渡辺キョウスケ

水戸の劇団・プロフェッショナルファウル所属。制作、ときどき劇作・演出。 https:/…

渡辺キョウスケ

水戸の劇団・プロフェッショナルファウル所属。制作、ときどき劇作・演出。 https://professional-foul.jimdo.com

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最近の記事

戯曲『迷談~きたみちもどりて~』

『迷談(めいだん)~きたみちもどりて~』 作 渡辺キョウスケ  鬱蒼(うっそう)とした森。  風に揺れ、木々の葉が、ザワザワ、と鳴る。  遠くから、カアカア、と鴉(からす)の不気味な啼声(なきごえ)が響く。  森の奥から、一人の少女がやって来る。  彼女の名は英瑞恵(はなぶさ みずえ)。女学生である。 瑞恵「(一本の木の幹を指差し)あっ。(自らが来た方に向かって)兄様(あにさま)、南雲(なぐも)の兄様」  その声に呼ばれ、奥から眼鏡を掛けた着物姿の青年がやって来る。

    • 『怪談~あやかしかたりて~』上演台本

      『怪談~あやかしかたりて~』 作 渡辺キョウスケ  舞台、打ち捨てられた廃墟の洋館。  置かれた椅子や洋卓(テーブル)などの調度品は、埃を被り、部屋の各所に蜘蛛の巣が張られている。  手入れをされていない為に鬱蒼(うっそう)と生い茂る庭の木々や、外壁を這い回る蔦によって、窓から入るはずの日光も遮断され、昼でも室内は夜の様に昏(くら)い。  そして何より、館の中に立ち込める、得も言われぬ瘴気(しょうき)のようなものが、その不気味さを助長している。  何処からともなく一人の着

      • 『S4N4GI no ONN4 HYPERPOPPPPP!!!!!』上演台本

         舞台上、一人の女が立っている。  手には拡声器。サイケデリックなフード付きコートに身を包んでいる。  大音量で流れる音楽。  女、その音楽のビートに乗せて、拡声器で語り始める。 #1 HENTAI 私の名前はグレゴール・ナギサ。私は渚の女。 波打ち際に一人佇んで、潮風に髪を揺らしては、 水平線の彼方を見つめ、まだ見ぬ異国に思いを馳せる。 柔らかい日々が波の音に染まる。それが私、渚の女。 嘘、私は群馬の生まれ。海を知らない内陸の女。 実家は養蚕農家です。蚕に育ててもらい

        • 戯曲『魔女のはなし』

          (※上演希望の方は、k_watanabe2190@yahoo.co.jpまでご連絡ください。) 『魔女のはなし』 作 渡辺キョウスケ 《登場人物》 ・男 ・女  屋外。ベンチが一つ。  女が一人、ベンチに座って本を読んでいる。    そこに、男がやってくる。  男、素知らぬ顔をして、女の隣に座る。  女、本から顔を上げずに、男から一人分離れる。   男「・・・ねえ」 女「(無視して)・・・」 男「ねえって」 女「・・・」 男「君に話しかけてるんだけど」 女「(顔を上げず

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          500

        戯曲『迷談~きたみちもどりて~』

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        • 戯曲・上演台本
          9本

        記事

          戯曲『Ceremony(セレモニー)』

          (※これは、ZOOMを使用したリモート演劇用に書かれた戯曲です。) 『Ceremony(セレモニー)』 作 渡辺キョウスケ 《登場人物》 ・マキ(菅原 真樹・女)・・・エイジを好きだった女。 ・タクミ(小橋 拓巳・男)・・・エイジと付き合っていた男。 ・エイジ(奥村 英二・男)・・・故人。※出演しない  ZOOMの画面上に、マキの顔が映し出される。  マキ、喪服を着ている。  そわそわしながら、誰かの入室を待っている。    しばらくして、誰かが入室する。 マキ「(そ

          戯曲『Ceremony(セレモニー)』

          『僕の世界に君がいるということ。』上演台本

          2019年12月にTEAM虹色の箱舟さんに上演していただいた『僕の世界に君がいるということ。』の上演台本を無料公開致します。 新型コロナウイルスによる外出自粛、演劇公演の延期・中止が続いていますが、是非お家でご一読ください。リモート読み用の台本としても是非。 妻と別れ、現在は男やもめで暮らしている小説家・弦巻幸作(つるまきこうさく)。 そんな幸作の元に、一人の少女・沙那(さな)が現れる。 彼女は、幸作と元妻の間に「生まれてくるはずだった」、この世界には存在しない幸作の

          『僕の世界に君がいるということ。』上演台本

          『天使にアイドルソングを…』上演台本

          2018年3月、アイドルをテーマにしたオムニバス公演『アイゲキ☆フェスタ』にて上演された『天使にアイドルソングを…』の上演台本を無料公開致します。 新型コロナウイルスの影響による外出自粛、演劇公演の延期・中止が続いていますが、是非お家でご一読ください。リモート読み用の台本としても是非。 元アイドル・ヤマザキマツリ(29才)。 人生に絶望した彼女は、ひょんなことから聖(セント)サンジェルマン教会のシスターとなる。 しかし、教会には地上げ屋が連日訪れ、恐喝まがいのやり方で立ち

          『天使にアイドルソングを…』上演台本

          『Girl, Girl, Boy, Girl, Boy』上演台本

          2019年11月の『土浦演劇大作戦Ⅱ~秋の陣~』を皮切りに、12月の『土浦演劇大作戦Ⅲ~冬の陣~』、そして2020年1月の『シアター【ゼロ】vol.2』と3度上演してきた『Girl,Boy,Girl,Girl,Boy』の旅の締めくくりとして、上演台本を無料公開したいと思います。 この作品、今後も自分のレパートリーとして再演を続けていきたいし、何より、色々な方に上演していただきたいと思っています。 一応イメージがしやすいよう、初演の配役を採用していますが、上演の際は変更して

          『Girl, Girl, Boy, Girl, Boy』上演台本

          2019年の活動を振り返る。

          1月…『シアター【ゼロ】』にて短編『タッチト・バイ・ザ・ハンド・オブ・ゴッド』(Re:リクリエーションver.)上演。 2月…開店前のタイニィトリップにて、新作短編戯曲『魔女のはなし(仮題)』試読会を開催(来年3月上演予定)。 3月…タイニィトリップこけら落とし公演『イーストエンドのエトセトラ』に、5年ぶりの役者出演(自作以外の作品には13年ぶり)。 5月…プロフェッショナルファウル6年ぶりの東京公演『おやすみ僕のベッドサイドリバイバル』に制作として参加。 6月…↑の

          2019年の活動を振り返る。

          【短編戯曲】Strawberry Switchblade

          Strawberry Switchblade ストロベリー・スイッチブレイド 作 渡辺キョウスケ 《登場人物》 いちご イチゴ 店員 ※この戯曲は、喫茶店で上演されることを想定して書かれている。  いちご、入店する。眼鏡をかけた女性。  いちご、席に付き、店員にコーヒーを注文する。  すると、そこにイチゴが入店する。松葉杖をついた女性。    いちごは席に座ったまま、イチゴはいちごの席に向かいながら、共に同じモノローグを語り出す。 いちご・イチゴ「・・・これから始め

          【短編戯曲】Strawberry Switchblade

          note、始めてみます。

          何となく、noteというものを始めてみます。 blogと何が違うのか良く分かってませんが、blogよりもう少し気軽に使える感じなのかなと。 演劇について考えてることや、思い付いたことのメモ書き等をここに残しておければなと。Twitterだと流れちゃうので。 あと、機会あれば自作の短編戯曲とかも載せられたらと思ってます。 あ、ちなみに、劇の感想は引き続きふせったーで書こうと思ってます。アレはあの位の距離感がちょうどいい(苦笑) 飽き性なので、すぐ辞めるかもしれませんが

          note、始めてみます。