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「販社様」(その1)- DDすると怒られる

投信委託会社は、自社の投資信託の販売を委託するわけですから、委託先として適切であるかを精査する必要があります。

具体的には、質問票を送付して回答してもらったり、ミーティングをセットして質疑応答の機会を設けたりすることが考えられます。

海外では、販売会社のDue Diligence(DD)は普通に行われています。


ところが、少し前まで、日本でこういったことは行われていませんでした。

投信委託会社にとって、販売会社はお客様です。

頭を垂れて、
「どうか、うちの投資信託を取り扱ってください」
と拝み倒すべき、「販社様」なのです。

その「販社様」を相手にDDするなど、もってのほかというわけです。


ある外資系の投信委託会社で、販売会社に対するDDを定めたGroup Policyがありました。

コンプライアンス責任者が質問票を送ろうとしたところ、営業部長が血相を変えて怒鳴り込んできました。

「こんなもの送って、出禁になったらどうするんですか!」
「〇〇さん(コンプライアンス責任者の名前)、そうなったら責任とってくれるんですか?」
というわけです。

結局、質問票の送付は行わず、代わりにコンプライアンス責任者がインターネットで情報収集して、可能な範囲でセルフ回答して済ませた、というオチです。


近年では、顧客本位の業務運営やマネロン態勢の確認が強く求められており、さすがにこういった話は聞かなくなりました。


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