青いまま枯れてゆく
青いまま枯れてゆく
あなたを好きなままで消えていく
(ハッピーエンド/Back number)
前回「お花見に行く約束をしてから日付も決まっていないのに桜が満開になってしまった」と書いてから記事を書いていなかったので、noteの上では私の恋はまだまだこれからということになっていた。
結果を言うと、今回もまた私の恋が実ることはなかった。最後に会った日、春は終わりに近づいていて、紫陽花が咲いていた。好きな人の少し低い肩の向こうに見た、オフィスビルの花壇で咲く淡い紫陽花を今でも覚えている。
私は少しでも気を引きたくて、その日は些細なプレゼントを用意していた。なるべく重く捉えられないように、それでも思いが少しでも伝わるように。その人はお酒が好きなので、ビールに合うことで有名なお菓子をコンビニで買っておいて、「実家でもらったけど、ビールは飲まないのでよかったら!笑」と言って渡すことにした。
さらに当日、二日酔いで寝坊したから少しだけ遅れるという連絡があったので、すぐに二日酔いに効く食べ物を調べて大粒ラムネを追加で購入しておいた。
本当に少しだけ遅れてきた好きな人は半袖を着ていて、たったそれだけのことだけど、一緒に季節を越せたことがどうしようもなく嬉しかった。すぐにお菓子をプレゼントしたら、その人の小さなサコッシュにお菓子は入り切らず、手に持ったままに歩くことになってしまった。
私はまた失敗したなと心をつねりながら、「すみません荷物ですよね、一旦、一旦預かっておきますね!」と私のリュックの中へもう一度戻し、これはもうこのまま持って帰ることに決めていた。その日は夜からまた飲みに行く予定があるとのことだったし、自己満足を押し付けることがどうしても怖かったからだ。
誘ってくれたのは最初の1回目だけだったけど、誘えば予定合わせてくれるなとか。だけど遊ぶ日は必ずあとの予定もあってあんまり長くは一緒にいられないなとか。しょっちゅう返事がくるわけじゃないけど、長い目で見たらやりとりは続いているしなとか。
結果はわかっているのに、数%の可能性が振り払えない。そうやってグルグル考え続けることに疲れてしまって、私はこの恋をしまっておくことにした。こうなったとき、今までなら耐えきれず告白をしてはっきりさせてきた。相手に負担をかけるだけだとわかっていながら、どうしても言えずにはいられなかった。だけど今回こそは我慢しよう。持ち帰ったお菓子も自分で食べたし、自分で持ったまま、忘れていこうと思った。
のに、やっぱり我慢できずに長文メッセージを送ってしまった。好きという言葉よりも謝罪のほうが多かったかもしれない。後悔や自己嫌悪を吸って吸って膨らんだそれを、読んでくれるだけでいいから返事はいらないからと添えたそれを、好きな人は飲み込み、「迷惑や不快に思ったことはない」「本当に嬉しい」「でも実は好きな人がいて、他の人は考えられない」というどこまでもあたたかい返事をくれた。
だけど私は知っている。今までの恋愛で唯一学べたこと。「これからも友達でいようね」は「今までありがとう」という意味なのだ。実際にそのあと、会うことも、LINEが返ってくることもなかった。
思いやった嘘をつけるあなたに
心の底からあたし 臆病になってしまってた
(夏服/aiko)
あなたが嘘をつかなくても 生きていけますようにと
何回も何千回も 願っている
さよなら
(よるのあと/adieu)
大好きだったけど、最後のプレゼント
BYE-BYE マイ スィート ダーリン
サヨナラしてあげるわ
(プレゼント/JITTERIN'JINN)
毎日たくさんの曲を口ずさみ、なんとかつらい気持ちを落ち着かせることができた。迷惑をかけてしまったという申し訳なさと、自分の魅力のなさに絶望する気持ち。今はそれがほとんどないからこそ、毎日のしんどいことがとても重たく感じてしまう。恋なんてもうしたくないはずのに、いつのまにかまた探してしまう。さすがはラブ・ウォーキング・デッド。今回の失恋も体の端を撃ち抜いただけで、ヘッドショットには至らなかったようだ。ああ、身も心も全て朽ち果てる日が待ち遠しい。
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