紅葉の手袋をした魔女より
ゴキゲンヨウ。
今夜は、特別な夜よ。
だから、アタシの好きなもののお話と、ちょっとだけ自慢話をさせてちょうだいね。
北の森に棲んでいるキツネ達は、木の葉の下に隠れた絹傘マッシュのためならなんだってするわ。
そのために狼にだって噛みつくくらいよ。
それと同じくらい、アタシは紅葉がとっても大好き。
朝おきると、まずアタシの家の窓を開けるんだけど、秋が近づいてくるとすぐにわかるわ。
夏の終わりに滝みたいな雨が降るでしょう?
その次の日になると、不思議なことに森の空気が一気に冷たくなるの。
今日みたいな日がまさしくそうね。
これからが一年の中で一番楽しい日の始まり。
森の散歩に出かけるときに、綺麗な紅葉になりそうな葉っぱに目星をつけておくの。
でも、目星は沢山つけちゃだめよ。
これがとってもむずかしいの。
アタシがキスしたいって思えた葉っぱだけ心にそっと決めて秘めておくのよ!
その後は、他の葉っぱに目移りしないように枯草の下のキノコを探すのをおすすめするわ。
葉っぱって日の当たるところから色が変わっていくから、一年で最も綺麗な夕日が見えた日に目星のついた葉っぱをさっと摘むの。
その葉っぱにおまじないを掛けてから、朝露の入ったソーダグラス瓶に入れて一晩月の光にあてておくの。
そしたらびっくり!とっても可愛いブローチのできあがりってわけ!
エッヒミッヒには、他にもたくさん魔女がいるけれど、紅葉のブローチを作らせたらアタシの右にでる魔女はいないはずよ!
今年も、秋のお祭りの日にブローチのお店をだすつもりだから、ぜひ遊びにいらしてね!
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