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「椋」一句鑑賞

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#長野まゆみ

蔦いつか閲覧室の内にまで 藤井あかり

小川洋子の小説に出てくる標本室やタイプライター室。長野まゆみの小説に出てくる理科実験室や鉱物資料室。そういう小説を読んできたから、閲覧室にも不思議な物語性を感じてしまう。

〈閲覧室〉は知のアーカイブ室だ。知は〈蔦〉のように人のこころを侵していく。〈蔦〉が〈閲覧室〉を侵していくイメージは知や情報の果てしなさに途方に暮れる私たちの背筋をぞわぞわさせる。