「問題の子ども」を読んで

ニイル選集① きのくに子どもの村学園長堀真一郎訳

ニイルは1920年頃から主に活動したイギリスの新教育運動の教育家。特にサマー・ヒルスクールという「世界で一番自由な学校」として知られる学校をイギリスに立ち上げ、多くの教育者に影響を与えた。日本ではニイルの本を数多く翻訳している和歌山のきのくに子どもの村が、ニイルの思想を強く受け継いでいる。

順番に彼の本を読んでいこうと思うが、まずの第一冊目。(図書館には大体貯蔵されている気配。ちょっと高いので借りて読むのが良いかも。)

題名が「問題の子ども」、ということだが、この本を一言で要約するとすれば、サマー・ヒルスクールに預けられる問題を抱えた子供の原因のその全てが親からのしつけや発言などによるものだ、というところだ。子育てをしている人は、これを読むとグサッと刺さる部分も多いかもしれない。そして子供が抱える問題を解決するには、子供に自由を与え、大人は愛情をもって肯定的に子供の行動を見守ることに尽きる、という話が書かれている。子供の問題と言うと、例えば暴力をふるう、犯罪を犯す、うそを付く、癇癪を起す、などなど。

こう書くと、とても簡単なように感じてしまうが。。実際に一つ一つの事例を読んでいくと、人間という動物としての本来の自由も親が矯正してしまうことから生まれる障害に多く触れられており、唸ってしまうことが多い。

自分の事を思い起こしても、私は大学に入るぐらいまで自分の容姿が太ってると言うコンプレックスを持っていたのだが、それは母親に何度か言われた言葉が影響していて、大学で海外に出た時初めて自分が太っていなかった事に気付き、晴れてコンプレックスが解消した経験がある。だが、母親にその事を言っても、「太ってるって言ったっけ?」であった。子供への言葉や行動は、気付かないうちに大きな誤解や思い込みとなって解釈され、子供に大きな影響を与えてしまうことが起こり得る。親は子供を愛し、その様に接しているつもりなのに。

そしてこの本が書かれた1920年頃のヨーロッパの社会の状況も分かるので、興味深い。教育関係者に関わらず、子育てをしている人にはぜひおススメしたい一冊。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?