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10年くらい前から「今年はチョコもらえるんじゃないか?」と思って生きている。

……なんだよ。
そんな憐れむような目でこっちを見るなよ。

確かにここ数年間、俺は「今年はチョコもらえるんじゃないか?」と思って生きている。
まあそれで貰えたことはないんだけど。


7年前の2月14日。

下校していた俺は、毎日一緒に帰っていた女子が紙袋を持っていることに気づいた。
俺は「おっっっっっっっ?」と思った。

(人生初の親以外からのチョコか…
ホワイトデーには何を返すかね…)

ニヤニヤしながら横を歩く俺。
いつ切り出されるかな〜とwktkしていると、
ついにその子が口を開いた。

「あのさ…」

(キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!)

「これ…」

(キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!)

「どうしたらいいと思う?」

「へ?」

「いや、さっき校門の前で〇〇ちゃんから貰ったんだけどさ、うちの学校ってチョコ持って来るの禁止じゃん?」

「ぁぁ、そうだったっけ…?」

「だからさ、これ貰って良かったのかなって。」

「ぁー、ぃぃんじゃなぃ別に?
校門の前なら学校外だし。」

「そっか、なら良かったわ。」

良くねーよ。
確かに校門の前で誰かと話し込んでたけどさ。
てっきり俺にチョコをあげるのを応援してもらってるのかと思ってたわ。←自己中


普通の人間ならそこで足るを知るわけだが、俺のメンタルは極ボッチだった。
月日が流れ、中学に入っても高校に入っても誰かからはもらえるだろうと思って生きていたのだ。

そして今年。
俺は諸事情により受験直前に不登校になり、同級生と顔を合わすことはほぼ無かった。

だが、何故か「今年はチョコもらえるんじゃないか?」と思っていたのだ。今日まで。

なんでだろう、マジで。
どっからその自信が湧いてきたんだ?

とにかく、俺は友人の書いたこの記事を読んでようやく今年もチョコを貰えないことを悟ったのだ。

彼は自分がチョコを貰えないことを貰えないことを理解(わか)っていた。
足るを知り、その上で弱者男性にマウントを取っているのだ。
俺はそれが悔しくて、アンチコメントをした。

しかし、アンチコメントをしても心は満たされなかった。
むしろ空いた穴が広がった気がした。

俺が流れた涙を拭っていると、母が帰ってきた。

母は言った。
「バレンタインだからチョコあげるよ。」と。

俺は嬉しかった。心の底から。
チョコを貰えたことが嬉しかったのではない。
普通にチョコボールが好きだからだ。

冷静に考えたらバレンタインだからなんなんだよ。
好きピが好きピに手作りチョコあげて、チピチピチャパチャパするより、チョコボール貰えたほうが嬉しいわな。

かの有名なヴァレンティヌスもこう言っている。


"Love cannot be expressed in form.
As soon as it takes shape, its beauty disappears.
True beauty is invisible to the eye."

愛は形にはしてはならない。
形にした途端、その美しさは消えてしまう。
真に美しいものは目に見えないものだ。


と。
まあヴァレンティヌスは存在そのものが疑問視されてるんだが。
遺体に至っては7個くらいあるらしい。
嘘に踊らされてるんだよ、みんな。



もちろんこの記事を呼んでいるお前もだ。
さっきのはヴァレンティヌスの言葉じゃなくて、俺が考えた言葉。ばーか。





ハッピーバレンタイン




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