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週報

4月18日
 発表会は無事に終わった。
今回は何も滞りなく予定通りに終え、皆さんの演奏を一人一人ゆっくり聴くことができた。パリ時代の友人でたくさん共演もしている加藤えりな先生、名物講師の鷲見恵理子先生、そして伴奏でも大活躍してくださった岩田珠美先生には大感謝。

4月19日
 朝起きると2人のピアニストの訃報が入り、SNSが一気に追悼文で埋まった。1人はルーマニア出身の素晴らしいピアニスト、ラドゥ・ルプー。76歳。確か2019年の6月か7月に引退を発表されたけれど、好きなピアニストだったのでその時とても衝撃を受けた。
そしてもう1人がニコラ・アンゲリリッチ。アメリカ出身のピアニストだけれど、13歳の時にパリに移住して活躍していたピアニストでまだ51歳だったそうだ。私がコンセルヴァトワールにいた頃はブルーノ・リグットのアシスタントを務めていて、学校では生徒達にも先生達にも慕われていた。いつも全身脱力でリラックスしている様子で、遠くから見るとダラーン、ブラーンとしているのだけれど、コンツェルトは何でも暗譜で伴奏してくれる、と当時の生徒から聞いたことがある。ラジオフランスが追悼番組や特集を組んでいたので、あらためて録音やインタビューなどを聴くとができた。フレイレが才能を見出し、アルゲリッチに「マルタ、絶対にニコラを聴かなければいけない」と紹介したそうだ。いわゆる「ビジネス」には全く興味がなく、いつも音楽の話ばかりをしていた、と。まだ若かったのに、もうなまで演奏を聴く機会がないなんて…

4月20日
 ロンドンに住んでいる高校の同級生、ユキちゃんが一時帰国中で久しぶりにお茶から夜ご飯まで一緒に過ごしてしゃべり倒した。
お茶をする場所を選ぶのに、わざわざイギリス風のお洒落カフェを選んでしまう私の店選びのセンスは一体、、、。
それはともかく、イギリス風焼き菓子を食べながらロンドンの話をたくさん聴いて、刺激受けまくりだった。
はぁ、やっと海外との往来が始まり、友達が帰って来られるようになってそれだけでも嬉しい。
ロンドンはパリよりずっと都会。またゆっくり行ってみたい。

4月21日
 通訳トレーニングの翻訳の宿題はどうにか終わったので先に提出。いまから日→仏、仏→日の通訳を録音して提出する課題に取り掛かる予定。
通訳はとにかく勉強。語学の能力とは別に、依頼された分野の背景や専門用語はその都度調べて知っていなければならない。今回はテーマが時事問題であるウクライナ問題と経済的な影響となっているため、ロシアとウクライナとヨーロッパのエネルギー問題から始まりなんとか合意や、なんとかフォーマット、オセチア、クリミア、ロシアからドイツに到達してる例のバルト海底ガスパイプラインに至るまで調べましたよ。
知れば知るほどウクライナにとってはどう転んでも悪いことばかり、やはりNATOに加盟させるべきだったのではないかと安直ながら考えるに至った。気の毒過ぎる。

4月22日
 都響スペシャルを聴きに東京文化会館へ。前半も後半も感無量だったのだけれど、そういえば顎は!と、今更思い出した。

4月23日
 ロシアに対する経済制裁による影響と、今後の見通しに関する39分の討論番組の動画を訳す課題。
内容を要約しながら日本語に訳すこと、との課題であったため、まず39分全部見て、知らない単語を調べてから、日本語への文字起こしに取りかかった。

これが想像以上に難儀で、昨日の午前中は2時間頑張ったけれど、全体の11分しかできなかった。
一体何時間かかるかわからない。
これは私には難し過ぎると途方にくれ、先生にメールを送ると、課題は最初の方だけでよかったらしい。

「文字起こしには、通常、素材の長さの12倍かかります。1分の素材に12分かかります。全部を宿題にするには負担が大き過ぎます」と返信がきた。

いや、だからそうだよね(笑)
討論番組の会話なので、変なところで言葉が途切れていたりする。聞き取りながら一番時間を取られたのが

「station d’essence doté d’ogive nucléaire 」

これが正確に聞き取れなくて20分ぐらい悩んだ。“核弾頭を備えたガソリンスタンド”にロシアを喩えた風刺画の説明だったのだけれど、doté d’ogive の部分がさっぱり見当がつかなくて難しかった。
昨日うっかり、クララハスキルのドキュメンタリーを訳そうかな、なんて書いたけれど、とんでもない。ちょっと空いた時間にできるようなことではない事がわかった。

4月24日
 昨日は通訳トレーニング。
今日は巣鴨でドヴァイヨン先生と理夏子さんのテクニック講座。巣鴨は久しぶり。帰国してから何度かルヴィエ先生のレッスンを受けに来たはずだけれど、駅を出てから迷子になって泣きそう。

「Kyokoはまた初心者に戻ったのか」

と、冗談で言われるかな…と心配しつつ(笑)初心に返って聴講させて頂いた。忘れていることや、以前より腑に落ちて納得することもあるし、生徒への伝え方という意味でも勉強になる。
チャイコフスキー国際コンクールやリーズ国際ピアノコンクールに入賞して国際的なキャリアで演奏しながら、パリ国立高等音楽院、ベルリン芸術大学、ジュネーヴ音楽院で教授を務めたドヴァイヨン先生の講座が日本で開かれていることは、本当に有り難たくて貴重。
「汚い音」というけれど、何が聞こえると「汚く」なるのか。
または、ピアノの音を出す前に必要な準備、構え、そして弾くという動作のメカニズムなど1時間半の内容で、大学生もたくさん来て熱心に聴講していた。先生と理夏子さんとも久しぶりにお話できて、すごく楽しかった。

4月25日
 先週後半あたりの世論調査では、マクロン大統領再選の可能性が大きいとの報道だったから心配はしていなかったけれど。


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