見出し画像

師弟デュオを聴く

もう10月も終わる。
振り返ってみると、ええっと何してたっけ….あ、でも世界遺産についてのボキャブラリーは少し増えた🇫🇷

ところで先週は、パリを拠点に諸外国で活躍中のピアニストである鈴木隆太郎さんと、フランスの巨匠、ミッシェル・ダルベルト氏の師弟デュオのリサイタルに伺わせていただいた。
ピアノデュオは、室内楽の中でもかなり難しい編成だと思うが、気が合う仲間同士やご夫婦で弾いたりして、なんとなく温かい和やかな空気になることが多い。ところが、この日は師弟によるデュオということもあるのか、全編を通して緊張感が張り詰められた2時間半で、エネルギッシュで、そして確信に満ちた音楽を堪能させて頂いた。

鈴木さんは作曲家の平井京子先生に和声を習っておられたそうで、神奈川県の最難関校である栄光学園からパリ国立高等音楽院で学ばれ、ダルベルト氏のお弟子さんだそうだ。
ミッシェル・ダルベルトは、13歳でパリのコンセルヴァトワールに入学、クララ・ハスキル1位、リーズ1位。1991年から2009年までクララ・ハスキルのコンクールで審査委員長。その後パリのコンセルヴァトワールの教授を務めた。常に第一線で、ソリストとして活躍し続けてきたピアニスト。

この日のプログラムはモーツァルトの2台のためのソナタ、シューベルトの幻想曲、ラヴェルのマメールロワ、フォーレのドリー、ドビュッシーの海…と盛りだくさんで、お二人の活気ある演奏が非常にポジティブで楽しくて、元気になった。

ダルベルト氏のモーツァルトは、成熟した独自の演奏スタイルの中にも様々な遊びが見られ、特に3楽章の途中に入れたアインガングが洒落ていて素敵だった。ほんの10数秒だったけれど、コンサート会場の空気をガラッと変えた瞬間だった。鈴木さんが常に師の音楽に耳を傾け意図を察知し、的確に球を返えしていく理知的な反応も凄かった。

終演後、サイン会のためにロビーにお二人が出てこられた。ダルベルト氏にお会いするのは、15年以上前にNHKで放映されたスーパーピアノレッスン以来。隣からの「完璧主義」な圧が凄すぎて5時間近くかかった撮影中ずっと胃が痛かったという、今となっては良い思い出。以前と変わらず、飛び抜けてプロ意識の高いピアニストだった。鈴木さんの今後のご活躍も楽しみ。


浜離宮朝日ホール。会場にはフランス人も多く来ており、最後は欧州式の手拍子拍手を送って観客席も盛り上がった。


誰かがYouTubeあげてた(泣


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?