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アンディとギラン

アンディが待っている島に初めて辿り着いた時は、まだ空港が工事中でゴチャゴチャしていた。「こんなところが空港?」って思うほど小さな街のビルの工事中って感じだった。カートで荷物を運ぶのもままならない凸凹道をおいこらしょっと気合いを入れて押そうとしたら遠くから手を振る人がいた。おじさんなのか青年なのか今一つ年齢のわからない、でもとにかくはしゃいでいるような賑わいがある男性がのちにアンディとわかる。

泥だらけの大きな車に案内されて後部座席に3人無理矢理乗って(荷物の方が多い)前にインドネシア人なる二人が楽しくお喋りしては時々こっちに声をかけてくる。何を喋っているかさぱりわからないが第一試練が早速やってきた。

私は冒険が大好きなのでどうしても未知との遭遇は欠かせない。人、場所、食べ物とさまざまな試練があるが「食べて」と勧められる現地の食べものは絶対断らない(必ず食べる)と決めている。旅の主役である私たちの都合はそっちのけでアンディと運転手がお腹が空いたと路上で売っている何かを買いに行って車はしばらくストップすることとなった。

なんでも揚げたてが食べさせたいと、わざわざ揚げてもらったと謎の四角い揚げ豆腐のようなものを勧められるのだが、暑い国…、油物、長い飛行機の旅から着いたばかり、何よりこれが何かわからないで日本人スタッフ側はどよめきを隠しきれなかったが、アンディは「どうしたの、美味しいよ食え食え」と自分が食べたいだけ食べて、その残した分をこちらに投げた。

もちろんキャッチするのは私でその揚げたてを勢いよく食べた。

揚げたてだからこそ食べられるその味わいは、豆腐が腐ったような匂いと味がする。(本当に、これを食べて大丈夫なのか?)と心は思えど私以外の人は食べようとしない。特にワニさん。結局5つ食べてにっこり笑顔でお腹が膨れたからもう食べれないと返却すると、「もったいないな、また晩に食べよう」と言っているらしいので(夜?と驚いた)仙人さんとワニさんにも食べるように勧めたが仙人さんはナビゲーションで忙しく、ワニさんは食べ物に慎重すぎて食べなかった(笑)

後から聞いたがそれはただの豆腐の素揚げで島ではオヤツでも晩御飯でも朝でも昼でもなんでもこいだった。

今でもあのツンとした匂いと味を思い出すと口の中に微妙なざわめきが湧き上がるが、食べるのすっかりへっちゃらである。

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