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初めてのサッカー観戦をする女子高生2人組に「写ルンです」を渡してみた

皆さんが初めてサッカーを生で観たのはいつの試合だったか覚えていますか?

僕はいまからちょうど10年前の小学生の時に地元のサッカークラブであるアビスパ福岡の開幕戦を観に行った時でした。

人それぞれ初めてのサッカー観戦の経験はあると思いますが、「初めてのサッカー観戦」はもう二度と味わうことができません。だからこそ、「初めてのサッカー観戦」ではどんなところに目が行くのか、そしてどういう所に「エモみ(感情が揺さぶられるのか)」を感じるのかを調べてみたくて初めてのサッカー観戦をしてみたいという人を招待してみました。

今回は「初めてのサッカー観戦をする人はどこに目が行くのか」を切り取るための手段として、大人の方ならよくご存じだと思いますが「写ルンです」を採用してみました。

実は「初めてのサッカー観戦者」を招待するのはこれで4回目。きょんもりシートという名前で少しずつアビスパサポーターの方にもこの活動を知って頂いている方もいる中で、「招待した人がどこを見ているか正直分からん」という感想を持ちました。

自腹で人を招待するのはいいけど、何か得るものがなければ生産性がないと思い、自分の趣味であるカメラ関係で気になっていたフィルムカメラを用いて「枚数制限のある中でスタジアムのどういった部分を切り取れるか」という状況を作り出す一つの手段に撮影枚数に制限のある「写ルンです」を採用してみました。

スマホを当たり前に持っていて(ほぼ)制限のない写真撮影に慣れてる現代っ子にあえて制限をかけてみるというところにも

とエモみを感じながらこの企画を構想してました。


さて、今回の招待をする上での条件をまとめてみます

・2人に写ルンです(27枚撮り)を渡して帰るまでに写真を撮りきってもらう課題を与える
・チケット代、グッズ代、飲食代は全部僕が出す

これだけ!凄く緩く来てくれる子たちがリラックスした状態をキープすることを心掛けました。

そして、今回スタジアムに来てもらったのはこの子たち

左側の姫カットの子がカリンちゃん、右のストレートヘアーの子がハルちゃんでどちらも同い年の女子高生です。

ちなみに、どちらにも僕の持っているアビスパ福岡の2019バージョンと2018バージョンのユニフォームを着用してもらいました(どちらも森本貴幸選手のネームが入っているので森ガールになってもらいました)。

また、渡すときに「これ一枚2万円くらいするんだよ」と笑いながら伝えると、周りにいるユニフォームを着た人を見ながら「2万円を着ている人がたくさん・・・」と衝撃を受けていたようでした。

それでは早速、彼女たちが自由に撮りさばいていった写真を現像したデータを元に「初めてのサッカー観戦」をする人の目線を見てみましょう。


スタジアムに入るまで

まずは試合会場のレベルファイブスタジアムの最寄り駅である地下鉄「福岡空港駅」で待ち合わせをしました。

写ルンですを使って写真を撮るなら明るい時間帯の方がいいだろうという考えと、サッカー以外の部分ものんびりと堪能できる時間があればと思いキックオフの3時間前に集合してみました。

そこで二人には例の「写ルンです」を手渡して、今日のミッションはこれを27枚撮り切ることですと伝えてスタジアムまで向かいます・・・・が

大きな問題が

企画者の僕はハタチなのですが写ルンですを触ったことがありませんでした。念入りに下調べはしていたもののフラッシュの炊き方が公式サイトに書いてあるものと合っているか分からないし、シャッターが軽すぎて撮れているのかも分からない・・・

ツイッターのフォロワーさんが沢山アドバイスをくれたので、ここに来た情報を元に3人で使い方を確認して「初めてのサッカー観戦」と共に「初めての写ルンです」もスタートです(笑)


スタジアムまでの移動には駅から出ているレベルファイブスタジアム行き臨時バスを利用します・・・・と行きたいところですが

空港から地上に出るまでの階段で1枚目の撮影がスタートしました。

そこで撮影されたのがこちら

エモみが深い~~~~~!!!!!!

そして

正直こう思ったのですが、いや違うんです。

サッカー観戦はここからスタートしているのです。この子たちはここでエモみを感じて写真を撮影しているので、ここにサッカー要素がなかったことの方がおかしいのかもしれません。ちなみにここに来るまでの横の壁にどでかいアビスパの壁紙があったのですが、彼女たちは一ミリの気付くことがありませんでした・・・

勉強になりますね。

そういえば一つ前のアウェイで行ったジェフのホームスタジアムの最寄り駅である蘇我駅にはジェフ感がありましたし、そのついでに行った横浜DeNAベイスターズの近くの駅にもベイスターズ感がありました。それがあるだけで「この駅で間違いないんだ」という安心感と同時に、ここからスポーツ観戦がスタートするんだという高まる気持ちになることもあって最寄り駅は大事なポイントかもしれません。

この子たちに写ルンですを渡して、「近くの駅からサッカー観戦はスタートしているんだ」という勉強が出来ただけで今回は得るものがあったので一安心です。

ちなみにシャトルバスでも写真を撮影していたので、ここにもスタジアムに向かっている高揚感が含まれていて注目して目にしてしまう一面であることが分かります。たかがシャトルバス、されどシャトルバス。ここにアビスパ要素が一ミリもないのがちょっと悲しかったです。


スタジアムに到着

バスに揺られてレベルファイブスタジアムに到着しました。いつ見ても神秘的なスタジアムだと僕は思います。まずはトイレに入って二人にユニフォームに着替えてもらって、座席の確保をしていきます。

今回の作戦としては

・前半は屋根のあるスタンドでの観戦
・後半は希望であればゴール裏に移動して応援に参加してみる

という前半と後半で2WAYの楽しみ方をしてみるというものでした。

スタンドでゆっくりと試合を観るのも最高、ゴール裏で熱い応援をしながら試合を観るのも最高と、二つの楽しみ方を提示することで次の試合に「来るか来ないか」ではなく、「次に来るならどっちで観たいか?」という選択肢のすり替えにもなります。

また後半になるとアビスパがゴール裏側に向かって攻撃をするので、アビスパのゴールシーンが近くで見えやすくなるということもフォロワーさんからアドバイス頂いたので後半からゴール裏に行くプランを練ってみました。

それでは最初に座席を確保してから自由に動き回ってみます。


試合開始前

スタジアムに入ってから見るところにも個性が出てくるので、二人の視点を分けて見てみようと思います。

まずは姫カットのカリンちゃんから

毛先の赤と、胸スポンサーである福岡地所様の赤が綺麗なカリンちゃんの作品の一部がこちら

彼女はしっかりとモデルを作って、写真の中に分かりやすく主役を決めての写真が多かったです。他の人には目が行かないような目の付け所にセンスを感じますよね。それこそ僕もモデルにされているのを見て、「そういえば招待する人がどう応援しているかって見られているんだな」という当たり前のことに気付かされたりもしました。

個人的に「?」だったのが、

このペットボトルキャップが珍しくて写真を撮影していました。

「最近の女子高生ってペットボトルキャップにエモみを感じるのか・・・」

と表情には出しませんでしたが、衝撃を受けました(おそらく彼女はとんでもないマイノリティ)

他にも応援席の大旗が上がったタイミングを狙っての写真もあり(ちょっと遠いけど)

主役の選び方が面白いなあと同時に、旗という存在がゴール裏の存在感をさらに強くしていることが分かりました。

続いてはストレートヘアーのハルちゃん

普通の顔して手持ちの扇風機を出してきたときには、

と思いましたが今時の女子高生はこれが普通みたいですね。お兄さん知りませんでした。

そんなハルちゃんの作品がこちら

カリンちゃんとはまた違う味を感じますね。撮りたいと思った主役を写真の一部として背景にもこだわりを見せていて、その場の雰囲気までも切り取ろうとしていることが分かります。

個人的にはこの写真がめちゃくちゃお気に入りで、被写体になったカリンちゃんの赤リップと肌の白さが際立って、後ろの通路が見えるように位置取りでフラッシュをしっかり炊いて撮影したハルちゃんのセンスも抜群で二人の良さが見えてますよね。

サッカー観戦は主役となり得るものはたくさんあるものの、それをどういった角度や大きさで切る撮るかは人それぞれだということを改めて気付きました。人を招待するときには正解は一つではない(試合だけ、スタグルだけ、応援だけ)ために、いろいろなものを提示してあげて本人に選択肢を与えることでチームを好きになってくれる確率が上がるのではないかと思いました。

2人にはスタジアムグルメをぶらーっと見てもらって、好きな物をチョイスしてもらって選手のアップを見ながらお腹を満たしてもらいました。

そして試合が始まるところまで雑談をしたり、座席を移動してスタジアムを様々な角度から味わってみて、いざキックオフです。


試合開始(前半)

試合が始まる頃にはゴール裏には地元の高校生たちが参加して大盛り上がりの中で試合も始まっていきます。学生の動員によって、いつもの1.5倍くらいの迫力のあるゴール裏でした。

選手が入場するときには二人にプレゼントしたタオルマフラーを掲げてアビスパサポーターの一員となってもらうことも抜け目なく!

選手も円陣を組んでいざ試合が始まります。

スタンドから観る景色には「思ってたよりも選手が近かった」という感想と共に、応援席から響く太鼓に思わずゴール裏に目が行く二人。そういえば僕も初めてスタジアムに来た時に太鼓の地響きが身体に響いたことを思い出しました。

(カリンちゃん撮影:くぎ付けのハルちゃん)

試合展開としてはチャンスあり、ピンチありというなかなか面白い試合で、僕からは

「あっち側のネットにシュートが入ればゴールだよ!」
「いまチャンスだよ!」

という爽やかな解説だけで、「オフザボールの動き」や「3バックと4バックのメリット・デメリット」といったドス黒い解説は胸の内に留めて、目の前のサッカーを楽しんで貰いました。

想像以上の暑さと2人の集中力が切れたタイミングで後半からゴール裏に行ってみないかと持ち掛けてみたところ「行ってみたい!」とのことだったので、

そして、日も落ちた上にハーフタイムにアイスを食べ涼しくなったところで後半からは場所を移動しての試合観戦になります。


後半開始

後半からは場所を移してゴール裏に参加します。

ここから少しうちのスタジアムの自慢になってしまうので興味のない方は切り取り線のところまですーっと飛ばしてください(笑)

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我らのホームスタジアムであるレベルファイブスタジアムの面白いところは、スタンドとゴール裏から見える景色がファンタジーのように異なるところなんです。

横から見ると美しきホワイトのアーチに守られるような安心感

ハルちゃん撮影:スタンドからのレベスタ

縦から見ると芸術作品のようにそびえ立つアーチは圧巻

カリンちゃん撮影:ゴール裏からのレベスタ

チームへの愛情表現は様々ありますが、アビスパのゴール裏という場所で2本のアーチの狭間で声援を送るという愛の届け方はどこにも代えがたい異質さ、狂気さ、非日常感を感じることができます。スタジアムに来る楽しさを100倍にも200倍にも増幅させてくれます。

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日が落ちてしまったので写ルンですの出番は完全に失われてしまいました。そんな中で彼女たちが残した写真がこちら

ハルちゃん撮影:夜のゴール裏から

芸術作品かと思いまいした。彼女たちの写ルンですを現像した時に鳥肌が立つような写真が残っていました。

ハルちゃん撮影:さっきまで案内してた奴

それから応援をしている僕の姿もバッチリ激写されていました(笑)

前半のうちからあれだけ熱いゴール裏を見てからだと僕も跳びたくて仕方なくて我を忘れて普通に応援しちゃってました。ウケる!


結果としては惜しいシュートが何度もあったものの1-1のドローで終わってしまいました。タイミングが悪くゴールシーンを目にすることができなかったこともあり

「次はゴールが観たい!」
「ゴール裏は太鼓の音が響いて凄く良かった!」

という感想を貰いました。

そして最後は「写ルンです」と二人で記念撮影。

「初めてのサッカー観戦」と「初めての写ルンです」の共同企画になりましたが、初めてのサッカー観戦をした彼女たちにとっても貴重な経験になってくれれば嬉しい限りです。

個人的にはスタグルの写真がほぼ無かったことが以外だったりのですが、彼女たちの写真を見て思うのは「初めてのサッカー観戦をする人はサッカーを観てるんだ」という当たり前の所でした。

この2人の貴重な初観戦の経験は上手く次のきょんもりシートはもちろんですが、サポーターの皆さんが初めてのサッカー観戦をする人を連れてくる時、さらにはクラブ関係者の何かのヒントになり得るかもしれないと思い記事にまとめさせていただきました。

最後に彼女たちを福岡空港駅行きのシャトルバスに乗るところまで見送って今回の企画は終了です。

この企画の2日後に青春18きっぷで福岡から山形まで65時間かけて移動した話もあるのですが、それは次のnoteでお楽しみください。


参加してくれた彼女たちのインスタグラムのアカウントへのリンク貼っておきますので、気になった方はぜひフォローしてみてはいかがでしょうか?



【最後に】

この企画をするにあたって多くの方からご支援をいただきました。

このnoteを通じて、きょんもりシートに使ってくれという金銭的な支援はもちろんですが、使わないグッズなどを僕に預けてくださる方や「頑張ってくね!」というエールをいただきました。

一人の大学生としては絶対にできなかったであろう規模の招待企画ができているのもサポートしてくれる方のおかげです、本当にありがとうございます。

きょんもりシートで招待した西日本新聞のライターさんに僕のことを記事にしていただいたこともあって、少しずつではありますが僕の行動がチームにポジティブな影響を与えているのではないかと思います。

ご支援いただいたものを金銭でお返しすることが出来ない分、アビスパというチームをより盛り上げていくための自分にしかできないようなことを追求していこうと思っていますので、今後とも応援よろしくお願いします!




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