因果関係と前後関係の違いを実感した話

「因果関係」と「前後関係」は全く違うものですが、混同されがちです。

「白米を食べて家を出たら転んだから、白米を食べるのをやめよう」と考える人は、まずいません。前後関係はあっても因果関係がないことが明らかだからです。

では、「新しい靴を履いて家を出たら転んだ」であれば、どうでしょうか?

これも前後関係なのですが、「履き慣れない靴のせいで転んだのだ」という因果関係を考える人が多いと思います。

しかし実際には、靴のせいではなく道に石が落ちていたから転んだのかもしれません。雨で道が濡れていたので滑って転んだのかもしれません。急いでいて走ったので転んだのかもしれません。

靴以外にも原因はいくらでも考えられるので、「新しい靴を履いた」と「転んだ」の間に因果関係があるとは限らないのです。

この考え方は、私のようにメンタルの病気がある人や、その他の持病がある人が症状をコントロールするのに役立ちます。

同じ症状でも、悪化させる要因は人によって違うからです。

ここで、タイトルにある「前後関係と因果関係の違いを実感した」エピソードを紹介します。メンタルの症状ではなく「鼻づまり」の話です。

今年の夏になってから、「寝る前に鼻がつまる」という症状に悩まされていました。

夜、布団に入ってエアコンをつけると鼻づまりが出現し、とても寝苦しいのです。

症状から「アレルギー性鼻炎だろう」と考え、徹底的にアレルゲンを除去する生活を始めました。

布団を干して掃除機をかけて、シーツや枕カバーはこまめに洗濯。部屋の掃除も徹底しました。エアコンのフィルターもきれいにしました。

それでも鼻づまりが治らないので、イネ科か何かの花粉のせいだと思い、抗アレルギー薬を飲むようになりました。

しかし、強めの抗アレルギー薬を飲んでも効果が感じられません。同じ薬でスギ花粉症は楽になるのに、不思議ではないか?と思い始めました。

アレルギーではないとしたら自律神経のバランスが崩れているせいかもしれないと思い、自律訓練法などのリラクゼーションも試しました。それでも症状は良くなりませんでした。

2ヶ月ほど悩み続けた頃、鼻づまりについて調べていると「血管運動性鼻炎」というのを見つけました。

病態はアレルギーではないのですが「寒暖差アレルギー」とも呼ばれているもので、寒暖差によってアレルギー性鼻炎のような症状が出るのだそうです。

その時、初めて思い至りました。「寒暖差」と「鼻づまり」こそ、真の因果関係にあるのではないかと。

猛暑日は夜になっても寝室が30℃を超えており、布団には昼間の熱が残っています。それでは寝苦しいので速やかに部屋を冷やそうと、冷房の温度を低めにしていました。

それが鼻づまりの原因ではないかと思い至ってからは、抗アレルギー薬を止め、寝室に入る前にあらかじめ冷やしておいたり、冷房の温度を高くしてゆっくり冷やすようにしました。

すると、鼻づまりが全く出なくなったのです。

それ以来、抗アレルギー薬は飲んでおらず、部屋の掃除も雑になっていますが、鼻づまりはありません。

そして別件でアレルギー検査の採血をしたところ、スギとヒノキしかアレルギーがないと判明しました。布団のホコリやエアコンのカビは因果関係がなかったと証明されたのです。

この経験から、「寒暖差による鼻づまりに悩んでいる人のなかには、ホコリやカビが原因だと思っている人も多いだろうな」と思います。

いかにも因果関係らしく見える前後関係を、因果関係だと勘違いしているのです。

医療に関しては、ぜひ皆さんにこの視点を持っていただきたいと思っています。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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