さよなら赤羽ハリウッド。 4 新井鏡子 2018年11月17日 20:31 さよなら赤羽ハリウッド。 東京最後のグランドキャバレー「赤羽ハリウッド」が今年、年末で閉店することになった。 昨年、取材でお世話になった身としてはとても残念に思う。 (バンドの生演奏に広いダンスフロアが売りだった。通常はハロウィンのバルーンはない)媒体は「北区時間」という北区の公式ガイドブック。 私は赤羽駅周辺担当ということで「ハリウッド」の名前があがった。赤羽駅南口に広がる歓楽街の中心的存在の建物。 ギラギラした蛍光色のネオンサインが目を引くオオバコのキャバレーだ。 (外壁には、その月のショースケジュールが掲示されている) 赤羽ハリウッドのオープンは1967年。もう50年の歴史を持っている。創業者は「キャバレー太郎」の異名を馳せ、テレビなどにもよく登場していたという福富太郎氏。 漫画家の西原理恵子さんが体験入店した店も、このハリウッド。 (ビロードのソファにネオンカラーの照明、昭和の香りプンプンの客席) 昭和40〜50年代のキャバレー全盛期には、直営店29店が営業していたが、徐々に少なくなり、現在は北千住と赤羽店の2店のみ。 その2店も今年5月の福富氏の死去にともない、店を閉めるという。 (壁のイラストはマスコットガール) 実は、当初は福富氏に話を聞く予定だった。 でも、すでにインタビューを受けられる健康状態ではない、とのことでこと断られてしまった。 それなら体験取材のような体で、ショーを観せてもらい、店長に少しお話を聞かせてもらうことになった。 (キャバレスクショーのダンサー) 正直、その外観と入り口からは中がうかがえない閉鎖感から、いかがわしいという先入観は否めない。 でも!取材後はそんな先入観は一掃された。 もう、この建築がなくなってしまうのは惜しくてしょうがない! (ジャズからポップス、昭和歌謡、グループサウンズまでなんでもござれな箱バン)開店時間30分前に店内に入る。 ショーダンサーが目の前で見れる特等席に案内された。 そこでカメラの準備をしていると、この空間にびっくりするほどミスマッチな音楽が流れた。 「ラジオ体操第一〜♪」そう、昔ながらのラジオ体操だ。 (一階客席) 周囲を見ると音楽に合わせてきちんと体操をしている従業員の方々。かなりのベテランと思える方々だ。ハロウィンの季節だったので、ドラえもんやかぼちゃなど思い思いの扮装をしている。 体操が終わったあとは、従業員全員でミーティング。 「朝礼」にあたるルーティーンでしょうか。 (お客さんの写真は撮影NGだった) 6時30分のオープンと同時にバンドの生演奏が始まり、ぐっとムードが高まる。天井が高いせいか、とにかく音が良くてゴージャスな雰囲気。 周りを見回すといつの間にやら、きちっとスーツを着た老紳士とホステスさんが静かにお酒を飲んでいるのにびっくり。 いつの間に!と思っているとその中の一人が、ホステスさんの手をとってダンスフロアで踊り出した。 踊りなれているような巧みな社交ダンス。女の子は東南アジア系の外国人といった風情。 私の目の前で華麗なターンを決める老紳士、、、ああ、すいません!私、写真撮らないです。。 ということでお客さんとホステスさんの写真はないんですが、店長によると、生演奏で社交ダンスが踊れる場所は本当に少なくなっているそうで、踊りたいお客さんは遠方からも来るのだとか。 年末で閉まってしまったら、あの老紳士たちはどこで踊れば良いのでしょう? バンドが演奏する場もなくなってしまいます。 (往年のハリウッドスターのピンナップがずらり)余談ですが、取材中に出してもらったサンドイッチが本当に美味しかった。老舗ホテルのラウンジでいただくような丁寧なサンドイッチ。正直、お酒がメインの店で、サンドイッチなんて手を抜こうと思えばいくらでも抜けるのに、この真面目さ。 また、SNS全盛のこの時代で福富氏が存命中は、お客様のプライベートを邪魔しちゃいけないとのことで、写真撮影を完全にNGにしていたことも。 時代に媚びない頑なさもなんだか愛おしい。 現在は閉店ということで一見さんが殺到したせいか、指名がない客は断っているとのこと。 それにしても内装は、まだまだきれい。 キャバレーという形態での営業は無理だとしても、ライブハウスとして復活しないものかと本当に残念に思っている。 (ハロウィン仕様のステージ。ホステスさんも仮装をしている方がいました) (当たり前のように置かれている黒電話。受電しかできないそう) 4 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート