見出し画像

つまり洛バスが帰ってきた

こんばんなまらステ🩷Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨

観光客激増による路線バスの混雑が止まらない京都市バスで結構大規模な改正が行なわれた。

観光特急バスだけが注目されてるけど、実はこれと同時に楽洛ラインというのもできて、どちらにせよ観光客に特化させる系統を新設することで生活者をオーヴァートゥーリズムから守る意図がある。

だけどこれってものすごい既視感があり、2021年4月まで走っていた洛バスの生まれ変わりという感じ。

この3種類のバスの特徴を確認したうえで、今回の改正の意義と更なる改善点を洗い出してみたいと思う。

洛バスは2005年1月に「外国人向け観光推奨バス」という名目で開始された。

専用のラッピングを施し、車内では日本語のほか英語・漢語・朝鮮語のアナウンスや日本語・英語での観光案内が流れる。

主要観光地を通る3系統が用意され、これらは急行を名乗り当時の京都市バスとしては画期的なスキップサーヴィス(一部のバス停を通過)が行われた。これに手応えを覚えて、以後通勤通学用のバスにもスキップサーヴィスが拡大していく。

100号系統が京都駅前から概ね東大路通を経由して銀閣寺前まで。

京都で一番観光客の多い世界遺産清水寺をはじめ、高台寺、祇園の八坂神社、平安神宮、世界遺産銀閣寺、やや外れるけれど南禅寺がトップ10に毎年入るうえに地下鉄では行きづらいルートのため超主要路線。

したがってとくに土日祝日は増車がえげつなく行なわれた。

101号系統は京都駅前から阪急電車と接続する四条烏丸を経由して二条城前、金閣寺道、北大路バスターミナルと進む。

ともに世界遺産である金閣寺と二条城は東山、嵐山の次に京都で観光客が来るところだけど100号系統と比較するとそれでも影は少し薄いかな。

102号系統は北大路バスターミナルから金閣寺道を経由して、今出川通を直走って銀閣寺道経由で錦林車庫前まで。

金閣寺と銀閣寺を続けて行きたい人用かな。

これものすごく時間かかるし、烏丸通あるいは鴨川を境にして東西を跨ぐのは京都の観光で一番やっちゃいけないことだと自分は思ってるのだけど。

ちなみに市バスにおいて1〜99号系統は一般的な路線バス、200号台は循環する路線バスで、100号台が観光用という位置付けになる。

ここで押さえておきたいのは洛バスの目的は観光客の分離や抑制ではなく、観光客を増やすためだったということ。

2003年に政府が観光立国宣言を行ない、それに応じた法や制度が整備されていくのに呼応して行なわれたんだよね。

また、インバウンドを対象にしているので、曜日関係なく運行された。

観光用の系統と言いつつ運賃も変わらなければ、定期券や敬老パスも使えるんだから、少なくとも2000年代の間は例えば銀閣寺なり金閣寺の近くに住んでる人達からすれば、今までより速く京都駅や繁華街の四条通まで連れてってくれるんだからありがたい存在だったはず。

しかしながら2010年代半ば以降は、混み過ぎてあのバスには近づいちゃいけないというものになっていったんじゃないかな。

洛バスは先述したように2021年4月に運休し、翌年正式に廃止になる。理由はもちろんパンデミック。

しかしながらパンデミックが収束しつつある一昨年の紅葉シーズンあたりから市バスの混雑がとても大きな問題になっていく。

戻ってきた、いや円安や行動制限の反動もありそれ以上かもしれない観光需要に対して、市バスは洛バスの廃止を中心に大きく減便していたのだから当たり前。

パンデミック突入時でバスは822両、それが昨日まで801両に減っていたんだからさ。そして今日から810両になった。

減便、減車も増便、増車も後手後手になっているのは雇用、勤務シフトの問題が大きい。

今日の改正で9両増車も活かし、観光特急バスと楽洛ラインを新設したことに加えて、主要系統の増便が行われることになった。

19年半前に観光客を増やすために始めた洛バスとの最大の違いは、オーヴァートゥーリズムに対応し市民の生活を守るためにやるということ。

ここで観光特急バスと楽洛ラインについて見ていきたい。

観光特急バスは今まで以上に停車するバス停を絞り、運賃も倍以上の500円(通常230円)、定期券・敬老パスでは乗れないものとした。

ただし、地下鉄と共通の一日券は使えるので実際そんな運賃を払う人は少ないと思う。

観光客と市民で運賃を変えるようなことを市長が言っていたのが一部実現したというところで、観光路線と生活路線の分離が目的。

観光特急バスは土日祝日しか運行しないのも大きな特徴で、したがって洛バスと違い専用ラッピングはない。外国語での案内放送は復活したけれども。

運賃先払いの前乗り、後降りでこれは洛バス末期に取り入れられていたもの。

EX100号系統とEX101号系統が用意され、前者は京都駅前ー銀閣寺前間の運行。

したがって実質的には洛バス100号系統の復活だけど、京都駅前の次は清水寺の最寄りである五条坂までノンストップになり三十三間堂に寄らない五条通経由になって速達性は更に上がっている。

EX101号系統はこの五条坂までのシャトル便となり、兎に角清水寺までの利用が多いということを示唆している。

五条坂で折り返すことは不可能なので、往路は七条通、復路は五条通を経由する反時計ループ運行になる。右折がないから運行時間を節約でき、その分運行間隔を縮められる。

またEX100号系統の京都駅前行きとEX101号系統の乗車バス停は一緒なので、清水寺から京都駅へ向かう人にとっては混乱が少ない。

これホントよく考えたなと思う。

ただ、もっと押し進めるのならばEX101号系統は現在観光バスが乗り入れている観光駐車場まで乗り入れてほしいし、EX100号系統は銀閣寺前までノンストップでもいいんじゃないかと思っている。祇園や岡崎って地下鉄東山駅から歩けるでしょ。政策としてそちらに上手く誘導した方がいい。

さて頭にEXがつき外国人にもわかりやすくしているけれど、100号台がつき洛バスの生まれ変わりであるほか、EX100号系統は「観光特急楽洛清水寺・祇園・銀閣寺ライン」、EX101号系統は「観光特急楽洛清水寺ライン」と呼称しており、次に述べる楽洛ラインの一種であるともいえる。

楽洛ラインは観光特急と違い通常運賃。こちらも一部を除いて土日祝日の運行になっているため専用ラッピングはない。

また、他の市バス同様後乗り前降りで運賃収受は降車時に行なわれる。

これが時間かかる元なんだけどね。市バスの大半は運賃230円の均一区間を走っているため本来は前乗り後降りにできるはずだし、もっといえば信用乗車を採用して両方のドアで乗降させるべき。

信用乗車というのは乗務員が運賃の収受を確認しないということ。一部にチョンボする輩はいたとしても、これによって乗降時間を減らし表定速度(停車時間を含めた平均速度)を上げた方がいい、ということで欧州ではとくに普及している。

今はICカードなどキャッシュレス決済やオンラインでの運賃も進んでいるから、更にやりやすい。

京都市バスの場合、230円均一区間を走る均一系統と、乗車距離に応じて運賃が変動する調整系統があり、後者は郊外線がそれに当たる。

調整系統のバスも均一区間に乗り入れてくるため、そこだけ乗る場合は230円均一になるのだけど、調整区間から乗ってきた人を峻別するために均一区間でもいちいち乗務員が運賃収受を確認している。

調整系統は年々減っていて、全廃も視野に入っている。それができないのは民間のバス事業者と重複する路線であったり、一部で京都市外に乗り入れる路線だったり、といった事情はあるものの、ごくごく減っているし、そのバスだけ運賃収受を存置しても大勢に響かない。むしろ一部の例外に大勢が随ってる方が不利益。

パンデミック前に均一系統の前乗り後降り化は予定されていたけど、更に踏み出して信用乗車化してほしい。

話が少し逸れたけども、ここから楽洛ラインの運行系統について見てみたい。

102号系統は「金閣寺・銀閣寺ライン」を名乗り、北大路バスターミナルから金閣寺道、今出川通、銀閣寺道を経由して錦林車庫前まで。要するに系統番号も含めて洛バスリバイバル。

ただ、洛バスは全体的にスキップサーヴィスしていたのと異なり、楽洛ラインは北野白梅町までの北大路通・西大路通では洛バス時代より停車が少ないのに対して、今出川通りに入るとすべてのバス停に停車するため区間急行を名乗る。

また、洛バスと違い土日祝日しか運行しない。

105号系統は「岡崎・銀閣寺ライン」を名乗り、京都駅前から四条河原町・三条京阪前経由で銀閣寺前までの土日祝日運行。

106号系統は「東山ライン」を名乗り、京都駅前から三十三間堂前、五条坂、祇園を経由して三条京阪前まで。こちらは通年運行となっている。

こう考えると洛バスの100号系統がEX100号系統、EX101号系統、105号系統、106号系統に分割されたってことだよね。

もうひとつ109号系統「金閣寺・嵐山ライン」として北大路バスターミナルから嵐山までの系統もできたけど、これは秋とGWのみとしている。桜シーズンはやらないのかな。

こうして見ると洛バスの101号系統、つまり京都駅前から二条城、金閣寺という路線が抜け落ちている。

これにはいくつかのことが考えられる。

まず、京都駅や四条烏丸から二条城なら地下鉄を使ってほしいということ。そのためにあえて復活させなかった可能性がある。

次に金閣寺前まで折り返しができないため北大路バスターミナルまで乗り入れているけれども、北大路通こそ混むのよ。だから車両の回転率が悪くなる。

そして金閣寺へもできれば途中まで鉄道を使ってほしいんだろーね。

京都駅から金閣寺への鉄道を介したルートは3つあって、地下鉄今出川、地下鉄北大路、そしてJR円町からバスで乗り換える方法がある。

二条城に地下鉄で行け、は納得できるけれども、鉄道乗り継ぎは運賃も余計にかかるし、あまり定着しないよね。

これも清水寺と同じで観光バスの駐車場を使わせてほしいと思う。京都駅前からノンストップにして堀川通を北上すれば速いと思うの。これは観光特急がいい。

つまり観光特急は京都駅前と主要観光地のうち鉄道でアクセスできない清水寺、金閣寺、銀閣寺への直行系統にすればいい、というのが自分の考え。

例えば、京都駅前と京都大学、立命館大学を直結する特急バスを平日に走らせ、観光特急と裏返しにすれば、ほとんどの日に特急バスとして走れるので特急専用ラッピングも可能。

んで楽洛ラインはなんというか中途半端な気がしている。

均一系統のうち京都駅以外の鉄道駅と主要観光地を結ぶもの、もしくは主要観光地同士を結ぶものは全部楽洛ライン化して専用ラッピングにしたら、生活路線とある程度分離できないだろうか。

今回の改正は単純な増便、ないしパンデミック前への揺り戻しとは言い切れぬものがある。

観光系統の大半が土日祝日のみであるのは、平日の通勤通学系統の裏返しだし、全体的に鉄道との乗り継ぎを改善して鉄道利用を促してもいる。

元経産官僚のインテリ新市長らしく、無駄を省いた効率化を推し進めているような印象を受ける。

それはもちろんどんな時代であれ評価されたことだけど、今特にそれが必要になっているのはリソースの少なさ。

パンデミック前の821両に対して、今改正で増車したといっても810両なので11両少なく、2024年問題がのしかかっていると見て間違いない。

また、この810両にしたってパンデミック前の810両と同じ稼働力ではないはず。

そんな苦境のなかで、できる限りのことをしたのには素直に敬意を表したいし、いまの市長じゃなきゃここまでできないんじゃないかとすら思う。

だからこそ、この先はもっと根本的な課題に取り組まないといけない。この先バスドライヴァーは更に減っていくのだから。

京都市は他の自治体がやってきたような施策に取り組んできたとは思えず、それが市バスの混乱に繋がっている。

それに対して、まずは今できることをやったに過ぎない。

先ほど書いた信用乗車の導入もそのひとつだし、

連節バスの導入、碁盤の目になっている道路を一方通行することでのバスレーン捻出、さらにLRTの敷設、乱立する鉄道事業者ごとの運賃共通化といったことはいずれも政治的な問題に発展する。

いま京都市では「歩くまち」を掲げて車線を潰して歩道を拡幅するようなこともしている。

このことに異論はないし、公共交通の強化とは本来反目しないはずだけど、

連節バスやバスレーン、LRTの導入は「歩くまち」に逆行しているのではないかと思われたら泥沼化する。

以前、今出川通にLRTを通そうとしてバスレーンを置く社会実験をしてみたところ、交通渋滞が増えたとして市民の反発がかえって大きくなったことがある。

今出川通が選ばれた理由は、北野白梅町で京福嵐電、出町柳で叡電というLRTと親和性のありそうなミニ私鉄と接続するため(元々嵐電は国際的にLRTとして認識されている)、それらと直通運転すれば効率がよく、地下鉄東西線が走る御池通からある程度離れていて東西移動需要が高く、かつ金閣寺・北野天満宮・京都御所・銀閣寺といった観光地、立命館大・同志社大・京大といった学生数の多い大学が並んでいるといったことがある。

ただし、千本今出川~河原町今出川間の幅員が特に狭く、一応片側2車線ずつを確保してはいるものの、それを片側1車線及び複線のLRTというかたちで確保することができない点にある。とくに烏丸今出川~河原町今出川間は京都御所と同志社大学に挟まれていて、道路の拡幅も不可能に近い。

そこで社会実験としてはこの区間ではLRTを単線で敷くことを想定して、途中の堀川今出川・烏丸今出川の交差点スペースを使って、LRT同士を行き違わせるというかたちでバスを走らせてみた。

すると当然ながら堀川通・烏丸通において交差点を塞がれる時間が延びたため渋滞が悪化してしまった。

これで市民から総スカンを食ったわけね。

LRTを単線にするのなら交差点じゃないところに行き違いスペースをつくるしかなかったし、もしくは道路を片側1車線にしてLRTを複線にするかなんだけど、結局これで頓挫してしまった。

ただし、近年の環境問題や観光政策、あるいはバスドライヴァー不足といった観点から再び話が浮上してきつつもある。宇都宮ライトラインの成功もあったしさ。

政治問題に発展した場合、収拾がつかなくなり現状維持が選択される可能性が高くなるということ。

だからバスを純粋に増発するという誰からも文句を言われないこと以外は様々な施策がなされてこなかった。

でもそれは今後は無理な話で、いくらインテリ市長の手腕をもってしても、せいぜい減便・運休を遅らせられる程度になってしまうだろう。ちょっとずつEVに置き換える程度でさ。

松井新市長は頭が死ぬほどキレるだけでなく、元々は政府要職にもいてとくに関西出身の与野党の政治家とは仲良しの様子。西田昌司議員とも辻元清美議員とも仲良し、といえば幅の広さがわかるというもの。

頭脳・パイプともに優れたこの市長こそがこれまで手を付けられてこなかったこのような課題にぶつかっていかない限り、もう誰にも解決できなくなってしまうよ。

せめて連節バスとバスレーンだけでもやってもらわないとさ。

今回の改正がいい方向性なだけに限界と高過ぎる壁が露呈してクラクラするけど、さあどーなるか。

それじゃあバイバイなまらステ🩷厚沢部煮切でしたっ✨


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?