散文「 傍から見たら無敵ガール 」

沢山の本を読んできた。沢山の人達の素敵な思考に触れてきた。
それは途方もなく膨大な量。

その蓄積によって私には不思議な力が帯び始めた。
魔法みたいに私を強くする。

ピンチの時、
もうダメかもって思うとき、
暗闇をさまよっているかのように不安なとき、
心がぽきっとしてしまいそうなとき、

ふぅと深呼吸。
一旦落ち着いてみる。

そうすると、自然とふんわりと今の自分に必要な言葉をくれる人が、数人浮かんでくるようになった。
「あの本の中にあるような気がする」、そんな静かなひらめき。

それは何度も読み返す本のこともあるけど、必ずしもそうとは限らない。
まだ読んだことはないけれど、リストに挙がっている、手帳にメモした、あの本だったりする。
気になっていながらなかなか縁がなかった一冊だったりする。
昔手に取ったけど上手く言葉や表現に馴染めなくて一度手放した本だったりする。
なんとなく知っているあの人の書籍のような気がしたりする。

「直感」というほどピンとした鋭い感じではなく、ふんわりと柔らかな感覚。
自然と私のもとにやってきて、ストンと馴染む。

私の本質はずっと変わっていない。弱くて脆くて未熟だ。
それでも、今の自分を救う言葉や思考が確かに傍にあるという感覚は、私を何倍も強くする。
踏み出す勇気をくれる。


傍から見たら無敵ガール。

自分にとってはとんでもない特大の出来事に思えても、本はぐっと視野を広げるように促してくれる。そうすると、なんてことはない、ちっぽけのことに思える。
もっともっととんでもない出来事を乗り越えてきた存在を知っているし、
乗り越える力をくれる言葉や思考を知っているから。

最近、一つ大きな出来事が私の人生に立ち現れた。
そこで浮かんだのが「ヤマザキマリさん」。

彼女の言葉に触れたのはずっと昔の一度だけ。
それでも綴られる言葉に惹かれて、大切に切り抜いて何度も読み返すエッセイがある。
そんな出会いからずっと頭の片隅にある執筆家の一人だったのだが、タイミングがなくまだ書籍を手に取ったことはなかった。
だけど、今の私はヤマザキマキさんの言葉によって一つ強くなると、わかったのだ。
そしてそれはあっぱれなほどの鮮やかな大正解。

それはまるでピンチの時にどこからともなく表れて、救い出してくれるスーパーヒーロー。

そのためだけではないけれど、
私がせっせと本を読み、
言葉を追いかけ、
思考や言葉を拾い続けるのは、
いつかの未来のピンチの自分にちゃんと無敵の魔法がかかるように、そんな祈りの意味もあります。

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