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恋に最適なタイミングとは

最近、某サブスクで配信された男子だけの恋愛リアリティーショーが話題になっていた。

私は恋愛リアリティーショーを観ず嫌いしていて、それは「思うように上手くいかない人」がきっと出てきて、深く傷ついたその人を見て私もまた傷つくだろうと想像してしまうからだ。(同じ理由で、アイドルやモデルのオーディション番組も観られない)

さらに私は某サブスクNのユーザーではないので、そもそも観たくても観られない。某サブスクAの方を契約しているのだが、そこのウォッチリストには700以上の作品が眠っている。他のサブスクなど持て余すことがすでに確定しているのだ。

ちなみに契約していないサブスクNの、存在しないウォッチリスト(脳内)にもすでに数件入っており、もうお手上げなのである。誰か助けてください。

この通り私は未視聴なのだけど、SNSで流れてくるポジティブな感想を見ていると、ただの恋愛バトルだったわけではなく、出演者は皆お互いを尊重し、対話を大事にする人たちで、深い友情と成長の物語でもあったようだ。

そんな聞きかじりではあるものの、私にも発見があった。あまり恋愛体質ではない出演者(なのにめちゃくちゃモテてしまう!)が、あんまり恋愛スイッチって入らないから、友達としてまずはゆっくり、アプローチされすぎると困る、というようなことを言っていたらしい。

彼に共感した視聴者の感想を見かけただけなので、彼の発言の原文は分からないが、そういう人もいるのだと私は衝撃を受けた。

考えてみれば普通のことだ。異性が好きな人、同性が好きな人、恋愛感情を抱かない人、性的感情を抱かない人。それと同じで、すぐには人を好きにならない人がいて当然。

それなのに、私はずっと自分のものさしを使って判断していた。相手のことも、自分のことも。私は数時間話しただけでも誰かを好きになってしまうし、友達だと思っていた人を好きになったことがない。好きな人から友達になることはあるけど、友達から好きになることは想像ができない。

だから相手からの恋愛的な興味がなさそうだと感じると、もう100%脈なしなんだ、私にはやはり魅力がないのだとすぐに答えを出してしまっていた。

でも世の中には、好きになるのに長い長い時間が必要な人もいるのだ。思い返すと、前に好きになった人たちの中にも、そうなんじゃないかなと思い当たる人もいる。

それがわかったところで、相手の恋愛スイッチが入るタイミングなんて知りようがないし、本人にだって答えようのないことだ。

相手が誰であってもなかなか好きにはならないだけなのか、やっぱり単に私に興味がないのか、待っていれば振り向いてもらえるのか、誰にもわからない。難しい。

恋はタイミングが大事というけれど、それは「今のパートナーと出会う前に出会えていたら」とか、「もし仕事が落ち着いている時期だったなら」とかそういうことじゃなくて、もしかしたら人を好きになるタイミングのことを言っているんだろうか。

恋愛に惜しいもあと少しもないのだから。アリかナシかの二者択一。

だけど恋愛体質ではないという人たちは、つらい思いをしないのだろうか。誰かとたくさんの時間を過ごして、ゆっくりと唯一無二の関係を築き、ようやくその人を好きになった頃には、その人の横には誰かがいる、ということもあるように思う。いくら恋愛体質でないといっても、いつも一人で明後日の方向へ突っ走る私と同じくらい、それはつらいことなんじゃないかと思う。

絶賛奔走中の片思いの相手も、どういう人なのかいまいちわからない。文字のやりとりが苦手なだけなのか、興味がある相手にも同じ感じなのか、待っていれば振り向いてもらえるのか、魅力のない私には最初から負け確なのか、わからない。

その瞬間の感情のまま、コロコロと自由に生きるその人のことを知るたびに、脈なしなのかどうかわからなくなる。そういうときはだいたい脈なしなのだけど。

諦めて次にいったとしても、次も片思いだろうという予測がどうしても拭えない。6回も片思いが出るコインなど、何回投げても片思いが出るに決まってると思ってしまうのはむしろ冷静だと思う。

ドストエフスキーが言った「人間には愛がありさえすれば、幸福なんてなくたって生きていけるものだ」というのはその通りだと思う。

だけど一途な片思いなんて誰も得をしない。感情はぐるぐると大きくなるばかりだし、噴出した感情をぶつけられる相手にとっては事故でしかない。

ドラマで「大人はみんな恋愛が下手なだけ」というセリフを聞いた。「私はたぶん一番下手」とも。私だって彼女に負けてないと思う。恋愛が下手コンテストの決勝戦で、好きな人からのLINEがこなくて涙を堪える私の姿をぜひテレビの前で応援してほしい。(ちなみに、ここで素直に涙を流せない方が逆に恋愛が下手ポイントは高い。)

「誰もお前を愛さない」と言ってくる金メダルを噛みながら私は思うのだ。この喜びを伝えたい人は一人しかいないけど、前に送ったLINEの返事がきていないのだから、今は連絡しちゃいけないだろうなと。

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