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冬眠から目覚めるとき

この時期になると、額の少し上の内側のほうから外側に向かってムズムズするような感覚になる。
そして駆り立てられるように文章を書きたくなるのだ。
まるで熊が冬眠から目覚めるみたいだ、と思うことがある。
今まで全く文章を書こうなんて気にもならなかったのに、今では取り憑かれたようにぐるぐると文章を考えている。
おかしな気分だな、と思う。

人間の気分には浮き沈みがあってまるで波のようにリズムがある、ということはよく耳にするけれど、ひょっとしたら私のこの衝動も動物的な本能の一種なのかもしれない。

私はこの愛すべき冬眠から目覚める時期を無事に生き抜くことで必死だ。
なぜかというと、うっかりミスがおおくなるからである。
もし車の運転なんてする時には、いつも以上に左右を確認してからアクセルをそっと踏んでいる。
書類をチェックする場合は最低でも3回は読み返す。
もし気を緩めると、まるで私の意識は気球に繋がれたみたいにフワフワと宙を漂い始めてしまうからだ。

そういう時に私がやっているおまじないがある。
それは、お尻の穴をキュッと引き締めて、手の小指と薬指だけを握る、というもの。
これをすると不思議と変な緊張が無くなって目の前のことに集中できる。

これを読んでいるあなたも、もし動物的な本能に振り回されそうになっていたとしたら秘密のおまじないを使って欲しい。
キュッと気持ちを引き締めてから外に出かけよう。

それでは雪が解けたときにまたお会いしましょう。

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