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ラーショって別に安い食べ物じゃないよね

こんばんなまらステ💛❤️Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨

X(旧twitter)上で家系ラーメン店同士の言い争いがとりあえず鎮静化したと思ったら今度はこんな話。

とあるラーメンライターが都内にあるラーショをレヴュー。

ラーショといっても「椿食堂管理有限会社」に連なる「ラーメンショップ」の系譜ではなく、他ジャンルの有名店がそれを模した店ね。

自分が見たときには既に店主の抗議を受けてライターが該当部分を削除しており、1次情報はわからないんだけど、

ネギラーメンが980円したことに対して、ライターがノスタルジックなラーショとしては強気の価格と書いた。

それに対して店主がこれでもギリギリ、ラーメン店の経営状況をわかって書いているのか、と抗議。

ライターはその部分を削除して収拾を図ろうとするも、店主の怒りは収まらず。

一部に「近所のラーショと比較しても高い」「結局、ライターが価格に見合わないと感じたんだろ」といったコメントもついたけれど、大半は店主側を支持。

同じラーメン店主のみならずカレーや寿司、たこ焼きなど他ジャンルの人からもこの店主を支持する声が続いている。

単純に価格の問題だけでいえば、上に挙げた吉祥寺の名店「洞くつ家」(「六角家」系譜)店主のコメントがすべてなのかと思う。

今、ラーメン店は少なくとも家族ではない従業員を雇う規模の場合値上げしていかなければやっていけないだろう。

しかしながら世の中の賃金が上がらない以上、ラーメン店が値上げをすれば当然に噛みつかれるし、来店頻度は下がっていく。

ここの乖離と戦っているというのが現実。

このライターにこのあたりの感覚が欠如しているのは間違いない。

ただ、それとは別個にこのライターに問題があると思うのは、ラーショが安いという固定観念なのね。

ラーショの値段って店によってものすごい格差がある。

日本一のラーショと呼ばれる茨城県の牛久結束店はラーメン1杯490円と非常に安い。

この値付けは割と意地でそーしてる価格だとは思う。

ただ、ラーショの場合はネギが入ってこそであり、比較するならネギラーメンではないか。

それで620円。それでも安いっちゃ安いけど、だいぶネギで稼いでる気はする。

この牛久結束店は常に大行列というか整理券制で整理券を並ぶために行列ができ、その後は呼ばれるための順番待ちができている。

味へのこだわりが強く、既にフランチャイズを脱退して、麺、タレ、ネギに絡める調味料を内製化している。

素材を内製化するということは、たくさん売れば利益になるけど、売れなければかえってコストが上がるわけでしょ。

周りに何もなく、ラーメン店の規模を超えてスーパーやパチンコ店を思わせる広大な駐車場を持つので、賃料も相当格安だと思われる。というか土地、建物も自社所有じゃないかな。

味を求めて来る人も多いけど、価格に魅力を感じて来る人もいそうな感じ。

安いから人が来るし、人が来るから安く提供できる。最高にいい循環が生まれてるんだよね。

牛久結束店は特殊な例であって一般化できるものでもないと思う。

ラーショの総本山、東京都大田区羽田にある「GOOD MORNING ラーメンショップ」でラーメン600円、ネギラーメン800円。

ネギラーメンで今の都内のラーメン店としては安め、という程度かな。「椿食堂管理有限会社」のフランチャイズ本部を併設していてもこの価格。

総本山を除き、唯一東京23区にある「椿食堂管理有限会社」のフランチャイズである葛飾区の堀切店はラーメン800円、ネギラーメン1,000円、ラーショの醍醐味といえるネギチャーシュー麺は1,300円。

今回問題になっている店がラーメン790円、ネギラーメン890円、ネギチャーシュー麺1,250円だからそれよりも「強気」。

家系からラーショに入った自分は、ラーショって家系と較べて高いな、と最初思ったくらいなんだよね。

ということでそのライターが最低限、総本山と堀切だけでもここ1年以内に食べていれば決して「強気」とは書かないはず。

ちなみに都内のコストの高さは賃料や人件費だけでなくゴミ処理費用が都外と全然違うと聞く。

このライターはラーショ専門ライターじゃないのだから、限られた時間をラーショにばかり割けなくて当たり前。

そーであるならば、「ラーショにしては強気」というような表現は使わない方がいいのは間違いない。

昔のラーショは安かったのだと思う。

ある人気ラーメン店のラーショインスパイアを食べに行ったとき、店主が常連さんにこんな講釈を垂れていた。

「昔のラーショってのはねー、ガラなんかほとんど使わず、スープが少なくなると寸胴に直接お湯を入れて増やしてたんだよ。美味いわけないよね、そんなの。原価率1割とかだよ。」

一般的なラーメン店の原価率は3割台前半だけど、こだわってるのに安い店、従業員を雇ってない店なんかは4割いってたりする。

そんなラーショの多くはもう淘汰されたんじゃないかな。

1980年代くらいはそれで成り立っていても、平成に入って生き残っていけたとは思えない。

今残ってる店はちゃんと味を取って、原価率も当然上昇しているはず。

そうした店の多くはそれに伴って売価も上げたはず。自分自身、まだ数十店しかラーショ行けてないけど、都内と比較したら安いというものはあってもそのものが安いと感じた店は牛久結束店だけ。

牛久結束店は前述のように好循環が回り続けてるから安くやっていけてるのよ。

そーでなくたって、物価は世界一安定していたとはいえ上がり続けている。

このライターは40代前半なので、中高生だった前世紀の間にラーショを食べてるとすれば、まだ安かろう悪かろうみたいなものを経験している可能性がある。

そのイメージを引きずったまま食べて「強気」という言葉が出たのかなと。

であるならば既に四半世紀前のことなわけで、それはそれで不勉強過ぎる。

これだけラーメンを食べ歩いてたら業界全体の価格の推移を肌で感じているはずだし、その感覚と較べて安い店、高い店の仕組みはどーなっているのか思索を巡らせないのかな。

飲食業に関してただの素人である自分でも、とくに老舗に行ったら価格をチェックしたうえで、従業員の構成とかみるよ。

極端に安くて老夫婦だけでやっていたら、家賃もなく、年金生活なのかなぁ、とか。

このラーショって先述のように色んな業態をやっているから、他の業態と比較してラーショが極端に安いということ自体がまずありえない。

それでももっと現代風のラーメンを提供しているここの本店と比較すると値付けは「弱気」。

それは何故なのか、ということこそ考える意味がある。

材料原価や都心にある本店と23区とはいえ郊外にあるラーショで賃料などの差はあるにしても、やはりおしゃれラーメンとノスタルジックなラーショでは人々の考える価格設定に違いはあるのではないかな。

だってラーメン790円、ネギラーメン890円って実質800円、900円だけど、700円台、800円台に見えるようにしてるでしょ。

こーゆーのオッドプライシング(端数価格)といってH.I.S.さんやH.I.S.さんが立ち上げたスカイマークが大好きなやり方なんだけど、

このラーショの場合はできる限り心理的負担を和らげようとして、店側が10円我慢しているってことなんだよね。

ラーショは既にもう安い食べ物ではないけれど、人々の間ではまだ安いイメージがあるのは事実。

経営のバランスを見ながら、少しでも人々のイメージに近づけるための苦心が垣間見えるわけ。

なお、本店はオッドプライシングを採用しておらず、綺麗な100円単位を採用している。

こーゆーところを汲み取ってほしいよね。

まあ、情報発信を仕事にしていたら、逆に情報に呑まれてしまうことはあるだろう。

このライターは人柄については当該店主からも評価されているわけだから、今回のことは素直に反省して早めに公開謝罪した方がいい。

そーでないと今後、当該店主をはじめ多くの人から信用されなくなってしまうよ。

それじゃあバイバイなまらステ💛❤️厚沢部煮切でしたっ✨









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