見出し画像

転がる車輪に身をまかせ

どこかの鉄道博物館で知ったのだが、鉄道は線路の上を車輪が「勝手に転がっていく」ため、その運転は、クルマのように「力を加える」(アクセルを踏む)よりも、転がり続ける車輪にうまく「ブレーキをかける」のが中心になるらしい。これは目からウロコ、私の世界観(鉄道観…笑)を大きく変えた。
たしかに、鉄製の車輪と線路は摩擦が極めて少ないのは感覚的にも理解できるし、鉄道車両が人の手で線路上を移動している様子も見たことがある。
列車は出発するとき、しばらくはモーターの力によって車輪を駆動させるのだが、ある程度のスピードにのった後は自分で「転がって」いく。つまり、私たちが列車に乗っている大半の時間、列車は走っているより線路を転がっていると言ってもいいのかもしれない(たぶん)。もちろん山手線のように駅間の短い線区では僅かな時間で発車と停車を繰り返すが、特急列車などある程度の距離を走り続ける場合は、転がっている時間も長そうだ。
そして、この「転がっている」状態が、「列車に乗っている」独特の感覚(!)を作りだしているのではないか、と思っているんだけど、どうだろう。自由落下は言いすぎかもしれないが、車輪が転がっていくに身を任せて目的地へ導かれる感覚が鉄道っぽさなのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?