見出し画像

【芸備線】その会話には雲を混ぜろ

こんばんなまらステ💙Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ⭐️

この10月から施行された改正地域公共交通活性化再生法に基づき、JR西日本が芸備線備中神代ー備後落合間68.5kmの存廃協議会設置を国に要請した。

要するに廃止したいよ、と。

ここでちょっと芸備線について整理すると、その名の通り安芸の国と吉備の国を結ぶ路線で、3分割された吉備の国のうち備中と備後が含まれる。

備中と備前は岡山県、備後が広島県ね。

具体的には備中神代ー広島間159.1kmで全線非電化かつ単線。

備中神代は岡山と出雲市を結ぶ特急やくもの停車駅である伯備線新見の2駅隣で、芸備線のすべての列車が新見まで乗り入れている。新見には姫路と新見を結ぶ姫新線も乗り入れていて、昔は姫新線の芸備線を直通する列車もあった。

新見から20kmの野馳(のち)までが岡山県、備中の国で、次の東城からが備後の国、広島県となる。

通常は県境の需要は極めて少ないものだけど、野馳をはじめとした旧哲西町(現在は新見市に併合)の生徒には東城にある広島県立東城高校への通学が認められているというのは押さえておきたいポイント。野馳から東城まで7分、新見へは30分だからそりゃあね。

東城から備後庄原までは直線距離で24km、高速道路はほぼそれに近いルートを取っているのに対して芸備線は一度北上して備後落合へ向かう。

したがって東城へは列車より高速バスの方が多く発着していて、大半が庄原で乗り換えになるけど1往復だけ広島へ直通する。

迂回した先の備後落合で島根県の松江近郊にある宍道へ向かう木次線と接続する。落合って地名は東京の新宿区と中野区の境目にあるとこがまさにそーだけど、低くなってて水流が落ち合うようなところについており、交通の要衝になりうる地形ということなのだろう。

備後落合に向かって大きく迂回しているため備後落合を超えて東西を移動する需要は少ないらしく、現在はここでJR西日本の管轄組織が分かれ、運転系統も分断されている。

備後落合から2駅先の備後西城は備後落合も含まれる旧西城町(現在は庄原市に併合)の中心駅で、やや需要があるのかここで三次方面に折り返す列車もある。したがって場合によっては備後西城ー備後庄原間は存続できるかもしれない。

東城、西城と出てきたけれど、これは関連している地名で、戦国時代に築かれた五品嶽城が東城、大富山城が西城。もちろん東城駅と備後西城駅がそれぞれ最寄駅になっている。

ちなみに東城は横浜ベイスターズと中日ドラゴンズで活躍し史上最多3021試合に出場、現役晩年は中日ドラゴンズの選手兼任監督になった谷繁元信氏の出身地。高校が島根だから広島の印象薄いかもだけど。

備後西城から3駅で庄原市の中心駅備後庄原。ここから先は当面存続となるけれども、広島への高速バスが1時間毎に出ているのに対して、鉄道は高校生と高齢者以外の利用は乏しく安泰とはいえない。

この先、三次からは広島への快速みよしライナーが出ていて高速バスと競争している。そして志和口から広島市内に入り、とくに下深川(しもふかわ)からは大都市近郊路線になる。

といってもディーゼルということもあって広島駅に乗り入れる他の路線(全部電車)と比較するとローカル感たっぷりなんだけどね。

コロナ禍前の2019年の輸送密度は、全体の備中神代ー広島間で1,323人、廃線検討区間の備中神代ー備後庄原間が48人。

細かく見ると備中神代ー東城間が81人、東城ー備後落合間が11人、備後落合ー三次間が215人、三次ー狩留家間が713人、狩留家ー広島間が7,897人とヴァラエティに富んでいる。

県境を越える備中神代ー東城より県内を走る東城ー備後落合間の利用が少ないというのがひとつのミソ。

まず、今回の区間は鈍行だけなら利用は増えないし、この区間を通過する人を増やさないと利用は増えない。

しかし、東城ー備後庄原間で大きく迂回するルートを通過する人もまずいない。

増やせるとしたら新見と備後庄原から木次線を通って山陰へ抜ける需要だけになる。

木次線も輸送密度は低いけれど、観光列車の奥出雲おろち号は非常に人気がある。

奥出雲おろち号は木次線の木次と備後落合の間を1往復し、備後落合では2時間待てば新見行きと三次行きが来る。

備後落合から徒歩10分強のドライヴインでは往時の備後落合駅名物だったおでんうどんが冬季限定で食べれるので、これを目当てにする人も多いだろう。

ところが新見と三次からは備後落合12:57分発の奥出雲おろち号に間に合うためには朝の列車しかなく、事実上片方向にしか行けない。

これが是正され、芸備線からも木次線に行ければ、観光ルートに回遊性が生まれるし、できれば奥出雲おろち号が芸備線に乗り入れる必要がある。

実はこの話自体がもう絵に描いた餅になりつつある。

なぜなら奥出雲おろち号は今年の11月23日で四半世紀の歴史に幕を下ろすことが決まっており、後継列車の設定も予定されていない。

山陰線を走る観光列車あめつちを試験的に木次線に乗り入れさせる試みはやっているものの、出雲横田までしか来ない。

奥出雲おろち号は人口希薄と風光明媚を併せ持つ出雲横田ー備後落合間こそむしろ本領だから、あめつちは性格が違い過ぎる。

奥出雲おろち号の後継列車がない理由は、JR西日本として木次線の未来を見通せないから。近く、木次線についても協議会設置を申請するんじゃないのかな。

であるならば、芸備線と木次線の協議会は合一してほしい。

この両線の希望は奥出雲おろち号の後継列車を芸備線も含めて走らせることしかひとまずはないんだから。

そのためにも広島県・岡山県・島根県が芸備線・木次線の今後を話し合うために顔を突き合わせる場が必要。

芸備のみならずそこに出雲を入れなきゃダメなのよ。

ひとまずは既存の設備を使ってやれることを議論すべきで、新観光列車のほか、備後西城ー広島間や松江ー出雲横田間に快速を頻繁に走らせることが求められる。

広島と三次・庄原・東城の間で高速バスを走らせている備北交通と協調していく必要もある。

いまは三次まで1時間に2本、半数が庄原まで直通するけれど、庄原行きをJR快速に任せて、三次行きは広島駅に乗り入れず広島バスセンター発着に限定する、とかさ。

そしてこの枠組みは将来、もっと飛躍させ、備後西城から出雲横田まで新しいトンネルを掘り、広島と松江を結ぶ特急が走る路線にする。

芸備線と木次線は元々そーゆー路線だったんだよね。むかし芸備線に急行ちどりというのが走ってたけど、松江城の別名千鳥城に由来する。

今すぐそんなことがやれればいいけど、そーはいかないからまずは観光列車で人が乗る素地を固めましょうという話。

そしてそのためにも芸備線と木次線をバラバラに論議しちゃダメだ。

廃止したいJR西日本は何が何でも芸備線と木次線を分断してきそうだけどさ。

全国初の協議会が芸備線になるからこそ、積極策を投じて全国のローカル線の未来に燈を点火してほしい。

それじゃあバイバイなまらステ💙厚沢部煮切でしたっ✨


いいなと思ったら応援しよう!