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「販社様」(おまけ)- 成功報酬のシェアリング

最後に、これは微妙な問題ですが、販売会社が成功報酬のシェアリングを求めてくることがあります。


国内投信ではシステムの制約などのためフェアな成功報酬の設定が難しいという問題がありますが、それでもいくつかの投資信託で成功報酬が採用されています。

この成功報酬、本来は運用パフォーマンスの対価です。
良い運用成績を収めた(アウトパフォームした)ときに、そのアウトパフォームした分に一定割合をかけて成功報酬の金額を算定するのが一般的です。


販売会社は、販売業務を行うだけです。
運用業務にかかわるわけではないので、販売会社が成功報酬をシェアリングする理由がないように思われます。

しかし、アップサイドをとりたいという販売会社の思惑により、成功報酬のシェアリングを求めてくるのです。


販売会社と成功報酬をシェアリングする場合、いったんは投信委託会社が販売会社の取り分も含めて収受し、その後で販売会社に彼らの取り分を支払うことになります。

このフローに着目して、
「これは成功報酬のシェアリングではなく、投信委託会社から販売会社への販促の対価の支払いである」
「その販促の対価が(たまたま)投信委託会社が収受する成功報酬額に連動しているだけである」
と説明して、シェアリングを正当化することが考えられます。

これは、一見理屈が通っているようにも思われますが、詭弁を弄しているだけのようにも思われます。


この論点には、現状は定説がないとの認識です。

ただ、最近の法改正によって、特に公募投信においては、何の対価に関する報酬であるかを明示することが求められていますし、私募投信であっても、顧客本位の業務運営の観点から、より厳格に解釈されていくものと推測されます。


販売会社との成功報酬のシェアリングを禁止している日系大手のコンプライアンス部が存在すると聞いたことがあります。

「販社様」の要望とそれを踏まえたフロントからの圧力は相当なものと思いますが、そういう中でも襟を正そうとされる姿勢には敬意を表せざるを得ません。

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