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思考の整理、まとめ

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最近の記事

歳のとり方

人生100年時代の生き方が問われてくる。 >高齢者は非正規雇用の割合が高いため解雇されやすい上、細った求人枠も下の世代に流れがち。感染への不安から求職活動をためらうケースも少なくないとされ、老後資金に乏しい人が収入源を断たれて貧困に陥る懸念が強まっている。 ・景気の直接的な影響を受けるのは非正規と新卒。 ・文中の試食販売の女性に関しては「高齢」「非正規」だけでなく「試食販売そのものの可否」が問われてくるので、この文脈で一概に論じるのはちょっと言葉足らずの様相。試食販売の

    • メリーゴーランド様態

      世界がメリーゴーランドと同様だとわかったのは私が高校生のときだ。 目には見えない何者かに乗っかって、私達は生きている。自分で歩いていると感じることもたまにはあるかもしれないが、実際はそうではない。時流や、周りの人、環境、その場の空気、ノリ、そういったものに、私達は絶えず乗せられている。 自分が何かに乗って動いているような気がする、と思い始めたときはなぜか自分自身が以前と同じ場所にいることに気づいたりする。 散々走って、日々をなんとかやり過ごして、日常の中をかき分けるよう

      • 畳の目

        今年の連休は10日休みですって。有給とったらもっと長いって。ね。休み過ぎなのよ。この社会。 そうだね。実際に休めるのはきっとこの国の半分以下だし。もう半分はむしろもっと忙しいだろうし、高齢の人なんかは連休関係なくずっと休みだし、かえって病院が休みで困っちゃう人のほうが多いかもね。 なんでこんな事になってるのよ。今年は。 知らないよ。偉い人がそう決めたんだろ。 偉い人って誰よ。 知らないって。政治家とか、経済界とか、そこらへんだろ、たぶん。 ふうん。偉い人たちって頭

        • テーブルの上のコーヒー

          「1日に水を2リットル飲むといいんだって。すぐには効果でないかもしんないけど、体のなかの老廃物がどんどん出ていく体になるんだって。でね。水を2L飲むと、4週間後にその水が排泄されるらしいのね。そして3L飲むと3週間後、4L飲むと2週間後なんだって。あれ、ちょっと違うかな。ま、いいや、実際そういって水ガバガバ飲んでダイエットした人がいるんだって。でね、大事なのは水の種類なんだけどね、人の体って、ふっつーに食事して生きてると、酸性に傾きやすいんだって。だからアルカリ性の水を飲んだ

        歳のとり方

          どんなに声が震えても

          亡くなったおばあさまはいつも着物を着て、ぴしゃっと座っていた。メガネの奥の眼光が鋭く、社会一般のいわゆるおばあちゃん、とは違う雰囲気があって、私はおばあさまと呼んでいた。若いときは剣道をやっていて、中四国では女子の一番だったらしいから、そうとう強いに違いないのだけど、孫の私にはありえないほど贔屓していたので優しかった。おそらく私が孫の中で唯一の女の子で、あまりにも可憐な姿かたちをしていたからだと思う。朝、幼稚園に登園すれば、風のいたずらで飛ばされた私の帽子に、風になびく私のつ

          どんなに声が震えても

          死神か悪魔か

          午前三時の道の上を歩いていると、酒のせいか視界がもうろうとして目をこすった。 街頭もない裏通りなので視界はまっくらで、目はいいほうなのだがそれでもモノの輪郭がやっと分かるくらいである。幸い月が照っていたから、歩いてい帰るくらいは問題ない。まんまるな月を見ながらときにふらつく足を鼓舞して歩いていた。 「やあやあ。フラフラじゃないか大丈夫か?」 誰もいないと思っていたら声をかけられた。声のするほうに首を回してみると、真っ黒な男が立っていた。 真っ黒な男、といってもたとえば

          死神か悪魔か

          コーヒーに映った空

          空の色があまりにきれいだったので、コーヒーを淹れることにした。 その日は珍しく休日出勤を免れた日曜日で、朝寝坊して起きたらすでに昼間で、テレビでは日曜の昼に特有の間延びしたワイドショーが流れていた。スポーツとか、エンタメとか、そういう人の生活にクリティカルに影響しない物事を垂れ流している。若くて可愛いハタチそこそこのタレントがテレビの隅の小さな四角い小窓に映って、わざとらしい、驚いた顔をつくっている。 ああいう子は神様からたくさんのものを与えられて生きているんだろうな、と

          コーヒーに映った空

          子猫の舌

          子猫がミルクを飲んでいるところを見るのが、とても好きだ。あのやわらかな毛も、小さくてちょっとざらざらしたピンク色の舌も、ピンと張ったひげもぜんぶがぜんぶかわいらしくて、ずっと見ていられると思った。 わたしの家では猫は飼えない。おかあさんが猫アレルギーなんだそうだ。アレルギーって何?っておかあさんにきいたら、「病気になっちゃうのよ」って顔をくしゃっとゆがめてわたしをみた。だからわたしはいつも子猫を見にお向かいのヒロキくん家に行く。 ヒロキくんはわたしの一個上の四年生で、三年

          子猫の舌

          ふってきたみかん

          ※途中あまりきれいでない表現をしてしまいました。気をつけて閲覧下さい。 みかんが落ちてきたので、ふと上を見上げたら、近くのマンションの一室のベランダから巨大な木が生えていた。ベダンダとほぼ同じくらいの太さの木が凶暴さを感じるくらいの勢いで生えている、というよりもはみだしている。 これは見事な木だな、としばらく見上げていると、木の奥、おそらく部屋の中に通じる窓の部分と思われるが、から、人が出てきた。足の踏み場もないほどなので、木の幹に沿うように回り込んでベランダの外側へはい

          ふってきたみかん

          ダンゴムシになって

          「おまえ、よもや自分が常識人だと思ってはいまいな」 声が聞こえた。聞き覚えのない声で、ざらりと掠れた、低い声音だった。 予感はあったけど後ろを振り向いても誰もいなくて、やっぱりその声は自分のなかから聞こえてきているのだとその時悟った。 「わかっているくせに、行動してしまうのは癖かな。だれもいないのに誰かに見せるような意識でさ。無駄だな。自分の人生を、誰にともなく偽って生きるのは。pretend、偽り、振る舞う、装う、そのように見せる。私は常識人だって。間違っているのはあ

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          空(そら)

          どうして、歯科医院や小児病棟の天井が青空なのか、考えたことがあるか?やっぱり、あれは空を飛ぶことが長らく人類の夢であったことと密接に繋がりがあるのじゃないかと思うのだ。そう、飛ぶことは長らく、いや、おそらく今でも、人間にとっては憧れの対象であるといえるだろう。 突然かかってきた電話にでたらもしもしもなくいきなりそんなことを言われた。その時は仕事の残業中で、あと30分で駅を出発する急行に乗るために、私は焦っていた。そのため着信の画面さえ見ずに電話に出た。私のスマホは耳元に当て

          空(そら)

          同じ目

           はい、そうです。私が落としたのはこのペットボトルのキャップです。ですが、一言言わせてもらえば、それがこんなふうに私が咎められる理由になるとは思いもよらなかった。なぜってペットボトルのキャップひとつですよ?このオレンジの。ああ、そうです。あたたかいやつです。え?お茶ですよ。自販機の。なんですか?自販機だったらあたたか~いだろう?なんですか「か~い」って。ああ、あの、自販機の表記の?書いてあるやつ?ああ、いや、わかりますよ。何なんですか、馬鹿にしてるんですか?違いますよ、たしか

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          酩酊が見た星

          「名古屋では5店舗経営してましたよ。ハタチそこそこの年齢でしたけど」 隣で上機嫌にハンドルを握る男は、十五年くらい前のことを楽しそうに話していた。ガラス窓越しに街の明かりが滑るように後ろに流れていく。 「自分はね、子どもは持たない主義なんですよね。人生狂っちゃうでしょ。計画的に持つならまだしも」 夜中、車は少なく、道が空いているためかアクセルをぐんと踏み込みところが少々気に障った。だから私はこのおじさんの話を適当に聞き流すことにきめた。 いつもの代行があいにく遠くまで

          酩酊が見た星

          君とケンカをした日

          家に帰るとダイニングテーブルにはもう食事が用意されていて、鍋からいい香りの湯気があふれてそれが部屋に満ちていた。僕より仕事の終わる時間が遅いアキがすでに家にいて、僕が帰ると「おかえり」と、やさしく声をかけたので、僕はこれはやばい、と一瞬にして冷えたからだから汗が吹き出る感触がした。 アキはとんでもなく怒っているときに、とんでもなく完璧な料理を作る。ちょうど、今日作ってくれたみたいな。 そしてダイニングテーブルを挟んで、向かい合って座る。会話という会話もろくにしないで黙々と目

          君とケンカをした日

          8年

          あの時、私は高知にいて、行きがかり上やむをえず泊まった宿で重い頭を片手で支えて持ち上げていた。 髪なんかボサボサで、吐く息にはまちがいなくアルコールの香りがした。 隣に寝ている男を起こさずに手探りでリモコンを探し、テレビを点けた。音を極力絞ってぼんやりする頭で見た画面は、四面の左と下に情報欄が出ていて、映像を映す画面が約二割くらい小さくなって画面に浮かんでいた。 映像のなかでは濁流が街を飲み込み、車でも看板でも、電柱すらもなぎ倒していた。圧倒的な量の水の圧力が暴力的にすべて

          偽装と苦笑

          風邪だと言って、会社を休んだ。その日は夜に送迎会のある日で、嫌いな上司を褒めそやして、笑顔を振りまいてサヨナラするのが、吐くほどにいやだった。その日は特にお客さんへの訪問の予定もなかったので、これ幸いと休んだ。 朝は寝坊して、寝すぎて頭が痛くなり、ああ、やはり休んで正解だったんじゃないか?なんて、自分を甘やかすための言葉を頭のなかで垂れ流した。昼前になってやっとベッドから抜け出して、寝癖のついた頭でコーヒーをメーカーにセットする。誕生日に今の彼女が買ってくれたもので「けっこ

          偽装と苦笑