと心躍る表現がありました。すてきですね。

そして個人的に最も感動した写真がこちら

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「おじさんSUGEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

雲の造形の美しさはもちろん、スタジアムを一部加えることで芸術的なものを感じさせられます。これは写ルンですで失敗を繰り返したものだけしか撮影できない写真ですよね。

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僕も同じ所で撮影しましたが、「写真とは引き算」とはよく言ったものです。僕はここから「失敗というものは美しいことである」ということから歴史の美しさ学んで大学で歴史に関する講義を受講しています(普通に楽にとれる単位だったこともある)


本筋からは逸れるのですが、いざスタジアムに入るとその日は「paypayで支払えば一部のグルメが半額」という狂ったサービスをやっていましたので、僕はビールを美味しくいただきました。

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こちらはスマートフォンで撮影した写真ですが、カップにチームロゴが記載されているスタジアムは大好きです。将来は全国すべてのスタジアムでビールを飲みたいという夢があるので、そのためにiPhoneでスタジアムビールの写真を撮りためたファイルを作っています。

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いま見返してみると酔っぱらったまま追加をするので誤操作で馬の尻やセブンイレブンのコーヒーなどが入っていますね。これもまた"一興"です。


さて、ビールを買っている間にメンバーとはぐれてしまったこともあって適当な場所に席を確保して試合が始まるまでのんびりすることにしますが、他のメンバーの方々の写真を見てみたいと思います。

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と思いましたが、なんとそのタイミングでラグビーワールドカップの日本代表が強敵アイルランドと対戦しているということもあって、皆さん先ほど道中で見かけたおじさんの携帯電話のワンセグで試合を観ており試合前の写真がほとんどありませんでした。まじうける。


ウォーミングアップ開始

なんとラグビーワールドカップで日本代表が強敵アイルランドに勝ったということもあってメンバーは大興奮。飯を食べ、運動をし、ラグビー代表が勝った時点で幸福を確信していました。

しかし、本来の目的はこのサッカーの試合です。順位を考えると3部に降格してしまう可能性も十分現実的なのでここは意地でも勝たないといけない試合です。選手たちがウォーミングアップでピッチに入ってくるタイミングで気合を引き締めます。

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あまりに写真が無かったのでここは僕の一眼レフで補足しつつで続けます。試合前からしっかりと声を出し、跳びはねてゴールの裏から選手たちのエールを送っていきます。絶対に負けてはいけない試合ということに加えて、わざわざサッカーの試合を観るためだけに山口まで来たという強者揃いの環境においてその盛り上がり方は本物です。

それからぜひ見ていただきたいのが、この大旗部隊

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これは全部福岡から山口まで持ち寄った大旗です。考えられますか、福岡から山口まで自費で来てる上に大旗を自らの手で持ってきたかと思えば試合中にもチームを援護するために重たい旗を振り続けるのです。これは愛だ。


試合開始

選手たちのウォーミングアップが終わるといざ試合のキックオフです。

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選手たちの円陣を見ながら相手チームの声援に負けじと声を張り上げます。選手たちが孤立してしまわないように、選手たちが相手の大声援に心を折られないように僕たちも必死でチームに対して後押しをしていきます。

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またもや本筋から離れた話になってしまうのですが、僕は誰がなんと言おうとこのクラブが大好きです。

いままで何度もサッカーから離れた時はありました。ファッションにお金をかけてみても、インテリアにお金をかけてみても、サッカーのない旅行をしても、心が満たされないんです。

その他福岡にはソフトバンクホークスという日本で一番強いと言っても過言ではない野球球団もありますし、その試合にも何度も行きました。確かにその試合は面白いのですが、ワクワクしないのです。

人それぞれ多種多様な考え方があるとは思いますが、僕はこのクラブが大好きだし、このクラブを好きだという人が集まるこの場所が堪らなく心地いいのです。僕はこのチームと出会えて本当に良かった。このクラブをここまで支えてきてくれた人々の思いやその情熱を僕たち若い世代が引きついで次なる世代に向けての夢を与えるためにも、この試合にだけは絶対に負けるわけにはいけないのです。

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試合後

試合は負けました。0-2の完敗です。

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レノファの選手たちもホームスタジアムでの勝利に心から喜んでいました。2点差をつけて無失点の完璧な試合、逆の立場からを体験したこともあるからこそ分かる「最高」の一言。おめでとうございます。


また写真を見ると魂が抜けたように歩く僕の姿が撮られていました。高校生の時から5年ほど使ってるボロボロのリュックサックをしょって僕は一体どうして山口に来たのだろうかと考えていた所だったと思います。

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試合には負けてしまいましたが、美味しいOSHISUを食べて、適度な運動をし、ラグビーは大金星。楽しいと悲しいがどっこいどっこいくらいの気持ちでした。

この重苦しい雰囲気の中で福岡まで片道3時間をかけて帰る訳ですが、実際に僕が家に帰り着いたのは深夜12時でした。過酷&過酷。サッカーサポーターは大変だ。

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なんだこの写真は

まとめ

さて今回は本筋から離れたところもしばしばありましたが、今回の旅で得られた研究結果として、僕の中のいくつかの仮説をご紹介する形で締めくくろうと思います。

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まずはサッカー観戦を長く続けている人は、サッカー観戦を心の底から楽しんでいるということです。

楽しみ方は人それぞれでいいのです。ラグビーに日本代表の躍進でにわかファンという言葉がトレンドに浮上していましたが、にわかで結構なのです。要するにサッカーというものを使っていかに人生を豊かに出来るかという部分が大事なのです。

もちろん、サッカーに人生を捧げてきたような人に対してもリスペクトが必要です。どれだけのお金と時間をかけられるかには愛がなければ絶対にできません。それだけの愛に対してはもちろん、にわかファンというものがないとコンテンツは衰退していくことになってしまうので、にわかファンにもリスペクトが必要です。どちらがいいという訳ではなく、それぞれの形でサッカーを楽しめばいいのです。

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例えば、今回の旅を見て私たちのことを「厳しさが足りない」と考える人がいるかもしれません。それぞれの意見があるので生きている限り対立はありますが、それでも僕はこの旅が心の底から楽しかったのでそれでいいのです。

僕は軽い気持ちでおじさんたちに写ルンですを渡してみようとしていましたが、返ってきたのはただの写真だけではなく「サッカーとは」「サポーターとは」といった哲学的な問いも付け加えられていました。

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初めてサッカーを観に来た女子高校生は応援席を興味深そうにじっと見つめている子がいたのですが、サッカー観戦を心の底から楽しんでいる様子を見て次を担う世代が興味を持ち、サッカーというものに興味を持ってくれるものだと思います。

世の中には何万といろいろなコンテンツのファンの方がいると思いますが、コンテンツのためにお金を落とすことだけが貢献ではなく、心の底から楽しむということも一つの貢献の仕方なのかもしれません。

ふわっとした終わり方になってしまうのですが、今回の記事はここまで!

最後に、写ルンです5台と現像したお金は前回の記事を書いた際の金銭サポート費用を使用させていただきました。拡散をしてくださった皆さんを含め本当にありがとうございました。


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