お手伝いへの不満~生徒さんの作文から~


作文というと、どうしても優等生風の内容を書かなくてはいけないと構えてしまう子もいます。たしかに、学校では、優等生風の作文の方が高評価をもらえるかもしれませんね。

でも、作文のおもしろさのひとつは、素直な気持ちを表現するところにあります。

先日の課題、「お手伝いをしたこと」で、小3の女の子がとても素直な気持ちを表現してくれました。

思わずクスっと笑ってしまう作文なので、ぜひみなさんに読んでいただきたいと思います。

まずは、読んでみてください!

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「うーん、どうしようかなあ。」

私は考えた。かんたんなおてつだいってあるかなあ。私は、おふろそうじも皿あらいもいやだ。夏休みにおてつだいをすることになっている。どうしようかなあ。目の前にはおかあさんがかいたおてつだいのリストがあります。その中でいちばんかんたんそうなつくえふきをえらびました。それからまい日やりました。やっと夏休みがおわったのにお母さんに「これからもやってね」といわれてしまいました。夏休みがおわってからもやってます。

今はおしごとになってしまいました。今のわたしのふまんはほかの子はおてつだいしたらおこづかいがもらえるのにもらえないことです。かんたんなおてつだいでお金がもらえたらいいな~と思います。

このおてつだいをするまでおてつだいをしたことがなかったので、こんなに大へんなんだなあと思いました。おてつだいをするんだったら本をよみたいです。

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いかがでしょうか?

子どもらしい思いにあふれていませんか?

まず書き出しの部分。

『やだな、お手伝いなんてしたくないな。いちばん簡単で楽なやつにしよう』

そんな思いが伝わってきますよね。

そして、ひと夏やり遂げて、やっと解放されると思った夏休みの終わり。

お母さんからとんでもない発言が飛び出します!

「これからもやってね」

と。

この子は、夏休み後も毎日机ふきのお手伝いを続けています。とても立派です。

ところが、重大なことに気づきます。

ほとんどのお友達は、お手伝いをすることでお小遣いがもらえるのだと。

自分の家では、そんなことありえない!

なんでなんで、不満~!

というわけです。

本を読むのが大好きなこの子。お手伝いをする時間があるなら、その時間、本を読んでいたいというわけです。お小遣いももらえませんしね(笑)



作文というと、無意識にいいことを書かなきゃと思う子も多いのです。ちょっぴり身構えてしまう子が多いのはそのせいでしょうか。

この子のように、素直な気持ちをストレートに書ける子は、実は少数派。


もしかしたらその原因は、大人の目から見てよい子かどうかという点で、作文の評価がなされるからかもしれません。

でも、ほんとうは思ってもいない良い子ちゃん風の作文を書くなんて、全然おもしろくありませんよね。


毎日、いろいろなことがあります。

笑ったり、喜んだり、プラスのできごともあれば、怒ったり、泣いたり、マイナスと思われるできごともあります。

そんな全部をひっくるめて人生です。

この子の本音は、もしかしたら大人が眉をひそめてしまう話題かもしれません。でも、この子のように、ほんとうの気持ちを書けてこそ、作文の勉強も楽しくなってくると思うのです。


だから、私は、どんなマイナスが書かれていても受け止めますし、素直な気持ちを書いてくれた作文が大好きです。

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