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規制退場という病

こんばんなまらステ❤️Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ⭐️

9月にオーペンしたKアリーナ横浜の評判がすこぶる悪い。

いわゆるアリーナクラスのハコは通常1万人台の収容人数であるのに対し、Kアリーナ横浜は2万人を数える。

アリーナクラスでは足りず、3万人を超えるスタジアム・ドームクラスでは過大、しかもスタジアムは天候の制約があるといった公演のニーズに合っているものとして非常に大きな期待があるのだけど、

公演後の「閉じ込め」に大きな批判が寄せられている。

少なくとも近年のアリーナクラス以上のコンサートに行ったことある人なら誰でも経験していると思う規制退場というやつ。

終演後、ブロックや座席列毎に細かく呼び出されて順番に退場していくオペレーションのことで、近年の大規模なコンサートではほぼ当たり前に行われている。

会場やオペレーションによって全然違うからなんとも言えないけど、最後に呼ばれるグループは概ね公演終了3〜40分後というところではないだろうか。

これもこれでコンサートの余韻と考える人もいるけれど、それでも長くなればなるほど不快感は増すし、何より遠方から来ている人にとっては死活問題になる。

したがって最後の曲が始まるとゾロゾロと帰り出す人が結構いる。最後の曲を帰りながら聴くという感じだ。

今はSNSなりネタバレサイトでセットリストを事前に知っているファンが多いから、最後の曲だってわかるわけ。

アーティストにしてみたら、なんで最後の曲になるとこんなにたくさんの人が帰るんだろう、と不思議に思うはず。

夜行バスが推し活需要に支えられているのもこのため。規制退場を真面目に守っていたら22時とかまでかかることもザラなわけで。

ところで規制退場って少し昔だと今や国民の敵になっているジャニーズの名物というイメージだった。

ジャニーズは大規模な会場でコンサートをやるし、ファンが行儀良く待ってくれるのでこれが成立する。

規制退場のそもそもの名目は東京ドームの構造にある。

東京ドームは密閉型の建物ではなく、空気を送り込んで風船を膨らませている。

カフェなどで採用されているエアドームの巨大版であり、恐らく世界最大のエアドームでないかと思うけれど、難点は出入り口が極めて限定されてしまう。

東京ドームの出入りは基本的に回転扉であり、外と中では気圧差が違うため耳を塞がないと痛い。

こんな構造が許されるのは野球場だから。

これも近年の野球ファンは割と最初から最後まで真面目に観る人多いんだけど、元々は4時間前後ダラダラやってて、出入りが激しい従来のインド映画と似たようなところがある。

とくに贔屓のチームがもう勝つのが難しいような展開になると、ゾロゾロと帰り出す人がいる。

東京ドームの構造からすると、それでいい。

サッカーやラグビーのスタジアムは試合が終わると一斉に観客が出て行くため、そのための動線をきっちりと設計してあることが多い。

新国立競技場、日産スタジアム、埼玉スタジアム2002あたりの大規模なスタジアムでも退場はものの10分程度で終わる。

コンサートに向いているのは明らかにこちらであり、野球場は本来コンサートに向かない。

ところでちょうど今クリケットのワールドカップ決勝戦をアフマダーバードのナレンドラ=モディスタジアムでやってるんだけど、客席が132,000席あり、もち世界最大。

インドの大規模スタジアムって基本的にクリケット用に造ってある気がするので、退場動線が野球同様の脆弱さを持つ気がするんだけどどーなんだろ。

ただ、オリンピックやサッカーワールドカップの誘致は視野に入ってるだろうし、何よりインドがベンチマークにするのは基本的に欧州だから、そのへんはサッカー型なのかもしれない。

それにしても現役首相の名前を冠したスタジアムってどーよ。

アフマダーバードなんだからマハトマ=ガーンディースタジアムでもサルダール=パテールスタジアムでもええやん。

パテールはインド独立運動に携わり、独立後副首相になったグジャラートの英雄。特に英国統治下でも半独立を保っていた藩王国を次々と説得して独立後のインドに加わらせた手腕を買われ、インドのビスマルクと呼ばれる。

モディ首相は同郷の先達であるガーンディー、パテールを強く持ち上げているし、そもそもこのスタジアムはもともとパテールスタジアムだったけど、増設時に自分の名前に変えてしまった。

ということで野球場、とくに東京ドームでは退場時に出口動線がとんでもなく混雑することから、ジャニーズを中心に規制退場をかけてきた。

これがいつしか広まっていったのは、雑踏事故のリスクを少しでも減らしたいという意識からだと思われるけど、警察の要請なのかもしれない。

パンデミック下では密を避ける名目で、もっと小規模なハコでも行われるようになった。

ただ、この時期は終演時刻も早まっていたため、そこまでの不満も出なかったように思える。むしろこんな時期にコンサートに来れるシアワセをみんな噛み締めていた。

パンデミックが終わるとホールクラスのハコでは流石に規制退場が消えたけど、全体的にパンデミック下で始めた規制退場をやめるにやめれてない気がする。

雑踏事故のリスク、という話をされてしまうと運営側も二の足を踏んでしまう。

個人的には元々そんなにやってなくても雑踏事故が多発したなんてことはなかったし、やんなくてもいいと思ってるけれど、日本の世間は許さないだろう。

であれば、客席にきちんとランクをつけて、客席ランク順に退場させるべき。

一部ではプレミアムチケット的なものの特典に優先退場の項目があるけれど、もっとそれを先鋭化させなきゃダメ。

その人の希少な時間を30分、1時間奪ってるなら、その損失額=逆価値をきちんと算出しなければいけないでしょ。

そして、その収益は主催者側というより会場が徴収して退場動線の確保費用に充てるべきだと思う。

Kアリーナ横浜は本来、終演後に街を巡ってもらう装置として横浜市がお金を出してるのに、

規制退場に時間がかかりすぎて観客が家やホテルに直帰してしまっており、投下費用が回収しづらくなっている。

規制退場にはそういう損失もあるわけ。

今後の集客施設は退場動線から造らなきゃダメであるのと同時に、現在の施設についても動線確保のために優先退場を金銭化すべき。

これってオーヴァーツーリズムの話とも繋がってくるのよね。

Kアリーナ横浜はイヴェント界の宝だと思っているけれど、それはきちんとシステムとして機能をさせなきゃいけないし、そこに対する予測もマネジメントも足りな過ぎた。

もっと本腰入れた対策を望みたい。

それじゃあバイバイなまらステ❤️厚沢部煮切でしたっ✨

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