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スキー列車⛷🏂🚞は復活できるか

はじめに

昨日は2016年に軽井沢で起きたスキーバス事故をきっかけにして #スキーバス ⛷🏂🚌について昨日書いた。 

その中で、スキー・スノーボード人口が減っているのにスキーバスがやってこれた理由のひとつに #スキー列車 ⛷🏂🚞の撤退を挙げた。

だけど安全性を考えれば、スキーバスよりスキー列車の方が決められたダイヤと単一の運行管理によって動いている分だけ優れている。

スキーバスそのものの安全性確保は絶対で、軽井沢事故をきっかけに大きく向上した(リスクが軽減された)のだけれど、やはりスキー列車があればいいと言える。

JR SKI SKIは30周年だそうで、JR東日本としては上越新幹線を中心に何らかを仕掛けたい気持ちは常にあるんだと思う。

ということで、スキーバスの安全性を考えるところから一歩進めて、特にJRでスキー列車は復活できるのかについて考えてみたい。

スキー列車の強み、弱み

スキー列車がスキーバスより優れているのは安全性にとどまらない。

定時性、高速性、大量輸送、途中駅から乗客を拾いやすい、走行中にトイレに行きやすかったり、本が読みやすい、といったことがある。

大量輸送というのは、バスを無尽蔵に走らせればバスの方が上回ってしまう。ただし、バスの台数分に比例してドライバーが必要になる。走行距離が昼行で500km、夜行で400kmを超えるとドライバーが2名になるけれど、軽井沢事故を受けて夜行に関しては距離に関係なく2名の乗務としていることがほとんど。列車は何両連結したって1組の運転士・車掌ペアで運べるのが大きい。人件費云々というより人手不足の問題。

反面、列車は固定費が高いこともあるけど、DMV以外は線路しか走れず、駅にしか停まれない。これが最大のネック。スキー列車がほとんど無くなってしまったのもこれが原因なんだよね。

夜行に限っていえば保安上の問題で完全消灯が難しいという弱みもあるけど、これについてはアイマスクを配ることである程度補強可能。スキーバスではあまり聞かないけど、夜行バスでは完全消灯しつつ更にアイマスク配布サーヴィスをやってるところもある。

シュプール号はなぜ廃止されたのか

以上を踏まえた上で、国鉄〜JRがかつて走らせていたスキー列車 #シュプール号 がなぜ無くなったのかを考えてみたい。

シュプール号の概要と盛衰の流れはこの記事を読めば大抵掴める。

この記事書いてる杉山氏はDMVの時も出てきた。鉄道について語ろうとすれば避けては通れない人のようだ。

シュプール号の記事の方で杉山氏が挙げているシュプール号が廃止された理由に、

🟢スキーブームの終焉

🟢スキーバスの台頭、特に長野五輪を機に行われた高速道路整備によって

🟢1990年のガーラ湯沢、1997年の長野新幹線開業によりJR東日本のスキーキャンペーンが新幹線中心にシフト

🟢車両老朽化

を挙げている。

スキーバスについては2000年に貸切バスの規制緩和が行われたことも理由にあることを付け足しておきたいけど、スキー列車がスキーバスと新幹線に取って代わられたという認識で間違っていないはず。

それが何故なのかというのをもう少し掘り下げてみたいけど、これについては先述したスキー列車の強み、弱みで説明できる。

スキー列車は固定費が高く運賃にそれが転嫁され、かつ決められた線路の上しか走れず決められた駅にしか停まれない。

言い換えればゲレンデの前まで連れて行ってはくれない。ただでさえバスに対しての鉄道の弱みだけども、スキーやスノボの板を持っての乗り換えなんてますます嫌われる。

一方で新幹線に対してどうかといえば、高速性や大量輸送(新幹線は車両が大きい)で逆立ちしても勝つことができず強みを食われてしまった。

もう少し細かく見ると、シュプール号は首都圏発着については往路が夜行、復路が昼行だった。スキーバスの運行形態を真似たもので、各地から集まるシュプール号同士を新宿で乗り換えできるというところまで模倣していた。

この結果として往路は早朝に着いて眠い💤のに板を持って駅からのシャトルバスに乗り換えさせられる😡、復路は新幹線より遅い😭という悪いとこ取りになってしまっていた。復路についてはあずさなどの在来線特急にも追い抜かれていた。

ダメダメに見えるのは高速道路や新幹線というインフラが整備されたり、貸切バスの規制緩和で運行が柔軟になったからであり、始めた時は国鉄やればできんじゃん、と拍手喝采だったことは忘れてはいけない。環境の変化に対応できなかったために滅びたんだな。

なぜ東武スノーパルだけが生き残れているのか

JRがシュプール号に限らず夜行列車、なかんずく座席夜行列車をどんどん廃止にしていくなかで東武だけが、 #スノーパル の運転を続けている。昨年はやめたけどね。

スノーパルで行ける会津高原たかつえというゲレンデは有名ではないし、

駅からバスに乗り換えさせられるし、近年まで座席固かったし(現在は特急リバティの車両)、帰りは電車決まってなく自分で切符買って帰れだし、あまり強みを感じないのだけど、

北千住や新越谷発のシャトルバスがあったかな〜程度で、スキーバスとのアクセスがあんまりよくない地域ということもあり沿線住民には親しまれている。

それでも儲かってるとは思えない。東武自身が2002年にたかつえスキー場の経営から撤退してしまったほど。その時スノーパルも終わりなんだと思った人も多かったと思うけど、どっこいそこから20年コロナ禍以外の理由でやめていない。

それでも東武がスノーパルを走らせ続けている理由は単体で利益が出なくても、東武のファンを増やすためにやっているから。冬になったら楽にスキーに行ける、それが東武沿線に住むひとつの魅力になりブランド力を高めている。

この姿勢はJRにとっても参考にすべき点があるんじゃないかな。

JRがスキー列車をやる価値とその方法

東武の非常に深い戦略と較べると、JRは目先の利益優先という印象をどうしても受けるけど、JR SKI SKI30周年という機だからこそもっと大局的な視野に転換してほしいなと思う。

東武は沿線ブランディングが目的だったけど、もっと大きなネットワークを持つJRの場合は鉄道を使ってスキー・スノボへ行く文化の復権、というところまで踏み込んでほしい。そのうえでスキーバスと対抗できるようにしなければいけない。

ゲレンデへのアクセスの差を考えた時、夜行でスキーバスと戦うのは難しい。基本的には昼行で勝負すべき。ここは渋滞を避けられるという競争力がはたらく。現地滞在時間が増え、かつ終電に間に合うかビクビクしなくても済む。そういう価値を提供していくべきだ。

だとしたら圧倒的に速い新幹線やあずさなどの在来線特急がいい。新幹線や特急の運賃は高いけれども、インターネット上でJR自身がリフト券や宿と組み合わせたダイナミックパッケージを販売、学生やファミリー層に対しては大幅に値下げしてスキーバスより千円高いくらいで販売したらいい。シュプールの時のようにJR自身がゲレンデへの連絡バスを運行する必要もある。ガーラ湯沢行きはコロナ禍の前年まで満席だったから、増発も必要。東京駅のキャパオーヴァーなら上野発着でもいい。

在来線に目を移すと現在でも湯沢中里と上越国際は駅直結だし、石打丸山も直結するホームを置けそうだ。上越新幹線にない価値としてこの3駅をメインターゲットとする首都圏からの在来線特急を出してもいい。渋川まで特急草津と連結するのがよさそう。特急草津が未だに上野発なのはやる気なさすぎで、新宿や品川発にする必要があるけどね。

こうした施策は単体での事業成立は難しいかもしれないけど、若年層に鉄道でスキーに行く習慣を身につけさせることは将来に大きく影響があるはずだ。

夜行で戦うのは難しいかもしれないけど、それでも新宿ー上越国際の夜行列車があるといい。できればサンライズみたいにゴロ寝できるようにして、かつスノーパルを参考に明るくなるまで水上あたりで待機してゆっくり寝てから滑れる体制を整えれば人気が出るだろうと思う。

これが成功したら大阪から上越もやってほしいけど、北陸の並行在来線が癌なんだよね💦 この問題についてはまたいずれ。

というわけでスキー列車そのものの復活は難しくとも、スキー・スノボ客の鉄道利用を増やすためのマーケティングは徹底すべきだ。

おわりに

Clubhouse『 インドの衝撃 (インド大学)』にて月2回程度、インドのツーリズム関連講義を担当中🇮🇳

1月13日の講義、南アフリカ共和国🇿🇦の偉人ツツ元総主教については音声版、note記事(2回)公開中です‼️

次回1月24日月曜日20:00〜、LCCエアアジア✈️日本の国内線からは消えちゃったけど😭 インドではまだまだ飛んでるのでそのお話です。

2月7日月曜日20:00〜は、友人のアジアハンター小林さんが1月下旬にインネパ本を出す予定なのでそれを題材にして話すつもりだけど、刊行が遅れた場合は以前から要望があった山岳鉄道について話します‼️


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